本コラムは、奥住桂先生が長年綴ってこられたブログ『英語教育2.0』をもとに、新たな視点と内容を加えて再構成していただいたものです。実践に根ざした具体的なアイデアと、英語授業への深い洞察が詰まったそのエッセンスを活かし、先生方の授業に役立つヒントをお届けします。
奥住 桂
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員
2026年08月19日
はじめに
「be動詞と一般動詞の区別」というのが、中学1年生最初の山場だと思います。「三単現の s」という大物もいますが、こちらは間違ってもコミュニケーションにはさほど影響がないし、頑張ってもどうせすぐには身につかないし、ということで気長に取り組むしかない。でも「be動詞と一般動詞の区別」については、早めにある程度固めておかないと、あとの単元でも苦労しそうということで、結構こだわってやっていました。
現行の教科書だと NEW CROWN でも、音声的には小学校で慣れ親しんでいるということもあり、be動詞も一般動詞も Lesson 1 から混在しているので、どこかで明示的に区別しながら整理する必要があります。でもリクツで説明しただけではなかなか定着しないので、たくさん触れる中で慣れさせたい。本日ご紹介するのは、そんなときに使える活動です。
クイズは難しい
もう一つ、この活動のいいところは、「クイズ」という活動の抱える構造的な問題点をクリアできる点です。「Who Am I? (私は誰でしょうクイズ)」はよく使われる活動ですが、誰かが早い段階で答えを言ってしまうと、それでクイズが終わってしまいます。
早くわかった生徒の活躍を褒めてあげるにはよいのですが、「みんなが考える」前に終わってしまうと、ちょっともったいない気もします。まして、早く答えた生徒が冷ややかな目で見られてしまうのは望むところではありません。
この「答えを言ってはいけない Who Am I? 」は、多くの先生がすでに取り組まれていて、私も地域の先輩から教わった活動ですが、シンプルながら大変よくできていると思います。得意な子も苦手な子も活動量が保証されるクイズなんです。
活動方法
まず答えの絵を描いた紙を用意し、その一部分だけが見えるように隠します。私の場合は画用紙に絵を描いて、一部を折って使っています。そこでヒントを出します。
<ヒント1> I am a boy.
このヒントを聞いて、答えを考えるわけですが、万が一「あれかな?」と思っても答えを言ってはいけないのがこの活動のポイントです。答えを言えない代わりに、生徒は質問をします。手を挙げた生徒を指名します。
<質問1> Do you live in Japan?
教師はその質問に、答えの人物になったつもりで Yes, I do. / No, I don’t. で答えます。この質問の答えを聞いても、あまり絞れません。
そこで、生徒たちは「そもそも何者か?」を問いたくなります。すると自然に、Are you an animal? のような属性などを尋ねるbe動詞を使った疑問文が活躍します。*Do you anime character? のような誤文も出てきますので、指導のチャンスが生まれます。
質問は随時受け付け、手があまり挙がらなくなったら次のヒントを出します。
<ヒント2> I live in Kasukabe.
このヒントで、例えば「(クレヨン)しんちゃんでは?」と思った生徒がいれば、それを確認するような質問を促します。
<質問2> Do you have a sister?
こんな問答を聞いていくことで、他の生徒たちも「もしかして」と思い始めます。やがて、誰かが固有名詞を使って核心に迫る質問をします。
<質問3> Do you like Chokobi?
こういったバレバレともいえる質問こそが、まだわかっていない生徒にとっては最大のヒントになります。そして答えがわかった生徒にとっては、この「質問を作る」という活動が一つ上のタフなタスクになるし、何より彼らは得意げに質問を考えるようになります。
これなら、得意な生徒は答えがわかったあとも活動ができるし、苦手な生徒はたくさんのヒントを聞いて考えるチャンスが得られます。スピーキング、リスニング両面のトレーニングになるわけです。
もうだいたいの生徒がわかった(という顔になった)ら、“Say my name!” と言って、全員に答えとなる名前を叫ばせます。ここで絵の隠していた部分を見せて答え合わせ。最初に見えていた部分が、答えのわかりにくい一部分だったりすると、「そこかよー!!!」と盛り上がります。
ちなみに活動自体は、絵を使わなくても取り組めます。私は「じゃあ、今から答えが私に憑依します」みたいなことを言って、何かが乗り移ったような小芝居をしてから「なりきり」を始めることもあります。
おわりに
この活動は、1年生のbe動詞の文と一般動詞の文が両方出そろった頃にやってみると効果的です。Are you like soccer? なんて英文が出てきたら「Do you〜? だよ」って教えてあげられます。もちろん答える側も、Yes, I do. なのか Yes, I am. なのかに気を配ることになります。それも、1学期のよい復習になると思います。
教員が問題を出していくのが一般的ですが、慣れてきたら生徒に出題してもらうのもいいですね。帯活動で毎回1人ずつ交代で出題者になるのも楽しいかも。
ブログ元ネタ:『答えを言ってはいけないWho Am I?』(2007年4月20日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20070420/p2
奥住 桂
おくずみ・けい
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員
・千葉県野田市生まれ
・獨協大学外国語学部英語学科卒業、埼玉大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学
・埼玉県公立中学校教諭、帝京大学、埼玉学園大学を経て、現在埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科准教授
・最近の関心は「ゲーミフィケーション」と「演技」
・このところラーメン派から蕎麦派になりつつある自分に驚き

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