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〈リテラチャー・サークル〉でひらく古典の扉
~『竹取物語』を通して〈問い〉をつむぐ~

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中学校国語

小峰 隆広 (世田谷学園中学校高等学校)

2026年03月02日

1.この授業について

 リテラチャー・サークル(以下、LC)は、アメリカで1990年代に広まった読書指導法で、一つの文章や本について子供たちが小さなグループで語り合う学習活動です。LCの特徴は、子供たちがこれまでの読書経験や、新たに調べたことなどをテクストに結びつけ、自発的に意見交換をすることで、互いに学びを深めていく協同性にあります。LCには、役割分担を行うもの(H.Daniels, 2002)と、行わないもの(J.Day et al, 2002)がありますが、本実践では、子供たちの取り組みやすさを考慮して、前者の授業方略に基づいて単元を構成しました。

 

2.授業の流れ(全5時間/本時は第2時)

※指導事項:第1学年 ⑶ア Cイ

第1時 「竹取物語」を読み、5人程度のグループで感想を共有する。LCの説明をもとに、役割分担を行う。

 

 

※次回の授業までに、NHK for Schoolの10min.ボックス『竹取物語』scene01までを視聴しておくことを課題とする(「現代の国語 1』の二次元コードのリンク先からも視聴できる)。

 

第2時【本時】

【導入】本時の学習の見通しをもつ

▶本時に読解する範囲(冒頭~貴公子たちの求婚)と、グループ内で自分が担当する役割について確認する。

【展開1】役割に基づいて本文を読解する

▶それぞれ役割の観点から、本文を読解し、役割シートの「自分の考え」欄を完成させる。

〈指導上のポイント〉

・LCでは、「よくわからないところ」「みんなの意見を聞いてみたいところ」「ひっかかりを感じるところ」をたくさん見つけることが大切であると声がけする(イラストレーター役もイラストが上手である必要はない)。

・教員が各グループを回りながら、問いのヒントを示してもよい(例:「竹取物語」と似たような構造の話は他にあるか、かぐや姫の成長速度は何になぞらえられているか、など)。

 

【展開2】グループ内で話し合う

▶役割ごとに読解した成果を共有し、グループ内での質疑応答を通して問い>を発見し、深める。

生徒の学習活動例

イラストレーター:竹取の翁が竹の中にかぐや姫を見つけた場面を提示

リテラリー・ルミナリー:「あやしがる」「うつくし」「みる」などの古語の仮名遣いや意味について調べたことを紹介し、「野山にまじりて」という表現のおもしろさについて発表

クエスチョナー:自作の問題を出題(問題例…「かぐや姫は五人の貴公子たちに「この世に存在しない物」を求めましたが、なぜそんな無理な条件を出したのでしょうか。根拠となる箇所を引用して答えてください。」)

コネクター:「登場人物が外の世界からやってきて再び外の世界(元いた世界)へ帰っていく話」として、現代の映画や漫画、アニメーション作品などを紹介

リサーチャー:『竹取物語』の成立年代やジャンル、文学史的な位置づけについて発表

 

【まとめ】グループ内で話し合った内容をまとめる

▶本時で明らかになったことや、次回以降に持ち越される疑問点を整理してGoogle classroomなどで共有する。次回のLCの役割分担を行う。

▶役割シート(ワークシート)はグループごとにファイリングし、誰でも見ることができるよう学級文庫の棚に置いておく。

※次回の授業までにNHK for Schoolの10min.ボックス「竹取物語」scene03までを視聴しておくことを課題とする。

 

第3時 前時の内容(成果・課題)をふまえて、新たな役割のもと二回めのLCを行う。

 

第4時 役割ごとに集まって専門家会議を行い、その成果をふまえて三回めのLCを行う。

 

第5時 各自の〈問い〉に基づくまとめのミニ・レポートを作成する。本単元での学びを振り返り、内容を総括する。

★授業時数に余裕があれば、図書室でのリサーチの時間を入れてもよい。

 

3.推しポイント!

 LCは一人読みのワークとグループでの話し合いとによって構成される学習方略です。一人読みは一人一役で、一回の授業ごとに役割を交換します。本実践では、生徒たちが自分の役割の内容を確認しながら取り組むことができるように「役割シート」を用意しました。「役割シート」には、自分の意見や疑問を記入する欄と、グループのメンバーの意見を記入する欄を設けました。LCの各回の終わりには、次回の役割分担とリフレクションを兼ねた〈問い〉の引継ぎを行います。

 

 

4.授業のまとめ

 協同的な学習では、しばしば集団による問題解決が学習目標に定められます。しかしながら、生徒たちの話し合いをつぶさに観察していると、その営みが同時に「問い」を洗練させていくプロセスでもあることに気づかされます。

 本実践では、生徒たちが話し合いの中から〈問い〉を発見し、それを引き継いでいくという学びのプロセスに注目しました。古典に近づくためのアプローチとして、LCは大変有効な方略であると実感しています。

 

【参考文献】

・足立幸子(2025)「国際学力調査に基づく読書指導法の開発研究」風間書房

・Daniels, H.(2002)Literature Circles: Voice and Choice in Book Clubs & Reading Groups [2nd Edition], Routledge

・J.Day et al(2002)Moving Forward With Literature Circles: How to Plan, Manage, and Evaluate Literature Circles to Deepen Understanding and Foster a Love of Reading, Scholastic Professional(2013, 山元隆春訳『本を読んで語り合う リテラチャー・サークル実践入門』渓水社)

 

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プロフィール

小峰 隆広    こみね・たかひろ (世田谷学園中学校高等学校 教諭)

専門は日本近代文学、国語科教育学。現在、世田谷学園中学校高等学校教諭(国語科主任)。2025年より早稲田大学教育総合研究所特別研究所員を兼任。さまざまな〈ことば〉との出会いが価値観の更新につながるような、刺激的な授業をめざして日々勉強中です。

https://researchmap.jp/takahiro_komine

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