本コラムは、奥住桂先生が長年綴ってこられたブログ『英語教育2.0』をもとに、新たな視点と内容を加えて再構成していただいたものです。実践に根ざした具体的なアイデアと、英語授業への深い洞察が詰まったそのエッセンスを活かし、先生方の授業に役立つヒントをお届けします。
奥住 桂
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員
2026年10月21日
はじめに
英語の疑問文に答えるというのは、シンプルに見えて実はけっこう忙しい作業ですよね。
たとえば “Does your sister play the piano?” と聞かれたら、
① Doesだからdoesで返す
② your sisterだから代名詞はshe
③ 肯定ならYes, she does.
と、瞬時にいくつもの判断が必要です。
頭ではわかっていても、相当慣れないと、とっさに口から出てこないものです。
「クイック・レスポンス」(QR)は、この「疑問文への応答」に必要な判断を、ペアでのドリルによって体に染み込ませていく活動です。レベルを細かく分けて、判断のポイントを1つずつ増やしていくのがポイントです。
準備するもの
疑問文が15個ほど並んだハンドアウトを1枚用意します。
Excelなどで作れば、文の入れ替えも簡単です。たとえばLevel 1(1年生の最初)なら、”Are you〜?” と “Do you〜?” の疑問文を混ぜて並べます。
1.Are you a student?
2.Do you like music?
3.Are you from Tokyo?
4.Do you have a dog?
5.Are you thirteen years old?
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活動方法
まず全員で、ハンドアウトの疑問文を声に出して読む練習をする。
① ペアを作り、じゃんけんで「質問する側」と「答える側」を決める。
② 質問する側が英文を1つずつ読み上げ、答える側はハンドアウトを見ないで、すべてYesで答える。
③ 1分間で、いくつの質問に答えられるかを数える。
④ 15問すべてYesで答えたら、①に戻って、今度はすべてNoで答える。
ルールは「内容は気にせず、とにかくYes(またはNo)で正しく答える」だけです。
この活動の設計上のポイントは、判断すべき要素を少しずつ増やしていくことです。
| レベル | 対象学年 | 練習のポイント |
| Level 1 | 1年前半 | Are you〜? / Do you〜? → Yes, I am. / Yes, I do. の使い分け |
| Level 2 | 1年中盤 | Does he〜? / Is she〜? → 三人称の代名詞(he / she)への置き換え |
| Level 3 | 1年後半 | Are you〜? と Do you〜? の混在 → be動詞と一般動詞の区別 |
| Level 4 | 1~2年 | Is〜? の疑問文への応答 |
| Level 5 | 2年 | Will you〜? / Are you going to〜? / May I〜? → 助動詞を含む表現 |
同じ仕組みのまま、学習段階に合わせてハンドアウトを差し替えるだけで、1年生から3年生まで繰り返し使えます。
活動を通して身につく力
最初は「えーと、Doesだから……she……does?」とたどたどしかった生徒が、数回やるうちに反射的に “Yes, she does.” と返せるようになります。1分間のタイムプレッシャーが緊張感を生み、ペア同士で「もう1回!」と自然にリピートが始まります。
意図的に似た英文を並べておくのも効果的です。たとえば、
11.Do you play the piano?
12.Are you a good pianist?
この2つを続けて答えることで、「Doの後ろには動詞が来る」「Areの後ろには名詞や形容詞が来る」という感覚が、説明抜きで体に入っていきます。
QRのようなドリル的な活動を授業に取り入れている先生は多いと思いますが、そこで一生懸命練習した疑問文を、授業内の別の場面で「使わせる」仕掛けまで用意することが大切です。
たとえば、QRで疑問文の応答パターンを練習したあとに、答えを言ってはいけない Who Am I?(相手が誰かわかっても答えを言えず、代わりにYes / No疑問文で質問し続ける活動)をやると、QRで身につけたパターンがそのまま実戦で使えます。
あるいは、ALTとの面接テストの前にQRで復習しておけば、質問への返答がスムーズになります。
ワークシートを見ながらなので、全員が声を出せる活動です。というか、この活動をやるためには、ワークシートの英文を相手に読み上げられるようにならないといけないので、一生懸命音読練習に取り組んでくれます。
苦手な生徒にとっては、まずはそれが何よりの「練習」になるんじゃないかなと思います。
ブログ元ネタ:『クイック・レスポンス Level 1』(2006年7月1日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20060701/p1/『クイック・レスポンス Level 5』(2007年6月21日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20070621/p1
奥住 桂
おくずみ・けい
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員
・千葉県野田市生まれ
・獨協大学外国語学部英語学科卒業、埼玉大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学
・埼玉県公立中学校教諭、帝京大学、埼玉学園大学を経て、現在埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科准教授
・最近の関心は「ゲーミフィケーション」と「演技」
・このところラーメン派から蕎麦派になりつつある自分に驚き

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