
武田 智美 (荒川区立汐入小学校)
2026年01月27日
1.はじめに:Unit 1「地域のことを伝えよう」のねらい
令和6年度版CROWN Jr.で小学校6年生の最初の単元であるUnit 1「地域のことを伝えよう」は、児童にとって最も身近な存在である「自分たちの街」を題材としています。本単元の言語活動のゴールは、地域のことをもっとよく知ってもらうために、地域の行事や施設、自然などを紹介することにあります。教科書は、このゴールに向けて「HOP」「STEP」「JUMP」の3段階で、学習プロセスを「見える化」する構成をとっています。
今回は、単なる教室内の発表に留まらず、児童が学んだ表現を駆使して「観光ガイドブック」を作成し、外国人講師のローレン先生にプレゼントするという設定で授業を展開しました。これにより、児童は「相手に伝えたい」という切実な目的意識を持ち、主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度を養うことができました。
2.HOP:学びの見通しをもち、My Goalを設定する
単元の導入となる「HOP」では、まずUnit扉のパノラマ写真を見て、自分たちの地域にどのような魅力があるかを想起させます。児童からは「公園が大きい」「近くにある古い神社を紹介したい」といった声が上がります。
次に、教科書の二次元コードを活用し、JUMP(最終目標)のモデル動画を視聴させました。動画の中で、登場人物が地域の行事を生き生きと紹介する姿を見ることで、児童は「自分もこんなふうに英語で紹介してみたい!」という明確なイメージを持ちます。ここで、児童はワークシートに「ローレン先生が驚くような、写真いっぱいの観光ガイドブックを贈る」という自分なりの「My Goal」を記入し、学習の見通しを立てました。
3.STEP:語句や表現に慣れ親しみ、知識・技能を蓄える
ガイドブックの中身を充実させるためには、適切な語彙と表現が欠かせません。「STEP」の段階では、スモールステップで着実に力をつけていきます。
①Lesson 1「共通点を探そう」
まずは「We are …」「We like …」といった表現を使い、友だちとの共通点を探す活動を行いました。これにより、自分たち(We)という主語を使って地域について語る基礎を作ります。
②Lesson 2「地域の魅力を紹介しよう」
ここでは「We have Children’s Day in May.」や「It is exciting.」といった、行事やその感想を伝える表現を学びます。「Word Chant」を活用し、年中行事や形容詞の語彙をリズムに乗せて練習することで、児童は楽しみながら音と文字の関係に気づいていきました。
③別冊『My Dictionary』の活用
教科書に載っていない地域の固有の施設(神社、公園の名、地元の名産品など)を紹介したい児童は、5・6年共通の別冊絵辞典を活用しました。二次元コードから音声を確認しながら、自分が使いたい単語を自発的に調べる姿は、自立的な学習者としての成長を感じさせるものでした。
4.JUMP:観光ガイドブックの作成と心のこもったプレゼント
いよいよ単元のしめくくりとなる「JUMP」です。「地域紹介カード」を使い、切り取って書き込める特性を活かして、一人ひとりが担当するページの作成に取りかかりました。「専用手書き文字フォント」を手本にしながら、丁寧になぞり書きや書き写しを行い、写真やイラストを添えて「世界に一つだけの観光ガイドブック」を完成させました。発表の本番では、ローレン先生を教室に招き、グループごとにガイドブックを提示しながらプレゼンテーションを行いました。教科書の「こんなことに気をつけよう」のコーナーで学んだ通り、児童は「聞き手の様子を見て必要に応じて繰り返す」「相手に問いかける」といった工夫を取り入れました。
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児童の発表例:「We have a big star festival in July. It is beautiful! Please come to our town!」 ローレン先生の反応:「Oh, star festival! I want to go!」 |
発表後、児童たちは一冊に綴じたガイドブックをローレン先生にプレゼントしました。先生が「This is so wonderful! I’ll use this everywhere!」と喜ぶ姿を見て、児童たちは自分たちの英語が通じた喜びと、地域の魅力が伝わった達成感を深く味わっていました。
5.実現できた「深い学び」
今回の実践を振り返ると、教科書の持つ特色が、児童の学びを強力にバックアップしていたことがわかります。
第一に、ICT活用による個別最適な学びです。二次元コードにより、児童は家庭学習でもネイティブの音声を確認でき、自信を持って音読や発表に臨むことができました。
第二に、他教科との連携(CLIL)です。社会科で学んだ地域の歴史や伝統行事の内容を、英語という新しい「手段」を使って発信する活動は、知識の統合と深い学びをもたらしました。
第三に、スモールステップによる書く活動の定着です。なぞり書きから始まり、見本を見ながら書く技能を丁寧に積み上げる構成により、6年生の最初の段階で「書くこと」への抵抗感を払拭することができました。
6.おわりに:先生方へのメッセージ
「地域のことを伝える」という活動は、児童が英語を学ぶ意義を最も実感しやすい場面の一つです。三省堂の教科書は、児童が「やってみたい」と思える魅力的なパノラマや動画、そしてそれを支える『My Dictionary』が非常に充実しています。教科書を「教える」対象としてだけでなく、児童が世界を広げるための「ツール」として活用してみてください,。今回の観光ガイドブックのように、相手(ALTや地域の人)を意識した活動を設定することで、教科書で学んだ表現は児童自身の「生きた言葉」へと進化します。ぜひ、皆さんの教室でも、HOP・STEP・JUMPのリズムに乗って、児童と共に地域の魅力を英語で届ける旅に出かけてみてください。
武田 智美 たけだ・ともみ (荒川区立汐入小学校)
東京都公立小学校指導教諭。2018年より英語専科教諭として指導にあたる。2019年度教育研究員を経て、2023年に東京都公立学校教員海外派遣研修にてTESOLを学ぶ。これらの知見を活かし、児童の意欲を向上させ、子どもたちが楽しみながら確かな力をつけることができる授業を目指して、日々実践に取り組んでいる。

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