今回,「児童・生徒に英語で読ませることのできる本の紹介と,どのように読ませたらよいか」ということでお話をいただきました。そこでまず,私の過去の実践を例に,「中学校の英語の授業で,どんな本をどのように読ませることができるか」について紹介したいと思います。 次に紹介する授業を実施した学年の生徒たちは,1年生,2年生と指導し,2年間で身につけてきた英語の知識については把握することができていました。またリーディングに関しては,2年生のときに速読のトレーニングを行い,ある程度の手応えを感じていました。そこで3年生の選択授業では,「これまでの学習で身につけた知識・スキルを用い,さらに英語の世界を広げていこう」と生徒たちに投げかけ,英文多読の授業を設定してみました。この活動は『教室で読む英語100万語 ― 多読授業のすすめ』(大修館書店)の中で,「100万語多読」として紹介されている活動を授業の中で活用したものです。 この活動の留意点は,主に次の2点になります。
中学生(初期の英語学習者)は特に,英語の単語を一対一で日本語に置き換えていこうとしたり,すべての単語の意味がわからないと文の意味を解釈することができないと考えたりすることが多いと思います。前述のような留意点を生徒に示すと,最初はやはり戸惑うようでした。その反応が「辞書を使いたい」という声となってあらわれてきました。 そこで, Elmo Says ACHOO! (STEP INTO READING STEP
1)を一緒に読みながら,"ACHOO"とはいったいどういう言葉なのか考えていきました。すると,生徒たちはエルモのくしゃみの音が"ACHOO!"なのだということを,容易に理解することができました。 授業では2年間で集めた約150冊の本の中から,自由に選択して読ませるようにしていました。生徒には本の種類(シリーズ)・タイトル・語数がわかるようにした一覧表(PDFファイル参照)を渡し,読み終わったあとは,自分が読んだ本の語数と簡単な感想,または本の説明を毎時間の記録として残すようにさせていました。このようにすることで,この授業を通して,自分が合計で何語の英単語を読んだのかがわかるようにし,また,ただ文字を目で追うだけではなく,内容を解釈しているんだということを感じ取らせるようにしました。
本の語数やレベルがまちまちなので,一単位時間(50分)に数冊読んでしまう生徒もいれば,一冊が読み終わらない生徒もいます。読み終わらなかったときは,次回に継続することになるのですが,途中で読むのをやめることが落ち着かず,本を借りたいと申し出る生徒も出てきたので,その場合には貸し出していました。
半期17〜18時間程度の授業で生徒によって読んだ量もまちまちですが、生徒たちが英語で書かれた本を読むことの楽しさ(興味・関心が高まり意欲的に取り組もうとすること)を感じ、英文を読むコツをつかもうとしていることを手応えとして感じることができました。 * * * 以上の実践を踏まえ,生徒に読ませたいおすすめの本は,以下のシリーズです。 ○STEP INTO READING / STEP 1〜5 (Random House
USA) ○Penguin Young Readers / Level 1〜4 (Pearson
Longman) ○Oxford
Bookworms Starters (OXFORD UNIVERSITY PRESS) 参考文献
島津博文 (しまず ひろふみ)
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