工藤洋路、津久井貴之
東京外国語大学、群馬大学
2026年07月01日
工藤
あっという間に暑くなって、もう7月だね。
津久井
よくも悪くもクラスの様子がよく見えてきて、英語が得意な子と苦手な子もわかってきてしまう頃だよね。
工藤
英語が得意な子も苦手な子も、まずは「たくさんの正しい英語」に触れることが、中学校での英語の学びにつながっていくと思うよ。
たくさんのインプットがあれば、間違いに対する「違和感」が育つ
津久井
今は、よい意味で英語へのハードルが低い小学生の段階から、たくさん話す経験をしているよね。だから中学生も、内容やレベルはともかく、どんどん話せる子が多いよね。
工藤
そうだね。小学校では相手が何を話すかがわかっている状態で聞いたり話したりすることも多いから、ちゃんと聞かなくても話がかみ合ってしまうケースも多い。でも、そこで正しい英語にたくさん触れていれば、それ自体がよいインプットになっているよね。
津久井
そうそう。“I like soccer.” “I like baseball.” “I like apples.”とたくさん聞いていたら、“I *am like ….”とはならないもんね。
工藤
例えば、“I ilke baseball.”みたいな英語をたくさん聞いていると、万が一“I *am like baseball.”と言ってしまったとしても、「あれ?こんな英語聞いたことないぞ?」って違和感が出る。
同じように、「canの後ろには動詞の原形がきます」と明示的に説明しなくても、canの後ろには動詞の原形がくるという感覚を持てていれば、“I can *playing ….”と聞いたときに「何かがおかしい」と感じる、母語的な感覚を養っていくことができると思うんだよね。
津久井
インプットが効いていれば、「正しい」か「間違い」かは説明できなくても、「聞いたことがない」という感覚が持てるようになるんだね。
オーラルイントロダクションは「教員の英語」でインプットを足す時間
津久井
それに関連して思い出したんだけど、この前「オーラルイントロダクションってやらないとダメですか?」って質問を受けたんだよね。
工藤
なるほど。
津久井
「オーラルイントロダクションはインプットの役割も果たしているから、英語教員が話す英語として、絶対必要だと思う」と答えたんだけど、あまり納得してもらえてない気がした。
工藤
今は教科書にもイントロダクション動画が多いからね。先生がやらなくても、動画を見せればよいと思っている先生方も増えてきているのかもしれない。でも先生がやれば、教科書よりもさらに生徒に合った文脈で話せる。生徒にとっては、その方が内容が入りやすいと思う。
津久井
そうそう。その学校やそのクラス、目の前の生徒に合ったイントロダクションをすれば、よりよいインプットになると思ったんだけど。
工藤
もちろん教科書に付属の教材はどんどん充実してきているから、一般的な内容であればすでにパッケージとして提供されているものを使うのもよい。でも、学校行事や給食のメニュー、直近のテストの出来不出来みたいなことまで含めてチューニングされたイントロダクションだったら、先生がやる方が絶対いいよね。
津久井
生徒の記憶に残りやすい大量のインプットを先生が仕掛けられれば、小学校でたくさん話す活動をしてきた生徒にとって、日常的にさらに追加でインプットができる。その先で、明示的に文法事項を学ぶときの手助けにもなるね。
|
※この連載は、お二人のざっくばらんなおしゃべりを企画化したものであり、工藤先生・津久井先生の公式発表ではありません。 |
工藤洋路 くどう・ようじ 東京外国語大学、「NEW CROWN」編集委員
・1976年生まれ
・東京外国語大学外国語学部・同大学院博士前期課程・後期課程 修了(学術博士)
・日本女子大学附属高等学校教諭等を経て、現在東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授
・趣味はランニング。出張先でのランが好き。大阪城周回、博多大濠公園、神戸みなとのもり公園でのランが特に好き。
・お気に入りのカフェメニューはプリンアラモード。
津久井貴之 つくい・たかゆき 群馬大学、「NEW CROWN」編集委員
・1974年生まれ
・群馬大学教育学部・同大学院修了
・群馬県内の公立中高一貫校やお茶の水女子大学附属高等学校教諭等を経て 、現在群馬大学共同教育学部講師
・趣味は朝の散歩後にレトルトカレーを食べること。
・お気に入りのカフェメニューは、ホットコーヒーとモンブラン。

先生向け会員サイト「三省堂プラス」の
リニューアルのお知らせと会員再登録のお願い
平素より「三省堂 教科書・教材サイト」をご利用いただき、誠にありがとうございます。
サービス向上のため、2018年10月24日にサイトリニューアルいたしました。
教科書サポートのほか、各種機関誌(教育情報)の最新号から過去の号のものを掲載いたしました。
ぜひご利用ください。