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辞書指導の意義
英語学習において辞書が大きな役割を果たすのは言うまでもないことだが、大きな転換期である高校英語のスタートにおいて辞書指導の果たす役割はさらに大きい。自ら学ぶ能力を身につけてはじめて、学ぶ楽しさも増し、英語力もアップする。予習をする上で「辞書が引ける」という能力は不可欠である。生徒が予習してこないと嘆く前に、予習できない生徒が多くいる事実を見つめるべきである。 辞書指導の課題 辞書に関して問題なのは、生徒の側と教える側の両方に課題があるということである。 生徒の側では、 1.目的の単語になかなかたどり着けない(辞書を引くのが遅い)。 ということであろう。はじめて辞書を引く、あるいはほとんど引いたことがない生徒が、辞書に慣れ、引けるようになるにはかなりの時間がかかる。何回も引くことによって可能になるのだろうが、生徒が自発的にその機会を持つことはあまり期待できない。たとえその単語にたどり着いても、どの情報を引き出せばよいか、また成句などの場合どう辞書を引けばいいか分からない。生徒が自分の力だけで解決するにはあまりに難しい問題である。 教える側では、 1.辞書指導の時間をどう捻出するか。 と、ちょっと考えただけで、いくつか問題点が出てくる。
使用する辞書に関しては、紙辞書、電子辞書どちらにもいい所があるが、入門期には紙辞書で指導を始めたい。辞書を引き、意味を見つけ出すプロセスをしっかり身につけた上でなら、電子辞書に移行してもいいと思う。 実践への提言 上記の課題をすべてクリアーすることはできないし、他にも課題が考えられるが、例えば、次のようなことができればと考える。 英語 I
の教科書で、3課に1課ぐらいの割合で、辞書を引かせることを主眼にした課を設定し、具体的な指示を記した書き込み式の課題を作成する。何時間か使って、辞書の使い方の基本的な説明をし、実際に辞書を引いて記入させる。後は、週末ごとに課題として提出させる。その課は基本的にこの課題だけで消化し、定期考査の範囲にも含める。最低、夏休みぐらいまでは続け、それ以降も3課に1課の割合で課題プリントで消化すれば、残りの2課の授業も進度をさほど気にせず充実するかもしれない。 まとめ 高校卒業時の英語力は、ひょっとすると高校入学後のほんの短い期間で決まるのかもしれない。分かる、楽しい、やってみよう、というグループと、面倒だ、つまらない、難しい、というグループにきれいに分かれてしまう。入学直後に持ったイメージはよほどのことがない限り変わることがなく、学年を経るに従い両者の差はどんどん広がっていく。辞書指導を含め、入学直後の指導を丁寧に、大切にしたいと思う。
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