三省堂のWebコラム

小学校に英語がやってきた

教科化に向け,いまから意識すべきことは?

酒井 英樹 信州大学教育学部教授,「NEW CROWN」編集委員

2017年05月24日

「英語で何ができるか」の観点で児童の姿を見ましょう

教科化されると「正しい英語を使っているか」ということが重視されると誤解している人が多くいますが,重視されるのは,目的・場面・状況に応じて 「英語で自分の意図を正しく伝えているか」ということです。この点を意識して児童の姿を「英語で何ができるか」という点から観察していきましょう。どのよ うな力を育成したり評価したりすればよいのかについて具体的に考えられます。

 

文部科学省の現段階までの議論では,小中高それぞれで育成すべき外国語運用能力について,4技能(5領域)ごとに具体的な指標を挙げています*。小学校の外国語科においては,CEFR**の Pre-A1からA1程度の初級レベルの英語の運用能力を育成することが提案されています。教科化されると,ここで挙げられているような英語の運用能力を 育成し評価することが求められます。現在の外国語活動の中で,「児童は挨拶や短い簡単な指示を聞いて理解することができるか」「定型表現を用いて,簡単な 挨拶をすることができるか」などの視点で児童の姿を把握する評価力をつけていきましょう。

*
『「外国語」等における小・中・高等学校を通じた国の指標形式の目標(イメージ)たたき台』
(中央教育審議会教育課程企画特別部会平成28年8月1日配布資料:文科省HPよりダウンロード可)

**
CEFR(セファール):
Common European Framework of Reference for Languages: Learning, Teaching, Assessment
「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ共通参照枠」

ALT 任せはやめ,自分も教室英語を使って授業をしましょう

教科化に向けて,先生方の指導力・英語力を向上させていくことも重要です。今までALTとのTTを実施していた学校でも,学級担任が単独で授業を 行わなくてはならない状況が多くなるでしょう。ALTにすべてを任せるのではなく,一緒に対話のモデルを示したり,一部の活動については主となって指導したりすることで,少しずつ指導力を高めていきましょう。

 

また,先生自身が授業の中で英語を使っていくことで,ご自身の英語力をアップさせましょう。語句の発音や文構造の規則など疑問に思ったことはメモ をしておき,後で英語の得意な先生に尋ねたり,インターネットで調べたりしましょう。Hi,friends!などの音声教材をまねすることによって,発音 を練習し,表現を覚えることができます。ALTの先生が活動の際に用いる教室英語をまねし,メモをすることによって,英語での指示や質問のしかた,児童の 発話や行動に対しての反応のしかたを学ぶことができます。小学校の先生に必要な英語力は,中学1年程度の語彙や文法を,授業の場面で使いこなす力です。難しい語彙や文法を学ぶ必要はありませんが,即座に英語を用いることを心がけるとよいでしょう。

(「三省堂小学校英語マガジン準備号」2016/10発行より転載)

プロフィール

酒井 英樹    さかい・ひでき 信州大学教育学部教授,「NEW CROWN」編集委員

信州大学教授。テンプル大学大学院博士課程修了。教育学博士。専門は英語教育学,第二言語習得。中学校英語教科書NEWCROWN編集委員。著書に『小学校外国語活動 基本の「き」』(大修館書店),『小中連携を意識した中学校英語の改善』(共著,三省堂),『はじめての英語教育研究』(共著,研究社)がある。

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教科化に向け,いまから意識すべきことは?

2017年05月24日
酒井 英樹

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