授業レポートプラス

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本の魅力を紹介し合おう
~感想や助言を伝え合うことで効果的な自己評価へとつなげる~

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中学校国語

石川 剛章 (横浜市立六ツ川中学校)

2023年12月18日

1. この授業について

 読書への誘いとして、ビブリオバトルをもとにした本の紹介活動を行った。

 本を紹介し合い、感想や助言を伝え合うことで、自分の紹介の仕方や、その本に対する考えが、どのように聞き手に受け止められるのかをメタ認知し、対話的な学びとして相互評価を行う。その上でさらに自己評価を行うことで資質・能力の育成を目指した。

 

2. 評価規準 (2年生)

【知識・技能】

・自分が紹介する本の内容を理解し、自分の考えを広げたり深めたりする読書に生かしている。(⑶エ)

【思考・判断・表現】

・「話すこと・聞くこと」において、自分が紹介する本の魅力や、その本に対する自分の考えが伝わるように、話の構成や話し方を工夫している。(Aイ)

【主体的に学習に取り組む態度】

・読書を通して自分の考えを広げたり深めたりしようとしたり、本の紹介を通して話の構成や話し方を工夫しようとしたりしている。

 

3. 授業の流れ (全7時間)

①自分が好きな本の魅力を紹介するスピーチのメモを書く。3人グループで感想や助言を述べ合い、自分の発表内容を改善する。

・本の内容や魅力だけでなく、その本を読むことで自分の考えがどのように広がったり深まったりしたかという、読書による自分の変化を述べるように伝える。

 

②一人3分以内で発表する。その際に、発表者以外は発表を聞いて、A(すぐ読みたい)、B(いつかは読みたい)、C(今は読みたいとは思わない)の3段階で評価し、Chromebook を使って、投票と感想の書きこみを行う。

・3段階評価は、発表がよかったとしても本の内容にそもそも興味がないという場合もあるので、その場合は感想を書くときに補足説明するように助言する。

 

③自分の発表を自己評価したうえで、他者からの評価を読み、自分の発表のよい点と改善点を検証する。

・自分から見た自分と、他者から見た自分の違いを意識させる。

★「本の内容より自分の思いを話しすぎたと思ったが、そこがよいと言われて、驚いたけどうれしかった。」のように他者からの評価をもとにした言葉がみられた。

 

④自己評価と他者からの評価を比較し、共通点や相違点を分析することで、最初に書いた自己評価に妥当性があったかを検証して、さらに深く自己評価をする。

・今回の学習で身についた力や、次に同じような活動をするときにどのように工夫するかを考えさせる。

 

 

4. 授業のまとめ

○本を紹介する中で、自分がその本のどこに魅力を感じるのか、その本を読んで自分がどう変わったのかを考えることで、ものの見方や感じ方をメタ認知することができる。

○自己評価で感じたことと同じことを他者から言われたり、自己評価と全く違うことを他者から言われたりすることで、自分の発表を多方面から振り返ることになる。同じ発表でも人によって捉え方が全くことなることを実感できるため、相互評価は自分の活動を批判的に振り返ることに対して、極めて有効である。

○他者がどのような言葉で感想を述べているかを読むことで、新たな表現方法を学び、語彙を増やすことにつながる。

○社会生活は他者との関わりによって成り立つものであり、独りよがりな自己評価にならないためにも、相互評価を欠かすことはできない。

 

5. ICT活用のヒント

評価や感想の交流にGoogleフォームとスプレッドシートを活用しよう

 発表を聞いた評価や感想はChromebookのGoogleフォームを使って入力し、クラス全員分の感想をスプレッドシートで確認できるようにした。このようなICTを活用した相互評価により、評価や感想の集計と一覧が容易になり、自己の発表のよかった点や改善点を振り返りやすくなる。生徒からは、「伝えることが明確で、紙に書くより意見を述べやすい。」という意見が多くみられた。

 生徒のタイピング技術の向上を図りつつ、漢字の適切な変換等も学べる。社会に出たときに役立つ知識・技能を身につけるためにも、ICT活用を進めていきたい。

 

Chromebook のGoogle フォームを使った例

 

 授業のユニバーサルデザイン化は重要なので、何をすればよいかをわかりやすくすることと、発表と発表の間の短い時間で入力できることを意識した。

 

(『ことばの学び』No.16 2022年9月発行に掲載)

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プロフィール

石川 剛章    いしかわ・よしあき (横浜市立六ツ川中学校)

横浜市立中学校教育研究会国語科部会授業研究部長

生徒がメタ認知しながら自己表現できるようになる授業を目指している。

研究授業や学習会を企画し、国語教師が国語について語り合う場を多く設けている。

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