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明日からの授業づくりに2%! Before and After
〜Story Time 世界のおはなしってどう使うの?

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小学校英語

羽渕 弘毅 (西宮市立甲陽園小学校 教諭)

2024年11月11日

 

 

1.はじめに

 教科書が令和6年度版になって半年が経ちました。

  「このページどう使うの?」「何のためにこのページはあるの?」と、新しい教科書に関して、たくさんの疑問が先生方にあるかと思います。

 この度は、そんな皆さんの悩みに少しでも寄り添うために自分の実践を紹介します。Before(あるある失敗談) and After(改善後)という形でまとめていきますので、明日からの授業づくりに2%ほど貢献できればと思います。

 

※こちらの事例紹介も、ぜひあわせてご覧ください。

 「明日からの授業づくりに2%! Before and After 〜Story Time ケンの冒険は使えば使うほど面白くなる!」

 

2.Before〜ある教室でのできごと

 ここは今年から初めて外国語科を担当することとなったハブ先生の教室。

 今日は6年生の授業。Story Time世界のおはなしの「Gulliver’s Travel」(令和6年度版『CROWN Jr. 6』p.39)をメインの活動として考えています。みなさんは、このページを授業の中でどう「料理」されますか?

 

 

 では、ハブ先生の教室をのぞいてみましょう。

 

ハブ:「このお話を英語で聞きたいと思います。Please open your textbooks to page 39.」

児童:「はーい!知っています!ガリバーが…(あらすじを説明する、以下略)。」

ハブ:「ありがとう。では、英語の音声を聞いてみよう。」

 〜まとまった英文が流れる〜

 (ある児童にとっては絵を伴ったとしても、退屈な時間に…。)    

ハブ:「はい、こんなお話でした。楽しかったですか?」

児童:「は〜い!」

ハブ:(どんな力がついたかは微妙だけど、授業で取り扱ったし、いいか…。)

 

 もちろん、こんな取り扱いでは児童の英語の力は伸びません。ハブ先生は悩みます。

 では、この「Story Time世界のおはなし」をどう扱えばいいのでしょうか?

 

3.目指すゴールは?

 活動ありきの学習になってはいけないので、改めて目指すゴールを確認しましょう。

 ここでの活動は、学習指導要領では目標(1)聞くことの

 

ゆっくりはっきりと話されれば,日常生活に関する身近で簡単な事柄について,短い話の概要を捉えることがきるようにする。

 

に該当すると考えます。

 中学校レベルなのでは?と思われる方もおられるかもしれませんが、解説では

 

中学校の外国語科(1)「聞くこと」イと異なり,音声だけで情報を捉えるのではなく,イラストや写真などの視覚的な情報も参考にしながら話の概要を捉えることができるようにするとしている。(下線は筆者によるもの)

 

とあります。

 実際に教科書付属の指導書でも、「ある物語を聞いて、あらすじがわかる」ことが目的とされていて、短い話の概要を捉えられるように指導することが求められています。

 目指すゴールをもとに、ハブ先生は授業を改善しようと考えています。どのように授業は改善されたのでしょうか?

 

4.After ハブ先生の実践

 ここは、授業づくりを2%ほど変えたハブ先生の教室。

 授業の始まりは、Storyの一部の音声を流します。教室のスクリーンにはStoryの画像が6枚並んでいます。

 

【教室のスクリーン画面】

 

※今回、ハブ先生はPowerPointにデジタル教科書をスクリーンショットで貼り、音声データも同じスライドに載せることで操作性を良くしました。音声マークをクリックすることで、1~6場面どれでもランダムに流すことができます。

 

 ハブ:“You can see 6 pictures. Which scene?”

 

 

 ハブ先生は音声の情報をもとに、どのシーンの英語が流れたかを児童が考えるように促しています。ハブ先生が尋ねると、児童は「もう一回流して!」、”One more time!” などと口々に言います。

 

 

 ハブ:「この場面だっていう決め手となったキーワードやキーフレーズを探してね。」

 

 

 漠然と聞いていた1回目に比べて、2回目は聞く活動の中に明確な目的がうまれます。

 音声を流し終わった後には、“Did you get any keywords?” と聞くと、児童はいろいろな表現(good man, friends, cut the ropesなど)を聞き取れたことがわかります。

 聞き取れた表現を板書で整理し、確認として3回目を流すとさらに理解度が高まります。

 

【児童が聞き取れた表現】

 

 

5.まとめ

 活動時間で言えば、たったの5分程度です。「Story Time世界のおはなし」は、キーワードを見つけて概要をとらえる力を養うのにぴったりな素材です。授業の中で1回扱うだけでは非常にもったいないです。毎回の授業のはじめに帯活動として展開することで、無理なく「Story Time世界のおはなし」を活用することができ、児童の聞く力を高めることができるはずです。

 明日からの授業を2%変えてみませんか?

 次回は、「Story Timeケンの冒険」を紹介したいと思います。

 

参考文献

・文部科学省(2017)『小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語編』

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プロフィール

羽渕 弘毅    はぶち・こうき (西宮市立甲陽園小学校 教諭)

専門は英語教育学(小学校)、学習評価、ICT活用。広島大学教育学部を卒業後、高等学校での勤務を経て現職。これまで、文部科学省指定の英語教育強化地域拠点事業での公開授業や、全国での実践・研究発表を行っている。働きながらの大学院生活(関西大学大学院外国語教育学研究科学士課程前期)を終え、「これからの教育の在り方」を探求中。自称、教育界きってのオリックスファン。

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