三省堂 英語ホーム > 高等学校英語 > 『三省堂高校英語教育』 > 2004年 夏号 授業実践レポート 1(3) |
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おわりに 口頭による情報を含め、上記のいずれの資料も提供するのは決して楽なことではなかった。私達の勉強不足と言ってしまえばそれまでだが、生徒に少しでも興味を持ってもらうためにかなりの時間を割いて努力したつもりである。ビデオ一つとっても適切なものを選び、さらにその中のどの部分を見せるのかを決めるのは大変な作業であり、学年担当者で協力し合って取り組んだからこそ、豊富な資料を生徒に提供することができたのだと思う。 教科書を出発点としてさらにその題材をふくらませることを目指した一年であった。300人を超す生徒の中で、何人でもよい、私達がかけた「興味の橋」のいずれか一つでも渡ろうとしてくれる者がいればと願って出来る限りの情報を収集、提供してきた。それがどこまで成果を上げたか正直わからない。しかし、星野道夫展に行って購入してきた美しい写真集を見せてくれた生徒がいた。またつい最近では、新聞にジェームス・ラブロックの連載があると教えてくれた生徒がいた。この記事は新聞の求人案内版に掲載されており、教科書で学習していなければ気が付くことはなかったであろう。この生徒は教科書で学んだことが決して授業だけのためのものではないことを実感してくれたのではないだろうか。入学当時に較べると、授業中あるいは授業が終わった後でも、本文の内容について話をしたり、資料を提供してくれる生徒が増えていることが本当に嬉しい。 本校は東京都から進学指導重点校に指定されている。進学校であれば、関連資料より入試問題などを与えた方がよいのではないか、と思われる先生もいらっしゃると思うが、視野を広め、興味を持った事柄に自ら探求心を持って取り組むことこそ、真の学力あるいはコミュニケーション能力をつけることになると考えている。そのために土台作りとして高校一年生では出来る限りたくさんの英文を読み、その内容を自らふくらませてもらいたい。それが学年スタート時の私達教師の願いであり、目標であった。 生徒には学年が進んでも教科書や他の資料から多くのものを吸収し、さらに視野を広げてもらいたいと願っている。一方私達教師側はその生徒の知的好奇心を刺激できるだけのものを充分に蓄えていかなければならない。この一年を終えるにあたりその思いをさらに強くした。 |
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