信州大学名誉教授。ハワイ大学大学院修士課程修了。中学校,高等学校教諭,信州大学教授,同大附属小・中及び養護学校長を歴任。退 官後,清泉女学院大学教授(人間学部 学部長)。学長代理,特任・客員教授を経て2013年3月退職。2013年7月より小諸市教育委員会指導主事(英語教育担当)。全国英語教育学会・小学校英語教育学会・日英英語教育学会・中部地区英語教育学会各顧問。著書に,中学校英語検定教科書New Crown English Series(共著,三省堂),『創造力に取り組む英語教育』(桐原書店),『英語が使える日本人の育成 MERRIER Approach のすすめ』(編著,三省堂)など。
弘前大学名誉教授。ハワイ大学大学院修士課程修了。高等学校教諭,青森県教育センター指導主事,弘前大学教授を経て現職。全国英語教育学会・小学校英語教育学会・日英英語教育学会各顧問。著書に,『英語リーディング指導の基礎』(共著),『英語コミュニケーションの指導』(共著),『英語リーディング事典』(共編),『教室英語活用事典』(共編)(以上,研究社),『新・英語教育学概論』(共著),『英語の「授業力」を高めるために』(編),『小学校英語で身につくコミュニケーション能力』(共著),中学校英語検定教科書New Crown English Series(共著)(以上,三省堂)など。
京都外国語大学特任教授。京都教育大学名誉教授。ハワイ大学大学院修士課程修了,小学校,中学校,高等学校教諭,福島県教育センター,桜の聖母短期大学,京都教育大学,平安女学院大学,関西大学を経て現職。小学校英語教育学会顧問。著書に,中学校英語検定教科書New Crown English Series(共著,三省堂),高等学校英語検定教科書Ocean English Course(共著,啓林館),『生徒の間違いを減らす英語指導法―インテイク・リーディングのすすめ』(三省堂),『英語授業レベルアップの基礎』(大修館書店)など。
信州大学教育学部教授。信州大学大学院教育学研究科修士課程(英語教育)修了。中学校教諭,上越教育大学を経て現職。小学校英語教育学会理事,中部地区英語教育学会運営委員・運営委員長(平成23,24年),日本児童英語教育学会紀要編集委員長(平成23~ 25年)・理事,全国語学教育学会 JALT Journal Editorial Board,日英・英語教育学会運営委員・紀要編集委員長。著書に,中学校英語検定教科書New Crown English Series(共著,三省堂),『英語が使える日本人の育成―MERRIER Approach のすすめ』(編著,三省堂)など。
はじめに
第1章 外国語活動の概観 ―英語教育の小中連携のために
1-1 外国語活動導入の背景と目標について
1-2 外国語活動における指導内容とその指導法
第2章 外国語活動担当教員と中学校英語教員・生徒の意識調査
2-1 小学校6年生担任の意識調査
2-2 中学校英語教員・生徒の意識調査
第3章 中学校英語教育の質的向上のために
3-1 従来の英語教育の問題点の整理 ――英語教育を取り巻く状況
3-2 従来の指導法の改善点について
3-3 英語教育の望ましい方向性について―Input を基本に据えて
3-4 中学校入学当初の指導について―「望ましい」接続のために
3-5 中学校の「新しい」指導について
3-6 生徒が浴びるInput を増やすための教員の英語使用について
―MERRIER Approach の紹介
3-7 Intake Reading のすすめ
第4章 教科書を使っての具体的な指導
4-1 文字の指導
4-2 Listening の指導
4-3 Speaking の指導
4-4 Reading の指導
4-5 Writing の指導
4-6 コミュニケーションの指導
4-7 文法の指導
4-8 文化に対する理解を深めることについて
第5章 中学校卒業時に期待される英語学力について
5-1 『中学校学習指導要領』の目標と実際の到達目標
5-2 CAN-DO リストについて
5-3 目標に達していない生徒たちを救うために―Reading Recovery
エピローグ 英語教育の小中連携に関する今後の課題と展望
はじめに
外国語活動が導入されて3年目,新『中学校学習指導要領』が実施されてから2年目を迎えた。外国語活動は,ねらい通りに実践されているだろうか。また,中学校では,小学校で培われたコミュニケーション能力の素地を意識した,新たな英語教育の方向性が明確になっているだろうか。
早期英語教育の必要性については,以前からさまざまな個人や団体から提唱されていたが,小学校への導入の構想は,2002年7月に当時の文部科学大臣の遠山敦子氏が発表した「英語が使える日本人の育成に関する戦略構想」によって具体化が始まったと言ってい いだろう。「構想」のうち,これからの英語教育の支柱という視点から,特に重要と思われる項目をあげると次の通りである。
(1)英語教員が備えておくべき英語力の目標を設定する。全国の中高すべての英語教員の質を高めるための研修を,5か年計画で集中的に実施する。
(2)大学入試センター試験に,平成18年度(2006年度)からリスニングテストを導入する。
(3)小学校段階から英語を導入することについて,次の『学習指導要領』改訂の議論に向けて,検討に着手する。
(4)外国人教員(ALT)の活用を図る(現在の8,400人を11,500人に増員する)。
十分とは言えない部分もあるが,我が国の英語教育は,上記の構想に沿って進んでいることがわかる。「構想」は,物,人,事が地球的な規模で日常的に交流し合うグローバル社会の中にあって,コミュニケーションの手段としての英語力の育成に,我が国は成功していない,という反省に立っていることがわかる。遠山敦子氏は「構想」を発表した折に,英語教育が望ましい成果が出せないでいる大きな要因として,子どもたちが英語に触れる機会が少ないことや,英語の授業の中ですら英語に触れることが少ない事実をあげている。
戦後70年近く,英語教員は次から次へと目まぐるしく紹介された外国語習得理論や教授技術を追い求めて努力を重ねてきた。しかし,機械的なドリル,英語の文型や構文の暗記,文法の説明,テキストの日本語訳などが,授業実践の主たる中身だったのではないだろうか。
外国語活動で基本的な英語表現に親しんできた生徒を迎え,中学校では,Spoken EnglishだけでなくWritten Englishについても,インプットの量を飛躍的に増やすことによって,「英語が使える」中学生を育てていかなければならない。
英語教育改革の前夜とも言えるこの時期を逃したら,我が国の英語教育の未来はない。このような発想から,全国の英語教員のお役に立ちたい一心から,長年の教育経験を集約し,本著を世に送ることにした。
齋藤榮二,髙梨庸雄,渡邉時夫は,それぞれ関西英語教育学会,東北地区英語教育学会,中部地区英語教育学会の会長を歴任するとともに,小学校英語教育学会の会長も務めさせていただいた。酒井英樹は,中部地区英語教育学会の運営委員長や日本児童英語教育学会の紀要編集委員長を務めており,確かな言語習得理論に基づき,小中高の教育現場で自らモデル授業を実践するなど,英語教育の推進に努めている。また,4名とも中学校英語検定教科書の執筆に長年携わってきた。
さて,本著によって,単に英語教育の小中連携だけに留まらず,「実際に英語が使える子どもたち」の育成のための英語教育を,わかりやすく実践に重点を置いて提案した。解説のみに終わることなく,現在使用されている中学校の英語教科書から本文や活動を取り上げ,その活用の仕方を具体的に提案した。
本著では,「外国語活動導入の背景と目標の説明と,外国語活動の内容と指導法の説明」(第1章),「外国語活動担当教員と中学校教員・生徒の意識調査の結果分析」(第2章)により,まず,外国語活動の理解を深めることに努めた。次に,中学校英語教育を質的に高めるための手立てについて,従来の英語教育の反省点を明確にし,中学校入学当初の指導のあり方(外国語活動で培ったコミュニケーション能力の素地を生かした指導のあり方)を具体的に提示した(第3章3-1~3-5)。続いて,中学校英語教育改善の方向性を示唆するとともに,生徒が英語のインプットを多量に浴びるための方法(MERRIER Approach)と,英文を徹底して身につける方法(Intake Reading)を紹介した(第3章3-6,3-7)。
次に中学校英語検定教科書を使って,「文字,Listening,Speaking,Reading,Writing,コミュニケーション,文法,文化など」の指導法について,教科書を教えるのではなく,教科書で教えることを重視しながら,具体的な提案を行った(第4章)。
本著がきっかけとなって,ますます多くの教員が教室で英語を日常的に使い,自らの考えや感情を英語で率直に伝え,英語を通して生徒と人間味あふれるコミュニケーションが展開される新たな英語教育の発展を強く期待している。
また,本著をお読みいただいた多くの読者から,ご感想や改善点などをお聞かせいただけたら幸いである。
2013年8月
著者代表 渡邉時夫
先生向け会員サイト「三省堂プラス」の
リニューアルのお知らせと会員再登録のお願い
平素より「三省堂 教科書・教材サイト」をご利用いただき、誠にありがとうございます。
サービス向上のため、2018年10月24日にサイトリニューアルいたしました。
教科書サポートのほか、各種機関誌(教育情報)の最新号から過去の号のものを掲載いたしました。
ぜひご利用ください。