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コーパスを利用した初の英和辞典の改訂版である『ウィズダム英和辞典 第2版』、並びに、総合的英語発信力が身につく新しい和英辞典『ウィズダム和英辞典』が、10月10日同時発売となりました。
辞書の発売と同時に、「三省堂デュアル・ディクショナリー」サービスも開始いたしました。三省堂デュアル・ディクショナリーとは、辞書刊行と同時にその辞書をウェブでも利用できる、辞書の新しい形態です。「三省堂デュアル・ディクショナリー/ウィズダム英和辞典・ウィズダム和英辞典」(http://wisdom.dual-d.net/) 『ウィズダム英和辞典 第2版』『ウィズダム和英辞典』の発売と、「三省堂デュアル・ディクショナリー」サービスの開始に際しまして、三省堂英語教科書・教材のサイトで連載している「英語教育リレーコラム」において、3回にわたり特集をいたします。 第2回目にあたる今回は、暁星中学校・高等学校の田村達朗先生に、中高一貫校における辞書指導の実践報告をいただきました はじめに私立の中高一貫校である私の勤務校では、中高の6年間にわたって、英語科に週6時間の授業割り当てが可能であり、比較的余裕のある英語教育を実践できる環境に恵まれています。英語の入門期から初級段階にあたる中学校では、教員・生徒ともになるべく英語での発話量を増やすよう心がけています。高校1年生のときに実施する、ホームステイを利用した海外研修の際にも生きるような、実践的な英語力が身につくよう、日々励んでいるところです。 中学校での指導
英和辞書に関しては、中学2年生の冬休み前の時期に生徒にいくつか紹介し、購入させています。中学生向けの簡便なものよりも、高校や大学に進んでからの使用にも耐えうるしっかりした辞書を紹介するように心がけています。代表的な英和辞書をいくつか選び、それぞれの特徴を、私の感じたままに生徒たちに伝え、生徒に選ばせるようにしています。ここ数年は、電子辞書でもよいことにしています。
ウィズダム英和辞典(三省堂)
コーパスに基づいて作成され、使用頻度順に語義が並べられている。今回の改訂では、類義表現について使用頻度を意識した解説が加えられ、よりわかりやすく示されている。語源についても簡潔にまとめられている。 カレッジライトハウス英和辞典(研究社)文法面での情報が整理されていてわかりやすい。 ジーニアス英和辞典(大修館)語法面、特に誤用に関して詳しく、入試にも役立つ。 スーパーアンカー英和辞典(学研)比較文化面の記述が興味深い。 生徒は、それぞれ自分が選んで購入した辞書を持って授業に出席します。持ち寄った辞書を使ってある共通の単語を調べさせ、各辞書の記載内容を比較させると、その語についての理解も深まり、辞書に対する生徒の興味を高めることにもつながります。また、冬休みなどの長期休暇に入る前には、短めの課題図書を与え、読み進めながら単語帳を作成するように指導します。中学校の段階では、あまり細かい点にはこだわらず、語彙数が増えていくことに主眼をおきます。家庭学習に関しては、中学では予習よりも宿題や復習中心で行うように指導しています。 高等学校での指導高校1年生に対しては、徐々に辞書を活用した予習をするように指導していきます。未習の単語については、辞書で意味を調べ、単語帳に例文まで記しておくように指導します。例文は、その語の語感や語法を的確につかむために、必ず書き留めるようにします。 高校3年生には、大学入試を意識した読解指導をする必要があるので、まずは辞書を使わずに読ませます。未習語についてまずは類推で読みきり、読み終えてから辞書で確認するようにします。単語帳に記入する際には、接頭辞、接尾辞、類義語、反意語、語形変化等の周辺情報にも気を配るように指導します。これにより、意味を類推しながら読解する力が伸びていきます。 私的語彙力増強法
私自身も、一英語教師として、また英語の好きな一学習者として、単語帳を作っています。新聞、ペーパーバックなどで出会った知らない単語・表現は、分野別にメモし、気が向いたときに読み直すようにしています。分野の分け方は個人の好みによると思いますが、私の場合は例えば「Idioms」「Medicine」「Judicial terms」「Business & Economy」「Environment & Ecology」「Sports」「Proverbs」「Words of Wisdom」などに分けています。現在のところは手書きですが、コンピューターを利用して分野別にアルファベット順などに整理すれば、ちょっとしたオリジナルの辞書ができるのではないかと考えています。 参考までに,私の単語帳から1ページをご紹介します。 おわりに
高2、高3ともなると、自分から進んで英語を学習する生徒も増えてきます。私自身が一学習者として、どのように語彙を増やしているかを紹介すると、生徒たちはよい刺激を受けるようです。今後も学習者としての視点を失わずに、辞書を活用した英語指導にあたりたいと思います。 田村 達朗 (たむら たつろう) 暁星中学校・高等学校 英語科教諭。教職に就いて23年。中高一貫校ならではの環境を活かした英語指導を心がけている。
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