三省堂のWebコラム

奥住桂のTips for Teaching English 2.0

本コラムは、奥住桂先生が長年綴ってこられたブログ『英語教育2.0』をもとに、新たな視点と内容を加えて再構成していただいたものです。実践に根ざした具体的なアイデアと、英語授業への深い洞察が詰まったそのエッセンスを活かし、先生方の授業に役立つヒントをお届けします。

No.16 たまには「逆」を考えてみよう

奥住 桂
埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科、「NEW CROWN」編集委員

2026年05月27日

Why〜? の疑問文を考えさせる

今回は新出文法の定着に向けた練習のお話です。なんとなくやりやすい形があるのはわかりますが、たまにはいつもと「逆」をやってみると面白いよ、というお話です。

 

Why-Becauseの問答の練習をしていたときのことです。

 

Do you like soccer?

Are you sleepy now?

 

といった一般的な質問のあとに、”Why?”(あるいは”Why do you like science?”) とさらに深掘りする質問をする、というペアによる対話の練習をやっていました。

 

ただ、こういうのってだいたい「理由」は聞く前からわかっていたり、あんまり論理的な説明になっていないもの(例:サッカー好き→サッカー部だから)が多かったりして、生徒たちは発話はしているものの、あんまり意味を考えて言葉を使っていないな、と感じていました。

 

そこで、仕上げの活動は、ちょっとヒネリを入れて、「じゃあ、”Because it was too hot.”という文が答えになる疑問文を考えてみよう」という活動をしてみることにしました。

 

1問目はみんなで考えてみます。「『暑かったから』どうしたのかな?」と問うと、「窓開けた」「アイス食べた」「服脱いだ」という答えが出るので、それをまずは日本語で書かせます。

 

で、「それを疑問文にして、先頭にWhyをつけてみよう」と促すと、あら不思議、”Why did you open the window?”という疑問文が意外とスムーズに書けます。

 

これで、

 

Why did you open the window?

-Because it was too hot.

 

という問答の完成です。

 

2問目、3問目には個人でチャレンジさせていきます。”Because I was hungry.”とか”Because I had 10,000 yen yesterday.”といった「答え」が用意されています。

 

中には、

 

Why did you break the window?

-Because I was hungry.

 

なんて英文を書く生徒もいるんですけど、理由を聞くと「腹空き過ぎてイライラしてつい…」なんて言うので(笑)、「それも英語で言えたら(書けたら)いいよ」なんて追い込んでもいいかも知れませんね。

 

私が教えていた生徒たちの多くは、いきなりWhyの文を書かせるのは難しそうだったので、一度「『暑かったから』どうしたのかな?」の答えを日本語で書かせるというステップを踏んだことで、多くの生徒が疑問文までたどり着くことができたかなと思います。

When節を考えさせる

ALTと一緒にWhy-Becauseの活動や練習を考えていた際にこだわったのは、「likeの理由がlikeになっちゃうようなのはやめたいよね」というのと「理由を決めるだけで無駄に時間がかかりすぎるのはやめよう」ということです。

 

この活動では、Becauseの文を提示してゴールを絞ることで、そこにたどり着くためのスタートはある程度多様に、でも論理的につながってないとダメなのである程度は縛られるだろう、という私の好きな感じの自由度になったかなと思います。

 

このように、多くの場合はWhy→Becauseという順番に取り組みそうなところを逆にすることで、ちょうどいい制限が生まれた、というのと似た事例としては、接続詞のwhenの練習があります。

 

これも、”When I was 10 years old, I….”みたいに後ろの主節を考えさせる活動をやりがちなんですが、これもみんな同じになる or 何を書いていいか決まらない、ということになりがち。そこで、when節の方を書かせてみたら、一気に多様な答えに出会えるようになって面白かったです。

 

その際は、”I feel happy when I….”の後ろを考えさせました。

 

I feel happy when I’m listening to music.

I feel happy when I dance.

I feel happy when I’m sharpening pencils.(←私です笑)

 

それぞれのhappyが見えてとても盛り上がりましたが、単なるドリル的に扱うだけでなく、工夫次第で様々な活動に発展できる可能性があると思います。「同じ感性の人を探す」みたいな目的を与えて尋ね合う活動もできるし、どう扱ったら私が喜ぶか(悲しむか)を並べて、「私のトリセツ」を書かせる活動も面白いですね。中学校3年生最後のライティング活動にオススメです。

ブログ元ネタ:『Because文からWhy文を逆算する文法演習』(2016年12月17日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20161217/p1

『I feel happy when I’m…』(2016年5月31日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20160531/p1

『私のトリセツ』(2016年2月21日)https://anfieldroad.hatenablog.com/entry/20160221/p1

プロフィール

奥住 桂    おくずみ・けい

・千葉県野田市生まれ
・獨協大学外国語学部英語学科卒業、埼玉大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学
・埼玉県公立中学校教諭、帝京大学、埼玉学園大学を経て、現在埼玉大学教育学部・大学院教育学研究科准教授
・最近の関心は「ゲーミフィケーション」と「演技」
・このところラーメン派から蕎麦派になりつつある自分に驚き

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