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現在のページ 三省堂 英語ホーム > 英語教育コラム > マンスリーコラム【2003年11月】

マンスリーコラム
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表現力を高める授業(2)英語の発想で書く

 日本語で本をたくさん読んでいる人は文章が上手であることが多いように、英語でも多読をしている人は英語を書くことも上手になると言われています。多読をすれば、英文そのものに慣れるし、文法や言葉の使い方の理解も深まり、語彙も拡大し、著者の考えを理解することで、新たな知識を得ることにもなります。ところが、語彙が豊富になって、文法的にも正しく書くことができるようになった人の英文でも、英語のネイティブの読者が読むと、何を言わんとしているのかを理解しづらい、ポイントがどこにあるのかわかりにくい文章になっていることが多々あります。

 その原因はいくつかありますが、一番大きな原因はパラグラフの構造でしょう。英語のパラグラフと日本語の段落とでは構造が異なるのです。論説文はもちろんのこと、説明文や意見の陳述といった伝達のための文章でもこの構造になっています。

 <パラグラフの構造>

  1. topic sentence---パラグラフのmain idea を提示する。
  2. supporting sentences ---main idea を詳しく説明する。
  3. concluding sentence---main idea を別の表現で再度もちだしたり、supportとして詳解されたことがらをまとめたりする。

 ところが私たちは英文を意味中心に読みこなすことが多いため、語彙や文法に多少の注意を向けることはあっても、パラグラフの構造を意識することは少ないのです。日本語の段落にこのような規則性が無い以上、英文を読んでもそこに意識が及ばないのは当然です。

 2番目の原因として、文章全体の構造の違いを挙げることができます。日本語では「起承転結」スタイルが推奨されることがありますが、英語では序論、本論、結論の3部構成です。この点を意識しないと、文章の構成を練っているときに、日本語で文章を書くことに慣れている人ほど、無意識のうちに起承転結スタイルで考えていることがあります。「転」の部分がネイティブの目には、無関係な事柄が文章に含まれているかのように映り、混乱と誤解を引き起こすのです。

 このような問題を解決するには、1)パラグラフの冒頭にtopic sentenceを置き、2)文章全体の主題と直結しない内容は意識的に排除することが大切です。英文の内容だけではなく、英語の文章構造にもフォーカスをあてて学ぶ機会を授業の中に作るとよいでしょう。特にスピーチの原稿を書くときや、E-mailで自分の意見や主張を伝えるときなど、リーディングとライティングを統合した指導が効果的です。

 実際の授業では、読む作業として、内容を理解したあと、英語の文章全体とパラグラフごとの構造を確認します。そのあとに書く作業として、ライティングのプロセスにしたがって文章に盛り込みたい案を書き出し、構成を練り、下書きを書き、それを読み直して修正を加えて仕上げます。ただ自分が書きたいことを書き連ねるのではなく、「読み手の発想とそれが現れる文章構造を意識したライティング」を実践していけば、伝える相手によって、文章形式を使い分ける技術の訓練、考える力を引き出す教育にもなっていくでしょう。

駿河台大学 佐野富士子

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