小林 哲也 (須坂市立小山小学校)
2021年08月31日
外国語が教科化されて2年目になりました。少しずつ教科としての外国語に慣れてきた方がいる一方で、今年度から外国語に関わり、授業作りに悩んでいる方も多くいらっしゃると思います。私自身、昨年は初めての英語専科、新型コロナウイルス感染症という不測の事態下で、どのように授業を行っていけばよいのか悩む毎日でした。そうした中で、『CROWN Jr.』の『指導者用デジタル教科書(教材)』(以下、デジタル教科書)の中身が充実していたことは何よりの救いでした。勤務校では、PCとタブレットにデジタル教科書をインストールして使っています。今回は、6年生の1学期の単元「Welcome to our school.」をもとに、デジタル教科書を用いた実践を紹介させていただきます。授業作りの一助となれば幸いです。
2.実践紹介
「ALTの先生やその家族に向けて学校行事を紹介しよう」という目的のもと、学習をスタートさせました。単元構成は、目標を決めて見通しを持つ時間として1時間。発表に必要な表現を学ぶ時間として14時間(それぞれのレッスンのまとめを含む)。発表に向けての準備の時間と本番(振り返り)を合わせて6時間の、計21時間です。
単元計画
本時の授業展開
その中の1時間(Lesson 2の第4時)に関して、3つの活動を紹介します。本時のねらいは、ターゲットフレーズである“We have 行事 in 月.”に親しみつつ、その表現を使って日本の年中行事について考え、伝えることです。
(1) あいさつ+チャンツ
あいさつは、毎回決まったやりとりを行っています。
T: Hello everyone. How are you?
C: I’m good. How are you?
T: I’m good.
挨拶を交わした後はSmall Talkを取り入れたいところですが、『CROWN. Jr』では、子どもたちとやり取りをする場面を沢山作りやすいので、Small Talkのようなまとまったやり取りの時間を確保するというより、一つ一つの活動の中でやり取りすることを大切にしています。
チャンツ(Word Chant)は、音声だけでなくイラストや文字を確認することができるので、それらをもとにできるだけ多くやり取りをすることを心がけています。本時では、前時にその学校の行事がいつあるのかを確認していたので、“When is your school trip?”のようにやり取りをしました。
Lesson 2 Part 2 Word Chant
(2) パノラマ + パノラマダイアログ
デジタル教科書の一番の魅力は、画面をタッチすると音声を聞くことが出来る点です。次のようなパノラマ(Panorama)のイラストの中で子どもたちが気になった箇所や見つけたものに関して、その場で正しい音声を聞かせます。
Lesson 2 Panorama
また、イラストに関する2~3分のまとまった英語を聞かせる際にも、気になった部分や本時に大切にしたいフレーズで止めながら子どもたちの理解度を確かめつつ聞かせます。そして、聞いたことをもとに子どもたちに話題を振り、やり取りをしながら進めていきます。本時では、“Our school sports day is in May.”というフレーズに対して、自分たちの学校のsports dayについて考えたり、Part 2のパノラマダイアログ(Panorama Dialog)の“We have the Doll Festival in March.”というフレーズに対して、自分たちの市にある人形博物館について考えたりしました。
(3) スポットライト + 活動
スポットライト(Spotlight)では、そのパートで中心となるフレーズを学ぶことができます。イラストを見てどんな英語が聞こえそうかやり取りをしたのち、音声を聞かせます。音声から聞き取れたことを尋ねつつ、内容を確認します。その後、自分たちのことに置き換えてやり取りをし、内容理解を深めます。こちらからは、英語で話しかけますが、子どもたちからは無理に英語を求めません。英単語なり日本語なりで返してくれた言葉に対して英語でインプットを与えることを大切にしています。
その後は、本時で大切にしたい表現を使った活動を取り入れています。本時では、「ALTの先生に日本の年中行事がいつあるのか伝えよう。」という目的を設定した上で、ペアごとに月名が書かれているカードと、年中行事のイラストが書かれているカードを配りました。何月にどの行事があるのか、カードをそれぞれマッチングさせた上で、実際にALTに伝えつつ行事を確認し合いました。
3.さいごに
専科として2年目ですが、日々悩みつつ授業をしていることに変わりはありません。その中で、常に大切にしていることは、「外国語を学ぶ」のではなく、「外国語を通して知る(気が付く)」ということです。英語でのコミュニケーションを通して「友だちの新たな一面に気が付いた」、「自分たちの町や国、外国の文化について知った」時に、子どもたちからは驚きや嬉しそうな表情が見受けられます。英語を学ぶ必要感を大切にするためにどのような①目的・場面・状況を設定していくかということと、②やり取り(言語活動)を大切にしながら、今後も外国語の学習を進めていきたいと思います。
小林 哲也 こばやし・てつや (須坂市立小山小学校)
平成24年度より長野県公立小学校教諭として勤務を開始。平成29年度から在外派遣教員としてソウル日本人学校での勤務を経験。令和2年度より、小山小学校を本務校とし、兼務校3校(須坂小学校、日滝小学校、旭ヶ丘小学校)を合わせて市内4校に英語専科として勤務している。着任以前は専科の経験なし。専科としての取り組みの成果と課題について、令和2年度小学校英語教育学会にて実践発表。
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