|
関西大学 斎藤栄二 |
3. の進め方
◆ラウンド1のねらい:
「限られた時間の中で量を読ませる」
◆具体例:ハンドアウト1参照
(1)
ラウンド1では、読むスピードを上げるのが目的である。したがって必ずタイマーを準備する。生徒の力にもよるが、下の例文で標準1分秒程度からスタートする。その1分の間に、質問a,
b, cに対する答えを探すために教科書本文を読ませる。現在の生徒の持っている読むスピードの、1.3倍から1.5倍の量を読ませることをさしあたりの目標とする。下に挙げた英文の量は1ページの最初の3分の1を示したものである。残りの3分の2、3分の3の部分についても、質問を与えその解答を探すために英文を読ませるという読解作業を繰り返させる。これを1年間やり通してほしい。生徒の力の進展に応じて、かける時間は少しずつ短くしていく。このようにして、生徒に知的負荷を与えていく。生徒に知的負荷を与えることをためらわないでほしい。生徒に知的負荷を与えない授業を通して、生徒の力が伸びることなどは期待できない。
(2)
質問文については、教師用指導書や教科書本文から見つけることもできるが、自分で作っても良い。
(3)
1分たったら、生徒が読んでいるのにストップをかけ、教師の方から任意の生徒を指名して解答を言わせる。そのときに気を付けなければならないことがある。「A君、正解はどれですか」と、あらかじめ答える生徒を指名して質問をする先生をよく見かける。できたらこれは避けてほしい。「A君」と教師が言った途端に、答えを考えるのはA君だけになってしまう。40人生徒がいるとすれば、あとの39人は自分には関係ないと思ってしまう。ひとわたり生徒の顔を見渡して、ちょっとポーズを置いて、誰に正解を求めるかわからんぞ、という雰囲気を作ってからおもむろに「B君」などと指名する。このちょっとしたポーズを置くことによって、40人の生徒諸君全体が一人ひとり解答を考えなければならない、というところに追い込んでいくのである。この2通りの指名の仕方の違いを頭におかなければならない。最初のやり方を1年間やった先生の教室と、2番目のやり方を1年間やった先生の教室では、生徒の力の伸び方にかなりの差が出る。よい授業とは生徒全員に頭を使わせるように配慮されている授業のことをいう。なぜなら学習は個人において成立するからである。一人ひとりの生徒の力を伸ばさないでおいて、全体の力が伸びるなどということはあり得ない。
ハンドアウト1
次の文で述べられている内容と合うものを選びなさい。
a. 突然の電話は樺太にいる日本人外交官からだった。
b. 電話の内容は人の生死にかかわるものだった。
c. 宮田さんは北海道教育庁国際交流課で電話を待っていた。 |
(教科書本文)
On August 27, 1990, the telephone suddenly rang in the International
Exchange Section of the Hokkaido Prefectural Office. Mr. Miyata
happened to pick up the telephone. The telephone call was from a
Japanese tourist visiting Sakhalin in the then Soviet Union. The
person said in a serious voice, "A three-year-old boy, Konstantin,
is facing death. Please help him."
(『ORBIT English Reading』2004年版、三省堂)
※紙数の都合上1ページの3分の1を提示した。実際の場合にはこの3倍の量の英文を指導対象とする、とお考えいただきたい。
|
|
|1|2|3|4|
|
|
|