大木 理恵子 (かえつ有明中・高等学校)
2021年08月30日
1.この授業について
生徒が多様な媒体から収集した複数の情報を、解釈し、関連づけて考察し、根拠を明らかにして意見をまとめることができる力を身につけることをねらいとした。
ディベートの形式でチームで協働し、情報収集→整理・分析→まとめ・発信という課題解決のプロセスをふむ。
2.評価規準(3年生の場合)
【知識・技能】
具体と抽象など情報と情報との関係について理解を深めている。(知・技 ⑵ア)
情報の信頼性の確かめ方を理解し使っている。(知・技 ⑵イ)
【思考・判断・表現】
進行の仕方を工夫したり互いの発言を生かしたりしながら話し合い、合意形成に向けて考えを広げたり深めたりしている。(Aオ)
【主体的に学習に取り組む態度】
積極的に情報と情報との関係に注意して内容を解釈し、学習の見通しをもって話し合い、考えをまとめようとしている。
3.授業の流れ(全4時間/本時は2時)
① 前時に読み取った素材文の筆者の主張について確認する。
素材文は『科学は今どうなっているの?』(池内了、晶文社、2001年)より「テクノロジーとのつきあい方」についてふれた文章を使用。
②「みんなの選ぶ未来はどっち?」というテーマでディベートを行うため、チームに分かれて情報収集をする。
8人班になり、4人ずつ二つのチームに分かれる。
一つのチームはプランA〔機械化・効率化が進む、技術志向の社会〕、もう一方のチームはプランB〔ゆったりでややスローな自然志向の社会〕を支持するという立場で、それぞれの主張を支える根拠となる情報を収集する。なおプランA・Bは2050日本低炭素社会プロジェクトチーム(国立環境研究所ほか)の研究を参考にした。
ジグソー法を用いて4人それぞれに異なる情報収集の役割(「図書」「ウェブ」「統計資料」「経験・インタビュー」)を与え、多様な情報収集の方法にふれさせる。
③ 主張をまとめる。
Google Classroom でJamboard を共有し、チームごとに収集した情報を貼り付け、必要な情報を整理したうえで、相互の関連性を考え、図示しながらチームとしての主張をまとめていく(三角ロジックのフレームを使う)。
④本時の振り返りと次時への確認をする。
次時は今回まとめた「主張」「事実」「理由づけ」について発表用スライドの作成をすることを確認する。
4.授業のまとめと生徒の感想
近未来の日本の姿を描きながら、「テクノロジー」と「人間」のつきあい方について、真剣に意見を交わす姿が見られた。また、多様な資料にあたることで、それぞれが考えを深められた。
異なる媒体の情報収集の方法についてもミニレッスンを入れ、スキルとして定着を図ることができたように思う。
■生徒の振り返り例
・最初にテクノロジーについての文章を読み、自分なりに意見をまとめたが、いろいろな資料を集めるうちに、さまざまな視点が生まれ、テクノロジーと人間がどのようにつきあっていったらよいのかについて、自分の考えも深まった。
・最初は収集した情報を意見の根拠としてどのように整理したらよいのかがわからず混乱したが、三角ロジックの枠を使うことで自分の頭の中が整理され、わかりやすく自分たちの意見をまとめることができた。
5.ICT活用のヒント
Google Jamboardを活用しよう
Google Jamboard はデジタルホワイトボード機能をもつクラウドアプリケーションである。ホワイトボードや模造紙のように、付箋を貼ったり、ペンで書き込んだりすることができ、複数人で同時に編集できるので、グループで話し合うときにも役立つ。学習者用デジタル教科書と合わせて使う場面では、教科書に示されているポイントや画像のスクリーンショットを撮り、貼り付けて活用することもできる。
上記3.③ の情報分析の場面では、Google Jamboardを使って可視化することで多様な情報の関連性についての意見交換の活性化を図り、自分たちの意見をより明確にまとめることを目指した。
大木 理恵子 おおき・りえこ
かえつ有明中・高等学校教諭。「脳に汗かく国語の教室」を目指し、思考力・表現力育成の授業を展開。『イン・ザ・ミドル』刊行に下読み協力者として関わったことをきっかけに、リーディングWS・ライティングWSの実践にも挑戦中。
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