本コラムは、奥住桂先生が長年綴ってこられたブログ『英語教育2.0』をもとに、新たな視点と内容を加えて再構成していただいたものです。実践に根ざした具体的なアイデアと、英語授業への深い洞察が詰まったそのエッセンスを活かし、先生方の授業に役立つヒントをお届けします。
奥住 桂
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員
2026年09月14日
「ドボン」の魅力
「ドボン」というゲームをご存じでしょうか。
といっても、今回直接引用しているのはトランプなどで遊ばれる「ドボン」ではなく、2000年代にテレビ番組「Qさま!!」でやっていた「ドボンクイズ」が元ネタです。古い! 複数の選択肢の中に1つだけ不正解が混ざっていて、それを避けながら正解を選んでいくという形式です。
この「ドボン」の仕組みを使ってみると、地味な練習が一気に楽しくなるので、今回はクラス全体で盛り上がる「教科書ドボンクイズ」と、ペアで簡単にできる「単語deドボン」の2つのバリエーションを紹介します。
バリエーション① 教科書ドボンクイズ(クラス全体)
教科書の内容に関する英文をいくつか用意し、その中に1つだけ「ドボン(=内容的に間違っている英文)」を混ぜておきます。生徒はドボンを避けながら、英文を声に出して読み上げていきます。例えば、比較級・最上級の単元なら、こんな感じです。
Mt. Fuji is the highest mountain in Japan.(セーフ)
Lake Biwa is the largest lake in Japan.(セーフ)
The Shinano River is the longest river in Japan.(セーフ)
Tokyo Tower is the tallest tower in Japan.(ドボン! 東京スカイツリーのほうが高い)
班対抗戦にする場合は、1班ずつ順番に挑戦します。提示された英文(1文)を見て班のメンバーで相談し、「セーフだ」と思ったら、その英文を全員で声に出して読みます。「これがドボンだ」と思ったら、「ドボン!」とコールします。
全班がドボンを避けてクリアできれば生徒チームの勝ち。途中でドボンの英文を読んでしまった班があれば、教師の勝ちになります。
このゲームの面白さは、「英文の内容を理解していないと判断できない」ところと、ちゃんと音読練習をしておかないと、みんなと一緒に英文が読めない、という構造にあります。
実際にやってみると、あるクラスでは途中で撃沈、またあるクラスではラストの班がドボンを引いてしまい、教室中が悲鳴に包まれました。
クイズが終わったら、出てきた英文を全部ワークシートに書き取らせるのもよいでしょう。「日本一」編、「世界一」編、「世界遺産」編など、テーマを変えてシリーズ化すると、何度でも使えますね。
バリエーション② 単語deドボン(ペアワーク)
こちらは、教科書の新出単語を使った、ペアでの対戦型ゲームです。相手が選んだ単語を「言ってしまったら負け」というルール。教科書さえあればいつでもできます。
教科書の新出単語リストを開いたら、各自、リストの中から好きな単語を1つ選び、教科書に○をつけます(相手には見せません)。じゃんけんで先攻・後攻を決め、先攻から交互にリストの中の英単語を1つずつ声に出して読み上げていきます。相手が○をつけた単語を言ってしまったら「ドボン」で負けになります。
1回目で当たってしまうペアもいますが、そうしたらもう1回戦やらせていました。メリハリをつけるために、起立してゲームを始め、終わったペアから座る、というルールにすると、全体の進行が見えやすくなります。
逆バージョンとして、「相手が選んだ単語を言い当てたら勝ち」という「英単語宝探しゲーム」にもアレンジできます。
こちらも、楽しくゲームに参加する(ゲームで勝つ)ためには、授業の中で「新出単語を何度も声に出して読む」ことが必要になるのがポイントです。授業に「ゲーム」を持ち込むなら、ゲームの時間だけが楽しくなるのではなく、ゲームを楽しむために授業のほかの活動も頑張る、という設計にしたいですね。
ブログ元ネタ:『Qさまの「教科書ドボン」』(2008年1月22日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20080122/p1/『単語deドボン』(2008年1月24日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20080124/p1
奥住 桂
おくずみ・けい
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員
・千葉県野田市生まれ
・獨協大学外国語学部英語学科卒業、埼玉大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学
・埼玉県公立中学校教諭、帝京大学、埼玉学園大学を経て、現在埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科准教授
・最近の関心は「ゲーミフィケーション」と「演技」
・このところラーメン派から蕎麦派になりつつある自分に驚き

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