ICT 実践事例紹介

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短歌の創作~短歌の分析・推敲に生成AIを取り入れる

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中学校国語

  1. その他

岩田 美紀 (世田谷区立桜木中学校)

2026年05月18日

1 単元の目標・評価規準

・抽象的な概念を表す語句の量を増すとともに、話や文章の中で使うことを通して、語感を磨き語彙を豊かにしている。<知識・技能>((1)エ)

・表現の効果を考えて描写したり表現技法を工夫したりするなど、自分の考えが伝わる短歌になるように工夫している。<思考・判断・表現>(B(1)ウ)

・言葉がもつ価値を認識するとともに、読書を生活に役立て、我が国の言語文化を大切にして、思いや考えを伝え合おうとする。<学びに向かう力、人間性等>

 

知識•技能 情景や心情が生き生きと伝わる言葉や表現技法を選んで短歌を作り・推敲している。((1)エ)
思考・判断・表現 自分の思いが伝わるように、学習した短歌の形式や表現の工夫を参考にして短歌を作り、推敲している。(B(1)ウ)
主体的に学習に取り組む態度 短歌に自分の思いを込めるために、適切な語彙を見つけようとしたり表現を工夫しようとしたりしている。

 

2 授業に生成AIを取り入れることについて

 現在、生成AIの活用能力を高めることは、学びの場でも重要とされています。文部科学省は、「Society 5.0」を目指し、AIをはじめとするデジタル技術の教育を推進しています。これにより、21世紀のスキルとしてAI活用力が求められ、生徒たちが創造的で実践的な思考を培うことが目指されています。生成AIを効果的に利用することで、思考力や表現力を伸ばすとともに、未来の社会に必要な能力を養うことができます。

 短歌の創作の推敲に、交流活動に加えて生成AIを活用することで、生徒は自分の表現を多面的・多角的に見直すことができます。また、AIを用いて、言葉の選び方や表現を試行錯誤し、より豊かな感情やイメージを引き出すことが可能となります。生徒はAIからの回答を元に、自分の思いを再確認し、創造力を高めて、表現力を向上させることができます。これにより、短歌の技術的な面と感受性を同時に育むことが目標です。

 

3 学習指導計画(全2時間)

<1時間目>

〇短歌に関する学習の振り返り

短歌を理解する際の視点が、創作する際にも役立つことを伝えながら、心情や情景・表現の工夫について確認する。

 

〇学習の見通しをもつ。(テキスト1配布)

・短歌作成の手順を確認する。

・教員の作った短歌を紹介する。

・テキスト2を配布し、例を示して取り組みを確認する。

 

〇短歌を創作する。

・短歌の創作理由や意図、表現技法の工夫点を記入する。

 

<2時間目>

〇交流活動1(15分)

・生徒3・4人で交流し、短歌の分析や推敲をおこなう。

→互いの短歌と創作理由や工夫点を伝え合う。感想や改善点を話し合う。

 

〇交流活動2 (20分)

・交流に生成AIを加えて、短歌の分析や推敲をおこなう。

→短歌をAIに入力し、改善案や別の表現を提案してもらう。

→AIからの提案を参考にしながら、自分の短歌を推敲する。

 

 

 

〇全体共有(10分)

テキスト2(生成AIとのやり取りをした画像も添付する)をロイロノートで提出し、クラス全体で共有する。

 

〇まとめ (5分)

短歌の推敲を通じて学んだことや、生成AIの活用について振り返る。

 

4 生徒記入例

〇生徒A

①最初に創作した短歌

「凍る朝 布団と会話 頼み込む お願いだから 離しておくれ」

 

②短歌の説明・創作意図

「冬の朝に、寒くて布団から出られないときのこと。擬人法「布団と会話」を使うことで、学校に行くために布団から出たいけど出られないという葛藤する気持ちを表現した。」

 

③他の人との交流や生成AIとのやりとりで提案されたこと・考えたこと・採用したもの、しなかった内容など

「生成AIでは布団から離れたいことを伝えるために、「離しておくれ」ではなく「その手を離せ」というのに変えるという提案をされたが、命令したいのではなくあくまでお願いしたいのと、布団から出たくない気持ちが少し残っているということがわからないので、使わなかった。変わりに、面白くするために「捕まる」という言葉を使うことで布団が離してくれないことを強調しつつ面白い短歌になると提案されたので採用した。また、「絡まり」を使う提案をされたが、布団側が離してくれないことを表したいため合っていないと思い、使わなかった。本当は出たくない気持ちもあることを伝えるために「お願いだから」を「出たくはないが」に変えた。」

 

④最終作成短歌

「凍る朝 布団に捕まり 頼み込む 出たくはないが 離しておくれ」

 

〇生徒B

①最初に創作した短歌

「舞台袖 反対側の 袖に手を  振って振り返す 始まりの合図」

 

②短歌の説明・創作意図

「これはバレエの本番の舞台袖での実話です。反対側の袖にいる、同じバレエ教室の友達に「頑張ろうね」と手を振ると、自然と気持ちが通じたかのように手を振り返してくれた時、いよいよ始まるんだなというワクワクした気持ちを表した歌です。」

 

③他の人との交流や生成AIとのやりとりで提案されたこと・考えたこと・採用したもの、しなかった内容など

「生成AIから「この短歌は、舞台の裏側での緊張感や期待感を表現しているように感じる」という言葉をもらった。作った時は全然気にしてなかったけど、「始まりの合図」が体言止めで、新たなスタートや挑戦の瞬間を強調していると言われた。舞台袖と反対側の袖が「対比」を使っていると言われた。「手を振って振り返す」が動作の描写として描かれている、「始まりの合図」というフレーズは挑戦の象徴と言われた。友達からは、始まりの合図を違う言葉に置き換えるか、順番を変えるかした方がいいと思うって言われた。友達の反応は、とてもいい短歌だね!と褒めてもらえた。ワクワク感がよく伝わると言ってくれた。生成AIに友達に言われたことを言ってみたら、共感していた。少し言葉を変えると、インパクトがあって読み手を惹きつけられるんじゃないかと言われた。」

 

④最終作成短歌

「上手袖 振る手の先に 仲間たち 心軽やか 開幕の音」

 

5 成果と課題

 生成AIを取り入れた短歌の推敲授業では、生徒たちはAIの提案をもとに、短歌の分析や推敲手順に新たな視点を加えることができました。AIの提案は、言葉選びや視点の転換を手助けするため、生徒たちは自己表現の幅を広げることができたと感じています。特に、思いもよらない語句やフレーズをAIから得ることで、固定概念に縛られずに新しい発想が生まれやすくなりました。また、AIが提供する語彙の選択肢を見て、自分の作品にどう適応させるかを考える過程で、言葉の意味や響き、情感について深く考えるようになりました。

 一方で、課題も明確に浮かび上がりました。まず、AIが提案する言葉やフレーズは、必ずしも人間の感情や文化的背景を的確に捉えられているわけではありません。そのため、AIの提案を不自然に感じたり、感情的に響かないと感じたりする場合があります。生徒たちはAIに依存しすぎることで、自身の感覚を置き去りにしてしまうことがあり、創造性が制限されるリスクもありました。また、AIが生成する言葉がしばしば定型的であるため、オリジナリティの欠如を感じることもあります。これは特に、感情の細やかな表現が求められる短歌のような形式では顕著に現れました。

 そのため、生成AIを効果的に活用するためには、AIが提供するアイデアを単なる補助的な役割として捉え、最終的な作品の仕上げには自分自身の感性や意図を強く反映させることが重要です。今後の課題としては、AIとの相互作用を通じて、感性を磨きつつ、AIの生成する言葉をどう活かすかを考えながら創作する能力を養うことが挙げられます。

 

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プロフィール

岩田 美紀    いわた・みき (世田谷区立桜木中学校主任教諭)

言語活動とICT活用を効果的に取り入れ、学習目標を達成する授業展開を目指している。

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