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近い未来に希望をもって ~教科書の最後のLesson~

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小学校英語

中曾 優美子 (大田区雪谷小学校教諭)

2025年06月05日

1.はじめに

 私たちの学校では、3年生から外国語専科が指導をします。

 こちらで紹介する子どもたちは、昨年卒業した児童たちです。この児童たちとの出会いは3年前でした。元気で、声が大きく、いつもにこにこしている子どもたちが多い学年でした。外国語の時間に、自分の思いをなかなか伝えられない友達がいると、そっと耳元で教えてあげる優しさのある子どもたちでした。

 そのような子どもたちと学習する、CROWN Jr.6年の最後の単元・Lesson 7 “I want to join the brass band.”の日を迎えました。

 

2.導入~1時間目

 まず、教科書の導入部分の「パノラマ」を眺め、口々に中学校への期待を話していました。その話を聞いていると、みんなが同じ中学校へ行くわけではないから、「パノラマ」に出ていない部活に入りたいと思っている児童が何人もいるということが分かりました。

 私の外国語の授業は、『自分の思いを伝える』ということをテーマに授業を展開していたので、自分の中で組み立てていたプランを変更しないといけないと察しました。

 

 第1時間目の最後に、子どもたちに入りたい部活について質問しました。教科書内で扱っている部活は、“baseball team” “basketball team” “brass band” “chorus” “computer club” “cooking club” “dance club” “kendo club ” “science club” “soccer team” “tennis team” “track and field team” “volleyball team”ですが、それ以外に、ラグビー部、水泳部、演劇部、卓球部に入りたい子がいました。部活の言い方を学習した際、子どもたちは、“team”で終わる部活、“club”で終わる部活、これらのどちらともつかない部活があるということに気づきました。これを生かし、ラグビー部は“rugby team”、水泳部は“swimming team”、演劇部は“drama club”、卓球部は “tabletennis team”と、既習事項を生かして自分たちで英語での言い方を導き出しました。

 

 

3.2~4時間目の展開

 第2時間目は、中学生になったら入りたい部活について、英語で伝え合いました。初めは、“What do you want to do?”に対して、“I want to join the brass band.”としか答えられなかった子どもが多かったです。やりとりをしている中で学んだ表現を使って“Why?” “I like music.”という質問・受け答えをしているペアや、“I see.” “Really?”などのリアクションをとることができているペアを紹介すると、何回か繰り返しているうちに、多くの子どもたちが30秒程度の英語でのやりとりをすることができるようになりました。

 

 第3時間目は、中学生になったときに部活以外で取り組んでみたいことについて、英語でやりとりをさせました。新出表現の導入箇所である“Let’s Watch”をヒントに、“I want to enjoy the school trip.”とだけ答える子どもが多かったのですが、第2時間目と同じように、英語でのやりとりが上手なペアを紹介すると、自分たちも紹介してほしいと、意欲的に英語でのやりとりをする児童が増えてきました。何回か繰り返しているうちに、多くの児童が40秒程度の英語でのやりとりをできるようになりました。

 

 第4時間目は、今までのことを生かし、中学校で取り組みたいことを、自由に英語でやりとりをさせました。子どもたちは、“What do you want to do in junior high school?”の質問に対して、“I want to join the rugby club.”や、“I want to study English hard.”など、自分が中学生になったら取り組みたいことを答えたり、理由を伝えたり、リアクションをとったりして、多くの子どもが 1分程度の英語でのやりとりをすることができるようになりました。「楽しい中学生活を送って、楽しい想い出をたくさんつくってね。」と私は心の中でつぶやきながら、子どもたちの英語でのやりとりを見つめていました。

 

 

4.おわりに

 教科書の最後のLessonである “I want to join the brass band.”の学習は、児童にとって、小学校3年生から6年生の外国語の授業の積み重ねを体感できる単元でした。また、3年生から6年生まで直接関わった教員にとっても、積み重ねの大切さを実感できる単元でした。

 これから、この子たちはまだまだ英語の学習を重ねていきます。成長したこの子どもたちに、世界中で活躍してほしいと願っています。

 

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プロフィール

中曾 優美子    なかそ・ゆみこ (大田区雪谷小学校 教諭)

東京都公立小学校主任教諭。学級担任として、外国語教育の研究を重ねてきた。2018年、大田区の小学校で初めての外国語専科になる。目の前の子どもたちの実態を把握し、子どもたちが楽しく力をつけることができる外国語活動・外国語科の授業を目指して、日々実践に取り組んでいる。

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