三省堂のWebコラム

奥住桂のTips for Teaching English 2.0

本コラムは、奥住桂先生が長年綴ってこられたブログ『英語教育2.0』をもとに、新たな視点と内容を加えて再構成していただいたものです。実践に根ざした具体的なアイデアと、英語授業への深い洞察が詰まったそのエッセンスを活かし、先生方の授業に役立つヒントをお届けします。

No. 18 マルかバツかで判定するパフォーマンス・テスト

奥住 桂
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員

2026年07月02日

はじめに

学期末が近づき、パフォーマンステストを実施している先生方も多いかと思います。でもタスクのお題や評価規準の設定に悩まれているという声もよく耳にします。ルーブリックとか考え始めると、AとBの違いなんかに悩んじゃいますよね。
 
そんなときは、シンプルなタスクにして、マルかバツかで判定しちゃうのはどうでしょうか。今回ご紹介する「買物検定」は、いわゆる「検定試験」方式で、「合格」か「不合格」かの2択で判定するテストです。
 
この「買物検定」、略して「買検(かいけん)」は、元々は地域の先輩から、英語教師の集まり(サークル)で教えていただいたアイデアです。

活動方法

こちらが生徒に配布した受験票です。

 

受験票とかが本格的だと生徒のやる気も高まるので、毎回頑張って作っています。こちらは某有名検定試験に寄せて作ってみました。

「買検」には4級から1級まで4つの級があり、生徒がどれを受けるかを選択することができます。また、ダブル受験が義務づけられているので、4級を受けたら、その後3級を受ける、という形になります。飛び級も認めています。

 
4級では、教科書の買い物会話ページのお客さんパートを読んで、ALTと会話している錯覚を味わってもらいます。3級は、教科書を見ないで同じ会話を体験。2級では、商品が売り切れていたり、サイズが合わなかったり、予想外の展開への対応が求められ、1級は店員さんパートを即興でこなす、というタスクです。
 
教師は「合格」「不合格」を判定し、合格した場合は受験票にスタンプを押します(サインでも可)。生徒は、受験後に振り返りを記入して、のちほど教師に提出するという流れです。
 
お気づきの通りこのテストは、4級は「音読」、3級は「暗唱」、2級と1級は「即興会話」と、求められるスキルが級によってバラバラで、何を測っているかが統一されていません。テスティングとしては本当はよくない設計ですよね。
 
ただ、今回はダブル受験を義務づけることで、ほぼ全員が3級は受けることになり、全員について3級の出来を見ることができます。なので、全員に3級をクリアしてもらうことを裏テーマにしつつ、クリアした生徒にはチャレンジングなタスクを用意して頑張ってもらう、というのが実際のねらいです。

テストを実施してみて

多くの生徒が慎重に4級からスタートしていましたが、勇気ある生徒が2級に挑戦して合格して戻ってくるのを見て、もう受験しちゃった生徒たちはずいぶん悔しがっていました。実際、暗記しなくてもいい2級のほうが3級より簡単なんじゃないか、と気づいた生徒もいました。せっかく火がついている生徒がいるので、翌週の放課後に再挑戦できる時間を設定しました。
 
評価する側としては、級ごとにやることは異なるものの、その級で求められる技量とレベルは定まっているので、本当に「合格!」か「残念!」かだけを判定すればよく、その場で評価が完了するのがいいと思います。ALTに試験官をお願いする際も、シンプルで評価がブレにくいと思います。
 
生徒も、特に放課後の再受験の際は、自分で「できる!」と思えるようになって(思えるようになるまで練習して)から来るので、こちらが判定する前に「できた!」「できなかった!」と自分でわかっている場合が多いです。そういうテストだと、練習の段階からやるべきことが整理されているので、生徒も取り組みやすいと思います。
 
この検定方式は、一度経験してしまえば、別のタスクにもいくらでも応用できます。私もこれまで、「買検(かいけん):買物検定」「読検(よみけん):教科書音読検定」「紹検(しょーけん):人物紹介検定」「演検(スピけん):スピーチ(演説)検定」と、中身を変えていろいろ実施しています。先生方のアイデアで、他にもいろいろな使い方ができるのではないかと思うので、ぜひお試しください。

ブログ元ネタ:『買物検定』(2018年6月21日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20180621/p1

ブログ元ネタ:『検定シリーズ(まとめ)』(2008年6月29日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20080629/p1

プロフィール

奥住 桂    おくずみ・けい
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員

・千葉県野田市生まれ
・獨協大学外国語学部英語学科卒業、埼玉大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学
・埼玉県公立中学校教諭、帝京大学、埼玉学園大学を経て、現在埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科准教授
・最近の関心は「ゲーミフィケーション」と「演技」
・このところラーメン派から蕎麦派になりつつある自分に驚き

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