三省堂 発行書籍
国語授業における 「対話」学習の開発

「対話力」こそが「伝え合う力」の基盤となる。実践的理論を踏まえた上で、中学校国語科における幅広い学習場面での対話を取り入れた授業実践を紹介。生きて働く対話力が身につく授業のための実践的提案書。

  • 花田修一
  • 2013年 12月 10日 発行
  • 定価 2,090円(本体1,900円+税10%)
  • A5判  160頁  ISBNコード 978-4-385-35794-2
  • 対象 中

著者紹介

花田修一 (はなだ・しゅういち)

1941年生まれ。福岡学芸大学(現・福岡教育大学)卒業。福岡市内公立中学校を経て、1976年からお茶の水女子大学附属中学校に勤務。お茶の水女子大学講師も兼任。「学習指導要領」「評価基準」などの文科省関係の作成協力委員も務める。現在は、日本教育大学院大学学校教育研究科教授(研究科長)。著者は、『伝え合う力とは何か』(三省堂)、『「読むこと」の授業改革』(三省堂)、『心を育む言葉の教育』(明治図書)、『心を育てる敬語指導─心ある言葉の使い手をめざして─』(明治図書)など多数。

執筆者紹介(本編掲載順、所属は2013年度)

村松 賢一 スピーチコミュニケーション教育研究所主宰
 花田 修一 日本教育大学院大学学校教育研究科教授
 内田 伸子 筑波大学監事・お茶の水女子大学名誉教授
 黒石 憲洋 日本教育大学院大学准教授
 宗我部義則 お茶の水女子大学附属中学校教諭
 初谷 敬子 穎明館中学高等学校教諭
 菊池真理子 穎明館中学高等学校教諭
 梅田悠紀子 広島なぎさ中学校・高等学校教諭
 本橋 幸康 埼玉大学准教授
 山岸 直希 学習院中等科教諭
 横山加代子 東京都墨田区立吾嬬第一中学校教諭
 福島 教全 東京都足立区立栗島中学校教諭
 屋代 健治 千葉県千葉市立葛城中学校主幹教諭
 日髙 辰人 東京都世田谷区立三宿中学校副校長
 星野 祐子 十文字学園女子大学短期大学部専任講師
 楊  虹  鹿児島県立短期大学准教授

目次

まえがき

【第1部 理論編】

 1 今、なぜ「対話」学習が必要なのか
 2 これからの「対話」学習のカリキュラムをどう開発するか
 3 子どもの発達を踏まえた「対話」学習をどう創出するか ―対話を通して内省力を育てる
 4 社会人の対話力から見てどのような「対話」学習を期待するか

【第2部 実践編】

 1 語り合おう―将来の夢 ―穴あきスピーチを応用した対話(対談)指導の試み
 2 商品名を考えよう ―「きく」ことを重視する対話の可能性
 3 わかりやすく説明しよう ―「言葉」について、対話を通して考えを深め、説明文を書く
 4 意見と根拠を述べる発表指導の試み ―サイコロを使ったゲームにより、順番に意見を発表する活動
 5 「空中ブランコ乗りのキキ」(別役実) ―対話を通して物語を読む
 6 「言葉を考える」(清水義範・梶原しげる・金田一秀穂) ―対話を取り入れた説明文指導の試み
 7 「吟味された言葉」(大江健三郎) ―対話を通して自らの考えを深める指導の試み
 8 「竹取物語」 ―「対話劇」を通して古典に興味をもたせる
 9 「枕草子」 ―対話を通して読みを深め、古典の世界を楽しむ指導の試み
 10 敬語で台本づくり ―ペアで対話しながら敬語の正しい使い方を理解する

【第3部 資料編】

 1 「対話」指導に関する主張とその考察
 2 対話力を育てる ―発達過程の解明から授業実践へ

あとがき

まえがき(抜粋)

現在、新学習指導要領に基づいた国語科授業が展開されている。小学校は平成二十三年度から、中学校は平成二十四年度から新教科書が使われている。今回の改訂では、とりわけ「すべての教科や教育活動で言語活動を通して言語力を育てる」ということが強調されている。
 本書は、「すべての教科や教育活動の基礎基本となる対話学習を通して表現力や判断力や思考力などを育てたい」という願いを込めた内容に焦点化した。「対話力」こそが、「伝え合う力」の基盤となると考えているからである。したがって、書名も『国語授業における「対話」学習の開発』とした。

 本書の構成は、次のようになっている。
 第1部は、「対話」学習に関するそれぞれの専門的立場からの理論的提言が中心である。それは、「今求められる対話学習の必要性」「これからの対話学習のカリキュラム開発」「子どもの発達をふまえた対話学習の創出」「社会人の対話力から見た対話学習への期待」などである。いずれも理論構築のための提言ではなく、学校現場や生活に生きて働く活用型国語学力観としての実践理論である。その視点から熟読され評価していただければ幸いである。
 第2部は、「対話」学習に関する実践的提案が中心となっている。それも「ペアトーク」「討論」などの「話すこと・聞くこと」の領域だけではなく、「説明文」「意見文」などの「書く」領域で「対話」を取り入れたり、「説明」「物語」「随筆」などの「読むこと」の領域に「対話」を取り入れたりした。また、「伝統的な言語文化」や「国語の特質」などに関する学習にも「対話」を取り入れて、いずれも学年発達にふさわしい領域や話題や学習教材などを工夫して指導したものである。なお、この実践編は、「単元(題材)設定の趣旨」「学習の実際」「学習の成果と課題」というのを基本的な構成とした。いずれの実践も、本書の趣旨から「対話」学習にポイントを絞って報告したものである。
 第3部は、「対話」に関する先達の主張や文献などを簡潔に紹介し、その考察を行った内容が中心となっている。参考資料としてお読みいただければ幸いである。

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