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書き手になって読む!?
批判し、評価する読み手となる ~「間の文化」(長谷川 櫂)より~

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中学校国語

栗田 柄子 (静岡市立清水庵原中学校)

2023年12月18日

1. この授業について

 「批判」には、「粗探しをして文句を言う」というイメージがあるが、そうではなく、「適切であるか」を吟味・評価する作業である。文章であれば、読み手が書き手の意図をくみ取り、表現者の選択が正しいかを判断することである。

 「主体的に学ぶ」姿勢が求められる今、この「批判する力」は、生徒にとって身につけるべき大切なものである。そこで、本学習においてその素地を作りたいと考え、単元を構成した。

 

2. 評価規準 (3年生)

【知識・技能】

  • 具体と抽象、文章と資料など、情報と情報との関係について理解を深めている。(⑵ア)

【思考・判断・表現】

  • 文章の構成や論理の展開、表現の仕方について評価している。(Cウ)
  • 文章を読んで考えを深めたり広げたりして、人間や社会、自然について自分の意見をもっている。(Cエ)

【主体的に学習に取り組む態度】

  • 文章の構成や文章と資料との関係に注目して、積極的に内容を解釈し、自分の考えをまとめようとしている。

 

3. 授業の流れ (全5時間/本時は第3時)

[第1時] 全文を読み、序論・本論・結論に分けよう。

[第2時] 本論の展開(空間的な間→時間的な間→心理的な間)を批判的に読もう。

 

[本時:第3時]本文に添えてある資料を批判する。(=自分の意見をもつ)

 

①前時を振り返り、本論の展開に込めた、筆者の意図を確認しよう。

②読み手が筆者の意図を理解するために、教科書にある9枚の資料は有効であるかどうかを批判しよう。

 〈批判する際の観点〉

・本文と資料との位置関係は適切か。

・資料が提示されている順番は適切か。

・資料の大きさは適切か。

・提示された写真の角度、素材は適切か。等

→ 資料は、筆者の意図を伝えるために必要かどうか。

 

展開2の学習活動をふまえ、「自分ならばこうする」を提案しよう。

 

[第4時] 友達と意見の交換をしよう。

[第5時] 学習のまとめとして、筆者への提案文を書こう。(「批判」の意味をしっかりと捉え、よい点・改善案を提示する。)

 

4. 授業のまとめ

○「批判」は悪意のあることではなく、作品や意見に向き合うという点で大きな意味をもつものであると授業において再三確認してきた。本学習を通じて生徒は、活字になっている文章等に対して、「自分が意見をもってもよいのだ。」「表現された作品が絶対ではなく、読み手によって、よりよいものにすることもできるのだ。」という経験をすることができた。

 

■第3時のワークシートに書かれた生徒の意見

● 和室の写真は、襖や障子が入っていて文章に合っているが、洋室の写真は、文章にある「扉」も写して、密閉されていることがわかるものにしたほうがよい。(「空間的な間」について)

●  オーケストラの写真は、文中とは関係が薄いのでカットするか、もう少しアップで撮影して、たくさんの楽器があることがわかるようにするとよい。楽譜の並びは、音楽に詳しくない人には意図がわかりにくい。(「時間的な間」について)

●  龍安寺の石庭の写真は、間を重んじる日本の文化を説明することにとって有効だと思う。しかし、日本庭園の写真を載せるのならば、門や噴水などのたくさんの物が配置された西洋の庭園も載せるとよりよいと思う。(「心理的な間」・和と洋の文化について)

 

5. ICT活用のヒント

ヒント1 Google Jamboard の共同編集機能を活用する

Google Jamboard に、教科書に掲載された資料ごとのページやボードを作成し、そこに意見を書き込めるようにする。これにより、友達の考えを閲覧でき、それに対する自分の意見を書き加えることが可能になる。この機能を活用することで、ワークシートを持ち歩いて意見交換するよりも、関わる人の幅が広がり、多くの意見に出会えると考えられる。

ヒント2 インターネット検索を活用する

「自分だったらこの資料を用いる」と考える資料をインターネットで検索し、友達に示すことで自分の考えに説得力をもたせることが可能になる。

(『ことばの学び』No.17 2023年4月発行に掲載)

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プロフィール

栗田 柄子    くりた・ともこ (静岡市立清水庵原中学校:令和5年度現在)

国語科の授業におけるICTを用いた「流行」と、声に出して話したり、手を動かして書いたりする「不易」のバランスを考えながら、生徒にとって楽しく力が伸びる実践を模索しています。

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