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「教科書で学ぶ」を目指したプロジェクト型学習
― CROWNで身の回りの課題を解決する授業実践 ―

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高等学校英語

福田 理奈 (神奈川県立川和高等学校)

2026年10月02日

1 はじめに

 私はこれまで、「生徒が英語を好きになり、学校外でも学び続けたくなる授業」を目指して、活動型の授業づくりに取り組んできた。現任校に着任した2020年は、新型コロナウイルスの影響で臨時休校となり、Google Classroomで課題を配信する日々が続いた。その経験から、「課題を与えるだけでは得られない、対面だからこそ生まれる協働的な学び」が学校教育の価値だと強く実感した。

 以来、「教科書を学ぶ」のではなく「教科書で学ぶ」ことを授業の軸に据え、社会課題を英語で考え、発信するプロジェクト型学習を実践してきた。SDGsをテーマにした4年間の実践では、生徒の課題意識は高まった一方、テーマがやや壮大で、生徒の日常との距離を感じる場面もあった。そこで2025年度は、「CROWNで身の回りの課題を解決する」を年間テーマに設定し、生徒自身の生活に直結する課題を扱うプロジェクトをスタートさせた。

 

2 単元「You and Your Smartphone」

 今回取り組んだのは、CROWN English Communication I(CI707)Lesson 6「You and Your Smartphone ― Who’s in Charge?」である。スマートフォンが生活に欠かせない存在となる一方で、その依存が健康や学習に与える影響について考える単元である。高校生にとって非常に身近なテーマであり、「自分事」として課題を捉えやすい内容だった。
 そこで本単元では、教科書の学びを実生活につなげる「DDC(Digital Detox Contest)プロジェクト」を実施した。生徒が思わず「DDCやらなきゃ」と口にするような親しみやすい名称を付け、デジタルデトックスを実際に体験・検証するプロジェクトとした。

 

3 プロジェクトの流れ

 プロジェクトは全10時間で実施した。

 導入では、リード文を用いた音読やリスニング活動を通して単元の概要を理解し、プロジェクトの目的を共有した。続くSection 1〜4では、語彙・文法・内容理解に加え、毎時間スマートフォンに関する対話活動を取り入れた。スマホの使用目的やお気に入りのアプリ、集中力との関係など、自分自身について英語で話す活動を重ねることで、課題意識を少しずつ高めていった。

 6時間目にはDDCプロジェクトを開始した。教科書には登場しない「デジタルデトックス」の概念を理解するため、日本デジタルデトックス協会のウェブサイトを英訳した教材を読み、班で内容について話し合った。さらに、「デジタルデトックスを勧めるメッセージ」を英語で作成・発表し、プレゼンテーションにつながる表現活動も行った。

 授業外では、定期試験前の約1か月間、班ごとに考えたデジタルデトックス方法を各自で実践した。実施期間や方法、場所は班で自由に決め、スマホの使用時間を減らすだけでなく、「勉強中は別室に置く」「画面を見にくい色味に変える」など、無理なく続けられる工夫を考えさせた。生徒は学習時間や集中度、試験結果などを記録し、効果をデータとして集めた。

 最後は班ごとにデータを分析し、スライドと英語原稿を作成して成果を発表した。クラス内で代表班を選び、学年集会では8チームによる「DDC FINAL」を開催した。英語によるプレゼンテーションをパフォーマンステストとして評価するとともに、生徒同士が互いの発表から表現や話し方を学ぶ機会にもなった。

 

〈プロジェクトで用いたワークシート〉

 

〈ファイナリストチームのプレゼンスライド抜粋〉

 

4 振り返り ― プロジェクトで見えた三つの成果

 このプロジェクトでは、三つの成果が見られた。

 一つめは、生徒が身近な社会課題に目を向けるようになったことである。スマホ依存を「自分には関係ない問題」ではなく、「自分たちの生活を見直す課題」として捉え、改善方法を考え行動に移す姿が見られた。

 二つめは、英語の表現力の向上である。アンケートでは、「本文の語彙だけでなく、対話活動を通してスマホについて話す表現が増えた」「データを伝えるために様々な英語表現を工夫できた」といった声が多く寄せられた。教科書で学んだ表現を、自分たちの体験を伝えるために活用できたことは、大きな学びだったと感じている。

 三つめは、生徒自身の行動変容である。「勉強に集中でき、試験の点数が上がった」「プロジェクト後もデジタルデトックスを続けたい」という感想が多く見られた。開始前は消極的だった生徒も、実際に効果を実感することで前向きに取り組むようになった。

 

5 おわりに

 今回の実践を通して、教科書の内容を「読む・理解する」で終わらせず、生徒自身の生活につなげることで、英語を使う目的が明確になることを改めて実感した。一方で、聴衆を惹きつけ、説得力をもって伝える英語での発信力にはまだ課題が残る。今後はプレゼンテーション指導もさらに充実させていきたい。
 2026年度は、CROWN II の「ナッジ(行動経済学)」の単元を活用し、「学校生活の課題」を解決するプロジェクトを予定している。1学年の「自分の課題」、2学年の「学校の課題」、そして最終学年では「社会課題」へと、課題解決の視野を段階的に広げていきたい。
 「教科書で学ぶ」ことを軸に、主体的・協働的・探究的な学びの中で、生徒が英語を使って社会に働きかける力を育てる授業を、これからも模索していきたい。

 

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プロフィール

福田 理奈    ふくだ・りな (神奈川県立川和高等学校)

神奈川県立川和高等学校教諭。証券会社の営業職、英会話学校の講師・教務主任など異業種での経験を経て教壇へ。神奈川県教諭14年目。「教科書で学ぶ」を軸に、生徒が英語で身近な課題や社会課題を解決・発信するPBL(プロジェクト型学習)の授業づくりに取り組んでいる。趣味は空手と筋トレ。

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