三省堂 英語ホーム > 英語教育コラム > マンスリーコラム【2004年4月】 | ||||||||||||||||
これから3回の連載では、ことば(語にかぎらず、文、文章も含めて)の獲得・処理・学習といった角度から、語彙指導への示唆について具体的に考えてみましょう。 私たちは、とかく語をばらばらに指導(学習)しがちです。しかし、それらを組み合わせていざ発話しようとすると、どう組み合わせたらよいか分からず、たちまち発話は失敗に終わるということがあります。母語であれば自然にさまざまな語の組み合わせパターンが身につくでしょうが、外国語の場合には語のネットワークは容易には脳内に形成されません。 幼児は、言語習得の過程で、語のかたまりや文を最初は分析することなく、とりあえず「丸ごと」使っています。やがて、それぞれの語に分析され、応用も利くようになるわけです。こうした、1つのチャンク(まとまり)として新しい表現をまず使ってみることを、分析的に教える前にもう少し実践してはどうでしょうか。 いくつか例をみてみましょう。下線を施した部分は、文法的には1つのまとまりにはなりませんが、意味的なチャンクとして捉えます。 (1) Would you like something to drink? ポイントは、大きな単位でとりあえず使ってみて、徐々に小さな単位で自由度を高くして使ってみることです。 (1) は、Would you like something to eat? (2) は [have+過去分詞]という部分だけにあまり注目せず、最初は「〜へ行ったことがありますか」という意味に限定して、場所を表す句のみを置き換えます。そのあと、Have you ever been[read, watched] 〜?のように動詞の部分を置き換えて表現する練習を行います。 (3) は、It 〜 for ― to ...という骨格だけを意識させることが多いのですが、最初は下線を施した部分を1つのチャンクとして口頭練習を行い、 It is important for us to ... と次第に自由度を高くしていくとよいでしょう。 このように、チャンクで使ってみること、そしてチャンクは大きな単位から小さな単位へという方向で練習することで、文を理解したり発話することがスムーズに行うことができるようになります。 神戸大学 横川博一 ■バックナンバー |
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