三省堂 英語ホーム > 高等学校英語 > 『三省堂高校英語教育』 > 2004年 夏号 『CROWN English Writing』(1) | ||||||||||||||||
はじめに――「書く」とは? 「書く」は「掻く」と同源で、「指先や細い物の先端を物の表面にあてがって強くこする。ひっかく」と『大辞林』は説明しています。興味深いことに、英語のwriteも「木など固いものの表面を傷つける」が原義です。いずれにしても、「相手に伝えたい」「後世に残しておきたい」という一念が私たちの祖先を揺り動かし、「書く」行為に向かわせたものと考えられます。 翻って、メール打ちに没頭している現代の若者たちの様子を思い浮かべてみましょう。「まともにコミュニケーションもとれない」と眉をひそめてしまいがちですが、別の側面を見る必要がありそうです。「話す」より「書く」ほうが自分の気持ちを素直に伝えられると感じている若者が予想以上に多いのではないでしょうか。親指でタッタッタとキーを打つ所作は、まさに古の人びとが木の皮などに引っ掻き傷をつける行為の変形に過ぎないのかもしれません。友人との人間関係を壊したくなくて慢性的にメールを打つ若者が多いことも確かでしょうが、そのような行為も含めて「つながっていたい」「伝えたい」という気持ちが「書く」行為の根底に流れているはずです。 『CROWN English Writing』の構成 新しいCROWN English Writingの教科書は、上記の基本理念を出発点として以下のような3部構成をとっています。 Part 1‥‥高校1年までに学習した文法・文型を使いながら、学校生活・スポーツ・映画といった身近なテーマで「書く」練習をします。目標とする英文はワン・センテンスです。ねらいは規則を覚え込ませるのではなく、既習の文法・文型を自己表現のための力強い手助けとして活用させることにあります。文法項目は、英文を書くために是非とも必要な15項目(時制〔完了形・完了進行形を中心に〕、SVOCの文型、助動詞、不定詞、動名詞、分詞、否定、受動態、比較、関係詞、接続詞、仮定法、名詞構文、分詞構文)に限定しました。ここで見逃して頂きたくないのは例文の新鮮さです。例えば、“We were fooling around when the principal suddenly entered our classroom.” といった高校生の心理に合った文が散りばめられています。 Part 2‥‥Eメール、手紙、レポートなど実際に書く場面を想定し、自分の意見や考えなどを適切に「書く」ことを練習します。目標とする英文はワン・パラグラフです。このパートは本書の中心部分であり、15レッスンにわたって様々な機能・概念表現が提示されています。依頼、要望、許可、提案、勧誘、忠告、賛成、反対、原因、結果、理由、方法、列挙、追加、比較、対照、要約などの他に、空間配列、時の順序、図示・図解の方法、感情を表す表現などに生徒たちは触れることになります。 Part 3‥‥スピーチ原稿、説明文、創作、論述文を扱います。目標とする英文は複数のパラグラフです。このパートの目標は、パラグラフの構成法に関する質問に答えていく中で、パラグラフ・ライティングの技術を体得し、最終的にスピーチ原稿や説明文を書くことにあります。 |
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