三省堂のWebコラム

奥住桂のTips for Teaching English 2.0

本コラムは、奥住桂先生が長年綴ってこられたブログ『英語教育2.0』をもとに、新たな視点と内容を加えて再構成していただいたものです。実践に根ざした具体的なアイデアと、英語授業への深い洞察が詰まったそのエッセンスを活かし、先生方の授業に役立つヒントをお届けします。

No. 19 テストに出そうな単語(でそ単)

奥住 桂
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員

2026年07月22日

単語練習の方法を紹介したい

英単語と日本語訳を一対一で対応させて覚えさせる(練習させる・テストする)ことには、賛否があると思います。本来、それぞれの英単語は多様な語義を持っていますし、使用される文脈やコロケーションも大切です。

 

それはわかっているんですけど、英語の文字を本格的に学び(使い)始めた中学生くらいの学習者にとっては、英単語の綴りを体得するために、ある程度繰り返し練習することも必要です。そういうシンプルな繰り返しの練習の場面では、このような一対一対応のワークシートも学習の役に立つのではないかと割り切って、私も活用していました。

それがこの「でそ単」です。

 

「でそ単(テストに出そうな単語)」と名乗っているのは、多くの(特に英語が苦手な)学習者に、定期テスト前にテスト範囲の単語をとりあえず練習してほしかったからです。

 

「テストに出そうな単語」とはいうものの、実際には30〜40語くらい載せるので、「これってテスト範囲の新出単語全部じゃん」と生徒も気づきます。(それでもテスト前になると「先生、でそ単まだ? あれがないとテスト勉強が…」という生徒もいるから不思議です。)

 

さて、お気づきのように、これは単なるリストではなく、練習用のスペースも含んだワークシートになっています。このワークシートを通して、生徒たちに単語練習と定着確認の方法を提示したかった、というのが一番のねらいです。(その意味では「あれがないとテスト勉強が…」という生徒の言葉はもっともなんです。)

使い方① 練習編

「でそ単」では、英単語を左端に、その単語の意味(日本語)を右端に印刷してあります。生徒はまず、左端の単語を見ながら、それぞれの単語を右に1つずつ丁寧に練習していきます。

 

こういう練習自体は一般的だと思いますが、私は練習の回数は生徒に任せていました。何回か書いてみて、自分で「これくらいでいいかな」と判断する。

 

ワークシートでは5回しか練習できませんが、必要であれば自分のノートや余分にもらったワークシートに何回も練習する単語もあるし、「これくらいで十分だろう」と数回で練習を終える単語もあります。それは生徒次第。あとでセルフテストをしてみて、必要になったら追加練習すればいい、という考えです。

 

得意な生徒も苦手な生徒も同じ回数練習する、という風習はなくなればいいなぁと願っています。

使い方② セルフテスト編

左端の英語の部分を隠すように縦に紙を折ると、即席の単語テストになります。右端の日本語を見ながら単語を書いていきます。折ってあった部分を広げれば、すぐに答え合わせができて便利です。

 

2回目以降は、今書いた部分も含めて隠れるように縦に紙を折ります。これを何度も繰り返して、「もうこの単語は書ける!」という状態になったら、その単語の日本語のところに印をつけます。その単語はもう練習しないわけです。

 

書けない単語だけ、何度も練習する。そうすることで、効率よく着実に単語が定着するようになります。

テストとの連動

このワークシート自体は、別にどんな単語の学習にも使えますが、「でそ単」を名乗っていますので、実際のテストとの連動についても書き添えておきます。

 

まずは、このリストの中の単語を何問か、単語の綴りを問う形で出題します。生徒も、毎回このリストからテストに出ることに気づいてからは、苦手な生徒でも練習してくるようになりました。

 

でも、「単語を書きなさい」という問題ばかり出題するわけにもいかないですよね。そこで、穴埋めやリスニングの答えが、結果的にこの「でそ単」に載っている単語になるようにしています。例えば、綴りは(練習して)ある程度わかっているという単語なら、ディクテーションをリスニングに導入しても、それほど負荷はかからないと思います。だから、「あとから振り返ってみたら、解答用紙に書いてある英語のかなりの語が『でそ単』に載ってた」というふうにしていました。

 

もちろん、「先生、でそ単全部書けるようにしたのに、単語6個しか出なかったじゃん〜」と泣きついてくる子もいます。そういう子は、どちらかというと英語が苦手な子が多いです。でも、よく考えてみると、英語の苦手な子たちがテスト前に「40単語全部書けるようにした」ってすごいことじゃないですか? あとは、「どこでそれを書くか、が次のステップだね」と声かけしてあげられます。

 

Excelファイルはこちらからダウンロード可能です。単語を入れ替えて、ご自由にご活用ください。(生徒に配布する際は、B4版などに拡大して印刷していました。)

ブログ元ネタ:『でそ単1』(2007年6月27日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20070627/p1

ブログ元ネタ:『でそ単2』(2007年7月14日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20070714/p1

プロフィール

奥住 桂    おくずみ・けい
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員

・千葉県野田市生まれ
・獨協大学外国語学部英語学科卒業、埼玉大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学
・埼玉県公立中学校教諭、帝京大学、埼玉学園大学を経て、現在埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科准教授
・最近の関心は「ゲーミフィケーション」と「演技」
・このところラーメン派から蕎麦派になりつつある自分に驚き

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