関口 友子 (江東区立豊洲小学校)
2023年03月30日
1.はじめに
東京都江東区では2021年度より児童一人一人にタブレット端末が配布され、ICTを活用した授業の実践が始まりました。
私は今、英語専科教員として4年生から6年生の子どもたち約500名に外国語活動や外国語科の指導をしています。授業の中で学習者用デジタル教科書を活用すると、一人一人の児童の学びをしっかりと見取ることをできることが分かってきました。今回は、話すこと【やりとり】において効果的であると感じた活動をご紹介させていただきます。先生方の授業作りの一助となれば幸いです。
2.5年生での実践
学習者用デジタル教科書の中には、「コンテンツ」という教科書紙面にも掲載されている内容をデジタル化したものが用意されています。5年生の「Lesson 4 I get up at 7:00.」では、コンテンツとして写真①のようなものがあります。
【写真①】
このコンテンツを使うと、互いに日曜日の起きる時刻・寝る時刻・よくやることについてのインタビュー活動を簡単に行うことができます。十分に表現に慣れ親しんだ後、子どもたちは自分のタブレット端末上でコンテンツを開きます。起きる時刻・寝る時刻は画面上に直接書き込みます。日曜日によくやることについては、下の単語カードから選び、自分の「答えカード」を作ります。単語を書く必要がなく、答えカードを選ぶことができるので、どの子どもも自分なりの「答えカード」を作ることができます。英語が得意な児童は自分なりの答えを書き込むこともできます。「答えカード」ができたら、スクリーンショットを撮ります(写真②)。このスクリーンショットを見ながら、再度、答え方の練習に取り組みます。
【写真②】
インタビューを始める際には、画面をリセットした後に友達の話した内容を記録できるようにします。書く部分が限られており、単語カードから選択すると文ができるため、友達とのやりとりを簡単に記録することができます。友達とのやりとりを記録した「インタビューカード」もスクリーンショットを撮っておきます(写真③)。
【写真③】
「答えカード」と「インタビューカード」のスクリーンショットを、学習支援ソフトを使って提出させると、学習者用デジタル教科書のコンテンツがワークシートとなります。紙ベースで作成すると準備や印刷に時間がかかり、白黒のイラストでしか提示できません。しかし、学習者用デジタル教科書とタブレット端末の機能やアプリを合わせて使うことで、子どもたちの学びを残すとともに、教師側でも簡単に把握することができます。このようなデジタル教材に慣れてくると、子どもたちは英語でのやりとりに集中することができます。友達の顔とタブレットの画面を見ながら、英語での会話を楽しむ姿が見られました。
3.6年生での実践
6年生の「Lesson 5 It was green.」には、「ハンバーガーショップに行こう!」というコンテンツがあります(写真④)。これは日常的なウォーミングアップに使えるやりとりの教材となります。
【写真④】
メニューからほしいものをトレイにドラッグしてくると、自分の好きなハンバーガーのセットを作ることができます。この機能を活用すると、ペアでお店屋さん・お客さんになり、お客さん役の子どもが自分のほしいメニューを注文していくというやりとりができます。出来上がったセットのスクリーンショット取り(写真⑤)、学習支援ソフトで互いに送り合うことで、お店屋さんの臨場感を味わうこともできます。
【写真⑤】
これを紙ベースで準備するのは大変です。切り貼りできるカードを作り、子どもたちはやりとり中にカードを切ったりしなくてはいけません。しかし、デジタル教材ではそのような手間はなく、ドラッグするだけで友達がほしいセットを作ることができます。さらにデジタル教材は繰り返し使えるので、「今回は$10.00以内」「ぴったり$10.00で」など条件を付け加えることで、飽きずに楽しみながら、何度もお店でのやりとりに慣れ親しむことができます。「$3ではなく、$3.00って書くんだ」など、外国の文化にも興味をもつ子どももいて、学びが広がっていることが分かりました。
4.終わりに
英語専科教員として働く中で、多くの子どもたちに英語を指導しているため、ワークシートの準備や印刷、管理がとても大変でした。しかし学習者用デジタル教科書を学習支援ソフトと連動させることで、カラーで楽しいデジタル教材をワークシートとして活用できることが分かりました。こうすることで、教材準備の時間が短縮でき、カラーで分かりやすい教材を準備することが可能になります。またオンライン上で課題を提出させることで、ワークシートなどの管理も簡単になりました。子どもたちが楽しみながら英語でのやりとりをすることができ、教師も負担なくデジタル教科書を活用できる方法をこれからも考えていきたいと思います。
関口 友子 せきぐち・ともこ (江東区立豊洲小学校)
東京都公立小学校教諭。学級担任として、外国語の指導の研究に取り組んできた。東京都の現職教員大学院派遣研修で横浜国立大学教育学研究科へ進学し、2020年3月に同科を修了。2021年4月より、英語専科教員として勤務している。子どもたちが楽しく力をつけることができる外国語活動・外国語科の授業を目指して、日々実践に取り組んでいる。
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