SELECT
Oral Communication I


拓殖大学 長尾素子
(4) COMMUNICATION
4種類のコミュニケーション活動(インタビュー、プレゼンテーション、ペアワーク、ロールプレイ)を行うための準備として SPEAKING のページを設けました。ここでは、KEY
EXPRESSIONS の一部を使って生徒自身の立場に置き換えて話す練習をします。置き換える語句は、ページの下に WORDS & PHRASES
として例示しています。また、指導書にはさらに補充語句を多く掲載しています。できるだけ多様な対話をさせるためにも、指導書の中から必要と思われる語句を生徒に提示することが可能です。生徒はその中から自分に当てはまる語句を対話文の下線部に入れ、自分に置き換えた文を創作します。現在の自分に当てはまらなくても、願望や架空のことでも楽しい雰囲気で授業が進められるでしょう。
13課のうち6課のコミュニケーション活動がインタビューとプレゼンテーションのセットになっています。これまで何度も練習した
KEY EXPRESSIONS を応用した表現を使ってクラスメートや先生にインタビューし、得た情報をワークシートに記入します。ワークシートを埋めて答えの作成のみに走らないように、“Really?”
“Pardon?” “Excuse me.” などあいづちをうったり聞き返したり、会話のきまり文句を合わせて学習します。教科書の巻末に、「よく使う会話表現」が掲載されていますので、ここの表現をいくつか練習しておくとよいでしょう。インタビュー活動は、慣れてくると機械的なやりとりになりがちなので、できるだけ自然な会話表現で行うようにするとより楽しく授業が展開できます。また、先生は机間循環しながら、所々でインタビューに答えたりして参加するのもよいでしょう。予め活動時間を設定し、終了時間がきたらプレゼンテーションに移ります。
プレゼンテーションでは、自分の得た情報を複数の人の前で発表する練習をします。原稿は教科書に示されていますので、下線部に語句を入れるだけで発表原稿になります。原稿を読むのではなく、暗唱または参考に見る程度に指導します。発音や文の正確さよりも、むしろ元気で明るく積極的に伝えようとする姿勢を指導、評価します。例えば、声はクラスのみんなに聞こえる大きさか、視線はクラス全体に向いているか、笑顔で話しているか、などノンバーバルな側面にも配慮してみて下さい。
ペアワークは13課のうち4課あります。相手がもっている情報を引き出すやり取りを行います。例えば5課の天気、気候のレッスンでは、A
がシンガポールの今日の天気情報をもっており、B がそれを聞き出すために KEY EXPRESSIONS を応用して対話を行うというものです。天気、気候では、ペアワークの後、ラジオの天気情報を聞いて、ペアワークで埋められなかった情報を補う練習がついています。天気に関する表現を学んだ後ですから、実際に近いラジオ放送で力試しができるようになっています。他に7課の道案内、8課の観光案内、12課の約束でペアワークを行います。特に道案内と観光案内では教室用の大きなピクチャーカードを用意していますので、クラス全員で京都に行くという疑似体験ができます。
ロールプレイは13課のうち3課あります。10課の買い物、11課のレストランでは、セーターを買ったり好きな食べ物を注文したりといったやり取りを練習します。特にレストランでの対話は、海外旅行に行けばほとんどの人が必ず経験する場面であり、学習への動機づけとなるでしょう。英語圏は自己決定権が尊重される文化ですから、肉の焼き具合、ソースやドレッシングの種類、デザート、飲み物など自分の好みをはっきりと伝えなければなりません。日本のレストランはどうでしょう。そこから日本と英語圏の文化の違いを学ぶきっかけになるかもしれません。買い物でも、好みをはっきりと店員に伝えること、買いたくない場合もはっきりと断ることなど、コミュニケーションの仕方の違いにふれることができます。
ロールプレイでは、役になりきって演じることが大切です。最初は恥ずかしがって活動はぎこちないかもしれませんが、ロールモデルとして先生自身が堂々と演じてみる、英語の間違いより堂々と演じられた生徒に高い評価を与える、などの工夫で積極性を養うことができるでしょう。
(5) CHALLENGE
KEY EXPRESSIONS を使用して実用的なスキットを用意しました。このセクションはオプションなので、授業で取り上げるか、どのように使用するかは現場の先生方の判断に委ねます。使用例としては、ページ下の
ACTIVITIES に示してあるように、1) 役割を決めてロールプレイさせる、2) 音声を聞いて質問の答えとして合っているものに○をつける、という活動があります。各課の総まとめとしての位置づけでもあるので、ただ読むのではなく、感情を込めて、相手の目を見ながら発話するように指導します。
10課、12課、13課では、自分でスキットを創作するようにデザインされています。ページ下にある
ACTIVITIES の指示文のSTEPを踏めば、無理なく創作できるように工夫されています。課が進むごとに創作する部分が増え、13課ではかなり自由に創作するようになっています。最後には、創作したスキットを自分で演じてみる、クラスで発表してみる、といった活動に発展させてもよいでしょう。クラスの進度に合わせてかなり柔軟に使えるのがこのセクションの特徴です。
以上、『SELECT Oral CommunicationT』を使用した授業展開を述べましたが、各課以外にビンゴなどのゲームを3箇所、まとまったスクリプトを使って活動をする
Listen & Talk を3箇所折り込んでいます。前述したように、本教科書では「楽しく」「積極的な活動を通して」「ステップアップし」「英語と付随する要素を有機的に学ぶ」ことを目指しています。ゲームは、とにかく楽しい雰囲気で行います。ビンゴゲームではかなり集中力をもって音声を聴かなければなりません。積極的に活動を行ううちに自然に数字を聞き取れるようになるはずです。Listen
& Talk では、比較的まとまった量のスクリプトを用意し、難易度を本レッスンより少し上に設定しました。本レッスンの繰り返し学習法を少し休憩し、ステップアップを実感できるでしょう。

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