教育サポート書籍
横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校 編
B5判・152ページ 定価(本体1,900円+税)
ISBN:978-4-385-36255-7
PISA型「読解力」を各教科でどのように位置付け育成するか、その具体を示した実践書の第二弾。教科ごとに年間指導計画と学習指導案例を多数掲載し、より充実したカリキュラムづくりをサポートする。
[特別寄稿] 文部科学省初等中等教育局 田中孝一 主任視学官
横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校
髙木展郎 (校長)
岩間正則 (副校長,国語)
高橋 励 (国語)
松田裕行 (国語)
松田哲治 (国語)
本田 清 (社会)
三藤あさみ (社会)
大谷 一 (数学)
杉山 宙 (数学)
田中保樹 (理科)
五十嵐俊也 (理科)
杉山利行 (音楽)
三浦 匡 (美術)
末岡洋一 (保健体育)
山本優子 (保健体育)
西岡正江 (技術・家庭)
朝比奈忍 (技術・家庭)
平間貴志 (英語)
杉浦千恵 (英語)
はじめに
I 理論編
PISA型「読解力」指導のこれから
① はじめに-改正教育基本法の施行
② PISA型「読解力」に係る経緯
③ PISA型「読解力」と国語科における読むことの指導
④ PISA型「読解力」指導の基本的な考え方
⑤ 今後の教育課程におけるPISA型「読解力」
⑥ おわりに
これからの時代が求めるカリキュラムの意味
① 教育課程とカリキュラム
② カリキュラムということの内容
③ カリキュラム構成の考え方の転換
④ カリキュラム構成の具体
「読解力」をカリキュラムに位置付ける
① 「読解力」でカリキュラム・マネジメント
② 全教科で「読解力」を身に付けるには
③ 生徒の「読解力」の現状からカリキュラムを構想する
④ 「読解力」育成の7つのねらいに即したカリキュラム開発
「読解力」育成の指導のねらいとその具体例 【1年】
「読解力」育成の指導のねらいとその具体例 【2年】
「読解力」育成の指導のねらいとその具体例 【3年】
プロセス重視の指導案について
① プロセス重視の指導案についての考え方
② 指導案の書き方
II 実践編
国語科
国語科学習指導案-ア(ア) 中学校1年
国語科学習指導案-ア(ア) 中学校3年
国語科学習指導案-ア(イ) 中学校2年
国語科学習指導案-ウ(イ) 中学校3年
【国語科(第1学年) 年間指導計画】
社会科
社会科(地理的分野)学習指導案-ア(ア) 中学校1年
社会科(歴史的分野)学習指導案-ウ(ア) 中学校1年
【社会科(第2学年) 年間指導計画】
数学科
数学科学習指導案-ア(ア) 中学校3年
数学科学習指導案-ウ(ア) 中学校2年
【数学科(第2学年) 年間指導計画】
【数学科(第3学年) 年間指導計画】
理科
理科学習指導案-イ(ア) 中学校1年
理科学習指導案-ア(イ) 中学校3年
【理科(第1学年) 年間指導計画】
音楽科
音楽科学習指導案-ウ(イ) 中学校2年
音楽科学習指導案-ア(ア) 中学校1年
【音楽科(第1学年) 年間指導計画】
美術科
美術科学習指導案-ア(ア)・ウ(ア) 中学校1年
美術科学習指導案-ア(ウ) 中学校2・3年
【美術科(全学年) 年間指導計画】
column 「“読解力”なんて……」と思っていた私から
保健体育科
保健体育科学習指導案-イ(イ) 中学校3年
保健体育科学習指導案-ウ(イ) 中学校2年
【保健体育科(第2学年) 年間指導計画】
技術・家庭科
技術・家庭科(技術分野)学習指導案-イ(ア) 中学校2年
技術・家庭科(家庭分野)学習指導案-ウ(ア) 中学校3年
【技術・家庭科(技術分野・第1学年) 年間指導計画】
【技術・家庭科(家庭分野・第1学年) 年間指導計画】
英語科
英語科学習指導案-ウ(イ) 中学校2年
英語科学習指導案-ウ(イ) 中学校3年
【Activity Plan For 2nd Year Students】
【Activity Plan For 3rd Year Students】
あとがき
執筆者一覧
はじめに
教育に関して,様々な論議が行われています。学力低下に端を発し,いじめや学校に関する話題は,今日的な問題となっています。しかし,それらの多くは,学校教育の大枠からの問題提起やご意見であり,日々の学校で行われている授業などの教育実践との距離があるように感じます。
目の前にいる生徒たちに,どのような授業を行い,どのような学力を育成していくかは,より現実的な課題として私たちに問われています。
横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校では昨年度より,PISA型「読解力」の育成を,授業としてどのように行うのか,ということを,教科国語だけでなく,各教科,総合的な学習の時間を通して実践してまいりました。その成果の一部は,昨年3月『「読解力」とは何か』(横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校FYプロジェクト編,三省堂,2006年3月)として上梓いたしました。
本年は,上記の内容を基に,カリキュラムの中にどのようにPISA型「読解力」を位置付けるか,の研究を深めて参りました。
読解力に関するものには,「読解力」という言葉が先行し,これまでの国語科教育で行ってきた読解力と,PISA型「読解力」との相違が不分明であったりすることもあります。また,これまでの教科国語科で行ってきた読解力を持って,読解力の内容を語る場面も多くみられます。
PISA型「読解力」は,これまで行われてきた教科国語における読解力を含みつつ,より大きな教育活動の中に存在する学力の一つと言うことができましょう。
文部科学省は,読解力を次のように定義しています。
自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発達させ,効果的に社会に参加するために,書かれたテキストを理解し,利用し,熟考する能力 (『読解力向上に関する指導資料―PISA調査(読解力)の結果分析と改善の方向―』2005年12月) |
しかし,上記の定義からは,読解力の理念は分かるものの,具体的な授業の目標と内容とが見えてきません。
その具体は,PISA調査(読解力)の結果を踏まえた「指導のねらい」として,教科国語を中心としつつ,各教科や総合的な学習の時間における指導例として,次のように示されています。
◆ 指導のねらい ア テキストを理解・評価しながら読む力を高めること (ア) 目的に応じて理解し,解釈する能力の育成 (イ) 評価しながら読む能力の育成 (ウ) 課題に即応した読む能力の育成 イ テキストに基づいて自分の考えを書く力を高めること (ア) テキストを利用して自分の考えを表現する能力の育成 (イ) 日常的・実用的な言語活動に生かす能力の育成 ウ 様々な文章や資料を読む機会や,自分の意見を述べたり書いたりする機会を充実すること (ア) 多様なテキストに対応した読む能力の育成 (イ) 自分の感じたことや考えたことを簡潔に表現する能力の育成 |
上記7つの「指導のねらい」が,PISA型「読解力」の目標でもあり,育成すべき能力となっています。
この7つの能力育成のプロセスを,各教科や総合的な学習の中に位置付けた具体例として,本書でお示しすることといたしました。これからの時代に先行する授業内容ですので,至らない点や行き届かない点も多々あると存じます。どうぞ,よろしくご指導,ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
最後になりましたが,本研究を行うに際しまして,本書にご寄稿を戴きました文部科学省主任視学官の田中孝一先生はじめ,ご指導を賜りました文部科学省教科調査官の井上一郎先生,冨山哲也先生,西辻正副先生,田代直幸先生,田村学先生,大熊信彦先生,村上尚徳先生,今関豊一先生,横浜国立大学教育人間科学部の諸先生方には,大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。
平成18年12月
横浜国立大学教育人間科学部
附属横浜中学校長 髙木 展郎
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