三省堂のWebコラム

工藤洋路&津久井貴之のEnglish Coffee Break

第38回:「学校の先生=ブラック」問題②:英語教師の魅力

工藤洋路、津久井貴之
東京外国語大学、群馬大学

2025年05月09日

工藤

前回は、「先生になりたい」と思ってくれる学生も少なくなっている中で、先生のよさや、働き方の変化を伝えられるといいという話をしたね。

 

津久井

教員の働き方も以前と比べたら徐々に改善されているからね。

 

工藤

教師になってからも、悩みは尽きないよね。「先生」という仕事に対するモチベーションを維持するコツがないか、考えてみよう。

 

自分の得意・不得意を理解する

工藤

例えば授業で指導するときに、先生自身に得意なところと不得意なところがあるよね。英語の授業もいろんな要素があるから、得意・不得意がわからずにやっていると上手くいかない。ほかの先生の真似をしようとするときも、よい先生の真似をするってことも大事だけど、それが自分に合うかも考えてやってみて、それで初めて上手くいく。ちゃんと自分をわかって授業をやっているかどうかがポイントになるからね。できないところをひたすらやっても効率は上がらないし、先生も生徒も苦しくなっちゃう。

 

津久井

他者と比較したときの強み、くらいでいいよね。自分は英会話が好きだし割と得意だと思っていたから、初任から3年目ぐらいまではALTの先生や生徒とできるだけ会話しようと意識していたな。生徒からも「会話ができて楽しい」っていうフィードバックがあったんだよね。自分が得意で好きで頑張ってやれそうだなってことから授業が作れて、そこに生徒たちのフィードバックが得られれば、モチベーションになるよね。今思えば、他の指導はいい加減だったかもしれないけど…。

 

工藤

自分の強みをちゃんとわかったうえで教員になっていれば、そこを活かす英語の授業ができるだろうし、その辺りが一番大事かな。強みをわかってやっていると、時間がちょっと他の人よりかかっても、そこに意義を感じるようになる。初任だと自分の得意・不得意ってわからないけど、なるべく早い段階で自分を振り返って、リズムを作っていくっていうのがポイントなのかな。

 

津久井

周りも「あの人はこういう授業や仕事を頑張っているぞ」ってわかってくるから、できるだけその人がやりやすい、得意な分野の仕事がいくようになるかな。

 

工藤

一人がオールラウンドになんでもできるようになるんじゃなくて、学校全体でチームとして機能すればいいもんね。苦手なことをやろうとすると、そのスキルを獲得するにはすごく時間がかかるし、教えるのも時間がかかる。得意なことを、やりがいを持ってできるようになるといいね。

 

英語教師の魅力

工藤

津久井先生はどうして中学校の英語の先生になろうと思ったの?

 

津久井

学校の中では最初に英語に触れるところ、ファーストコンタクトのところに関われると思ったからかな。実際は塾に行っている生徒や、英会話を習っている生徒もいるけど、学校で最初に英語に関わるのが当時は中学校だったから。最初だから、英語の先生が何を言ったかというのが印象に残りやすい。そんなところが魅力的だと思った。

 

工藤

なるほど。他の教科のことはわからないけど、英語は強みを育てる要素がたくさんあることも魅力だと思う。例えば、言語だったり、コミュニケーションだったり、文化的なことだったり。

 

津久井

生徒同士でペアワークをしたり、グループでの協働性を育ませたりするのも、他の教科よりやりやすい気がする。

 

工藤

英語の先生がラッキーだと思うのは、「英語の部屋」みたいな、特別な部屋が学校に用意されていたりするよね。そういう場を自分らしくデザインすることから先生の強みを発揮する、というのも他教科よりやりやすい。

 

津久井

英語だから許されてることもたくさんあると感じていて、学校の階段とかに英語の掲示物を貼ったり、そういうことは比較的許容されやすいよね。階段1段ごとに数学の公式が貼られている学校はまだ見たことがない!

 

工藤

たしかに。提案すると、「英語だったらいいんじゃない?」ってたいていなる気がする。

 

津久井

英語教師のよさ、ありますよ!

 

※この連載は、お二人のざっくばらんなおしゃべりを企画化したものであり、工藤先生・津久井先生の公式発表ではありません。

 

 

プロフィール

工藤洋路    くどう・ようじ
東京外国語大学、「NEW CROWN」編集委員

・1976年生まれ

・東京外国語大学外国語学部・同大学院博士課程前期・同大学院博士課程後期修了(学術博士)

・日本女子大学附属高等学校教諭等を経て、現在東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授

・高校教諭時代に担当した部活動は、陸上部

・カフェでよく注文するのは、カプチーノやフルーツジュース

プロフィール

津久井貴之    つくい・たかゆき
群馬大学、「NEW CROWN」編集委員

・1974年生まれ

・群馬大学教育学部・同大学院修了

・群馬県内の公立中高一貫校教諭等を経て、現在群馬大学共通教育学部講師

・指導のモットーは、固定観念にとらわれずにチャレンジしていく

・カフェでよく注文するのは、ニューヨークチーズケーキとコーヒー

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