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日本語には英語由来の外来語がたくさんあります。しかし,いざその語を英語で使おうとすると,音が違い,通じなかったという経験をお持ちの方も多いと思います。日本語化された音から,英語の発音やつづり字を比較的容易に想像できるものも中にはありますが,当然のことながら日本語と英語では発音が違います。今日は日本語でのカタカナ語と英語との音の関係を数例取り上げて,授業の余談にでも使えるものを扱ってみました。これから夏に向けてなかなか授業がはかどらないときに、生徒が飽きてしまったときに、また最近流行りの学校PR向けの体験授業会などの機会に話せるネタです。先生方も、お仕事に疲れたときにでもお読みください。 プリン プリンは英語ではpuddingというつづりで,発音は ラップ 今度は,日本語では同じ音として捉えられてしまう例を紹介しましょう。「ラップ」というカタカナ語を聞いてどんな英語のつづりと音を想像するでしょうか。答えは lap
rap
wrap の3つです。いずれも日本語化されています。まずlapとrapですが日本語ではラの音ではl音とr音が混在され区別しません。lapはもともとは“重なる”“折り返す”という意味です。そこから,陸上競技でトラックを何度も重ねて周回したり,折り返すときの1周分をlapと言うようになり,lap
time「ラップタイム」という言い方でもよく使います。一方rapは音楽の用語で使われるrap
music「ラップミュージック」です。rapは“軽くたたく音”を意味する単語です。しかし,rapは米語で「おしゃべりをする」の俗語で,音楽用語に転じたと言われています。言葉をリズミカルに刻んでいく新しい音楽のスタイルとして定着しました。さらに「サランラップ」などでおなじみのwrapは“包む”の意味です。もともとはw音があったものと考えられますが,現代の英語では,rapと同音です。日本語では同じにされてしまう語でも,英語では発音とつづりが異なること,特にl音とr音の練習には使えるでしょうか。これと同様な例では,listとwrist,日本語で「ア」音に関連するものとしてfirstとfastなどもあげられるでしょう。ついでにですが何度か生徒から質問を受けたことのある語に「ジュース」があります。テニスなどで最終局面で同点になるときになぜジュースと言うのか不思議だと言うのです。実際このふたつも別々の単語で,飲み物のjuiceは トューニューヨーク,フォーニューヨーク,エートニューヨーク この原稿を考えている6月のある日曜日にNHKテレビで「日本の話芸」という番組を見ていました。落語家の三遊亭楽太郎氏が「西行」という落語を演じていました。その中で次のような下りがありました。 「・・・日本人の英語はだいたい文法ばかりが頭にあって,すぐ文法を思い浮かべてしゃべろうとするから誤解されてしまうんですよ。この前ある日本人がですね,現地の国内線でニューヨークまでの切符を買おうとして,何て言うんだか文法を一生懸命考えて,そうそう前置詞をつけるんだと思い立って,“〜まで”は確かtoを使うんだということを思い出して,自信を持って思いっ切りto New Yorkと言ったつもりが,切符が2枚で出てきてしまった。あわててこれはforを使うんだったかと思って,for New Yorkと言い直したら今度は券が4枚になっちゃった。その人困ってしまって思わず“え〜と〜”と言ったもんだから今度は8枚券が出てきたんですよ・・・」
確かに日本人は文法の細かいところに気を取られ,なかなか思ったことを素直に出せない側面が,皮肉っぽく話されていて楽しく見させていただきました。でも,この場合どうすれば誤解をなくすことができたのでしょうか。文法の話になってしまうので本末転倒かもしれませんが,前置詞は機能語です。後の名詞と一体になってひとつの意味単位をなすものです。そして一般に機能語には強勢が置かれません。toも実際にはアクセントは付かず,しかも 最後に
私は趣味で長年合唱をやっています。もっとも今は校務が忙しくてお休みしていますが,長年合唱を習っていた先生は,発音をとても大切にされている先生でした。曲と歌詞には相関関係があって,訳詞で歌うと曲想が変わってしまうため,原詞で歌うことを合唱団のモットーとしていました。ときには英語の歌も取り上げましたが,アマチュアの合唱団ですから英語が得意な方ばかりではありません。あるとき歌詞の中に,sitという単語があった際に,shitと同じ発音をしてしまったことがありました。日本語では[si]の音は日常的に使いませんから,いわゆる日本語の“し”に近い なお,三省堂高等学校英語教科書VISTAではSAY IT!の中でカタカナ語との関連を取り上げています。VISTAT p.85の“英語と日本語の音を比較してみよう”,また,VISTAU Step Two p.13の“最も強く発音する母音などに注意して言ってみよう”の指導の際にも,参考になればと思っています。
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