授業レポートプラス

授業レポートプラス

子どもの「気づき」を大切にした授業
~思い出のアルバム作り~

  1. 印刷する

小学校英語

宮坂 真理枝 (越谷市立川柳小学校)

2026年03月16日

1.はじめに

 本校は、令和7年度現在、在籍する児童が1200名を超える大規模校です。外国語専科教員が配置されており、3年生から担任または外国語専科教員が外国語活動・外国語を担当しています。また、ALTは常勤1名、週2日勤務1名の合計2名が配置され、さらに令和6年度からは本校学区の中学校より英語科教諭が週に10時間程度来てくださっています。

 今回紹介する学級は、令和6年度の6年生のあるクラスです。1学期から外国語専科教員・ALTと学習し、また週1回、中学校教諭を迎えて学習を進めました。

 

2.授業の流れ

Lesson 5を始めるにあたって

 当市では小学校英語教科書として『CROWN Jr.』を使用しています。6年Lesson 5 “We had the sports day in October.” では、6年生の思い出を一つ選んで伝え合い、伝えたことを書いて、みんなの思い出アルバムを作る活動が最後に設定されています。

 私はこの単元を学習するにあたって、児童に「今まで学習してきた表現を使って、自分の体験や思いをなるべく詳しく伝えられるようになってほしい」という思いをもっていました。このレッスンのトピックは、児童にとって身近であり、共通の経験があることから、相手の話が理解しやすい一方で、その行事でしたことなどは、児童同士で伝え合う必然性にやや欠けると感じました。そのため、今回は思い出を伝える相手を、中学校の英語科教諭と、このクラスの授業を担当していないALTとしました。両者は週2日の来校のため、本校の学校生活にあまり詳しくはありません。

 その2人に楽しかった思い出を理解してもらうために、思い出を具体的に伝えたり、伝える順序を考えたりすることで、相手意識をもって取り組めるようになるのではないかと考えました。また、それに向けて毎回の授業で児童同士が会話をするときは、内容が理解できるため、児童同士のアドバイスがしやすくなるのでは、とも考えました。

 

第1時 単元のゴールを見据えて学習計画を考える/「いつあったのか」を伝える

 第1時の導入では、単元のゴールを『〇〇先生(中学校教諭)と□□先生(このクラスの担当ではないALT)に思い出アルバムを作って、6年生の思い出や感想について伝えよう』と提示しました。そして、私が作った思い出アルバムの見本を見せながら英語を聞かせたあと、「こんな風に伝えるのだけれど、この小学校についてあまり詳しくない先生方に伝えるには、どんなことを伝えるとよいかな?」と問いかけました。児童からは伝えたいこととして、①行事はいつあったのか、②一番の思い出は何か、③何をしたのか、④感想、などが挙がってきたため、児童と共に学習計画を立てました。

 その後、「①行事がいつあったのか」(We had…in….)を伝える表現について学習をしました。「どのような表現を使って伝えたらいいのかな」と問いかけ、Let’s Watchをみんなで見ました。動画を見たあと、児童数名が「1学期に学習したものに似ている表現が出てきていた!」と気づきました。そこで、Lesson 2の学習(We have…in….)を振り返ったところ、そこに出てきた表現を少し変えれば伝わるのではないかと児童が気づきました。新しく出会った表現を使って、さっそく中学校教諭とALTへ小学校の行事がいつあったのかを伝えました。中学校教諭やALTからも、中学校やALTの国の行事がいつ行われているかを聞いて、自分たちとの違いに驚いていました。特に、ALTの国の入学式と卒業式の時期が大きく異なることに驚いていた様子でした。

 

第2時 「一番の思い出」を話す/会話を続けるためのくふうを考える

 第2時では、「②一番の思い出は何か」を伝える表現について学習をしました。まず、私が中学校教諭やALTに“What is your best memory?” と尋ね、それぞれから“My best memory is the ~.” と答えを聞き、その流れで数人の児童にも尋ねました。それぞれができる限り英語使って答えていました。

その後、3人組を作り、話し手、聞き手、オブザーバーの3つの役割に分けて活動に取り組みました。オブザーバーは2人の会話の動画を撮影し、会話のあとにアドバイスをする役目です。会話1分→助言30秒を1セットとし、役割を替えて3セット行いました。現段階でどこまで話せるか試し、中間指導のあと、2サイクル目を行いました。

活動後、子どもたちからは「会話が20秒しか続かなかった」や「会話がうまくつながらない」などの意見が出てきました。そこで、振り返りの時間に、どのようにすればそれらの困りごとが解決できるのかを考えてもらったところ、児童からは、「リアクションを入れる」「エコーイング(相手のことばを繰り返すこと)を入れる」「内容に関する質問を入れる」「『先生方へ伝える』というゴールのために内容をもっと付け足したほうがよい」などの意見が挙がりました。

 

第3時 「何をしたのか」の言い方に気づく

 第3時では、第2時で挙がった意見をもとに、それぞれの行事で「③何をしたのか」を伝える学習をしました。まず、Let’s Watchを見て、登場人物が話していたことを確認しました。すると、「行事でしたことを伝えるにはLesson 3で夏休みの思い出を伝えたときに出てきた表現が使えそうだ!」と気づいた児童がいました。「夏休みの思い出は自分自身のことだから“I”を使っていたけれど、今回はみんなで体験したことだから、どうしたらいいかな」と問いかけたところ、「1学期に学習した“We”が使えるはず!」と多くの子どもたちが気づきました。

 本時では、トピックをしぼり、修学旅行について前回の3人組で話してみました。中間指導の際、困ったことはないか問いかけたところ、修学旅行で訪れた名所や、水族館で見た魚がわからないという声がたくさん出てきました。そこで、大きなホワイトボードにわからなかった単語を書き、全員が確認できるようにしました。また、本時は会話を続けることに重点を置くため、わからない単語に関しては日本語を使用してもよいと伝えました。

 授業の振り返りの時間に、言えなくて困ったことなどがあれば振り返りカードに書くように伝えました。挙がってきたものはホワイトボードに加え、さらに端末のロイロノートでも単語とイラストのスライドを作成し、ALTの音声もつけて、いつでも発音を確認できるようにしました。

 

第4時 行事について詳しく伝える

 第4時では、中学校教諭に中学校の合唱祭について、スライドを用いながら話してもらいました。子どもたちはよく聞いていて、小学校の行事と大きく異なることに驚いた様子で、中学校の先生に伝えるためには、行事でしたことを詳しく話す必要があることを改めて実感していました。

 前時を振り返りながら、新出語のsangやplayedについても練習したあと、今回も3人組で“What is your best memory?” の会話をしました。すると、児童の振り返りから「前は、20秒で話が終わってしまったが、詳しく伝えたところ、今までの2倍の時間話せるようになった」や「聞き手として質問を入れることで会話が広がるようになった」などの感想が見られました。また、「修学旅行で大仏を見たことに加えて、大きかったことも伝えたい。どのように言ったらよいのか」や「修学旅行で行ったバスレクリエーションが楽しかったことも伝えたい」などと自分の思いを付け足して話したいという意見も出てきました。

 

第5時 思いを伝える表現を見つける

 そこで、第5時では、楽しかったことなどの「④感想」を伝える表現を学習しました。ここまでくると「これも今までに学習した表現を使えばいけるはずだ!」や「夏休みの思い出を言う時にやった内容と同じだ」などと、自分たちで英語の表現を見つけることができました。

 今回も、まず中学校教諭に中学校の体育祭について伝えてもらいました。その中には、学習した表現がたくさん含まれており、児童もこのように伝えればよいのかと改めて確認していました。3人組での会話の活動もスムーズになり、1分間の会話が続くペアもたくさん見られました。また、オブザーバーの助言もだいぶ上手になってきて、アイコンタクトやジェスチャーなどの非言語面だけでなく、内容に触れてアドバイスできる児童の姿も見られるようになってきました。児童の振り返りには、聞き手として「あいづちを打つことを意識して、相手が話しやすくなるようにしたい」「今回質問を3問できたので、次回以降も続けたい」、話し手として「今日の授業で、感想を入れることで相手により伝わりやすくなるとわかり、単元のゴールに近づいているように感じる」などというコメントが見られました。

 

第6時 思い出と感想を友達と伝え合う

 第6時では、今までの総まとめとして、「単元のゴール達成にむけて、6年生の思い出と感想を友達と伝え合おう」とToday’s goalを設定し、授業に取り組みました。

 本時は中学校教諭に中学校の修学旅行について話してもらいました。京都や奈良に行くこと、素敵なものを見たこと、おいしい食べ物を食べたことなどについて聞き、「中学校いいなあ」と中学校の修学旅行が楽しみになったようでした。また、行き先や時期なども大きく異なるので、中学校教諭には、より詳しく伝えないといけないと感じたようでした。今まで学習した表現について全体で確認をしたあと、3人組で会話をしました。同じメンバーで数回会話を続けているので、相手が伝えたい内容も十分に理解でき、今までよりもたくさん質問ができるようになり、より詳しい会話になっていました。また、途中で会話がつまっても、グループの友達が助け舟を出し、みんなが伝えたいことについて言えるようになっていました。中間指導では、話す内容のわかりやすさについてみんなで考え、どのような順番で伝えればよりわかりやすいかなどを確認しました。

 最後に1組のペアに前に出てもらい、みんなの前で会話をしてもらいました。多くの人に見られて緊張していた様子でしたが、毎回の授業で会話を頑張ってきた成果が見られ、修学旅行の中でも特に思い出に残った水族館での話を伝えてくれました。

A: What is your best memory?

B: My best memory is the school trip.

A: Wow! Your best memory is the school trip.

B: Yes. We had the school trip in September.

We went to Kamakura.

We went to Enoshima Aquarium. We saw many fish.

A: Nice! Do you like fish?

B: Yes, I do.

I like jellyfish. I saw a jellyfish. It was beautiful.

A: Good!

 

第7時 単元のゴール~思い出アルバム作り~

 第7時では、6年生での一番の思い出を伝えるために、思い出アルバムを作りました。今までたくさん会話してきたおかげで、伝えたいことはしっかりと整理されていたので、児童はすぐに取り掛かることができました。また、書く際にもホワイトボードや以前に配布したロイロノートのスライドが役に立ちました。スペル確認もすぐにでき、ほとんどの児童が1時間で書きあげることができました。

 みんなの思い出をつづったアルバムは、中学校教諭とこのクラスを担当していないALTへ渡し、読んでもらいました。その後、それぞれからメッセージが届き、子どもたちは自分たちの書いた英語が伝わったことにうれしそうにしていました。

 

3.おわりに

 この単元では、子どもたちが今までの単元で学習したことを活かしながら学習を進めていく姿がとても印象的でした。また、相手と目的がはっきりとしていたことで、伝える相手のことを常に考えながら取り組んでいたのがよくわかり、相手意識・目的意識を持たせることの重要性を改めて感じる単元でした。外国語専科教員として、これからも子どもたちと共に学び続け、外国語を学ぶ楽しさを伝えていけるよう頑張っていきたいと思います。

 

印刷する

プロフィール

宮坂 真理枝    みやさか・まりえ (越谷市立川柳小学校 教諭)

埼玉県越谷市立川柳小学校教諭。外国語専科になり今年度で5年目。

バックナンバー

    

子どもの「気づき」を大切にした授業
~思い出のアルバム作り~

2026年03月16日
宮坂 真理枝

詳細はこちら

    

「明日からの授業づくりに2%!Before and After
〜HOP・STEP・JUMP!!!」

2026年02月11日

詳細はこちら

    

地域の魅力を英語で発信!「ガイドブックを贈ろう」

2026年01月27日
武田 智美

詳細はこちら

    

「明日からの授業づくりに2%!Before and After
〜STEPで「もどる」」

2025年11月01日
羽渕 弘毅

詳細はこちら

    

明日からの授業づくりに2%! Before and After
〜HOPは子どもたちがHOPするために

2025年06月20日
羽渕 弘毅

詳細はこちら

    

ページトップ

閉じる

先生向け会員サイト「三省堂プラス」の
リニューアルのお知らせと会員再登録のお願い

平素より「三省堂 教科書・教材サイト」をご利用いただき、誠にありがとうございます。
サービス向上のため、2018年10月24日にサイトリニューアルいたしました。
教科書サポートのほか、各種機関誌(教育情報)の最新号から過去の号のものを掲載いたしました。
ぜひご利用ください。

はじめての方へ 三省堂プラスとは?
「三省堂プラス」は、教科書を使った指導などをサポートするための会員サイトです。
全国の小学校、中学校、高等学校(高等専門学校を含む)、特別支援学校の先生方、
教育委員会関係の方にお使いいただけます。ご登録・ご利用は無料です。
これまで会員登録されていた方へ
サイトリニューアルに伴い、会員システムが新しくなりました。
大変お手数ではございますが、会員の再登録をお願い申し上げます。