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三省堂高校英語教育 2003年春号
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特集 「新指導要領実施に向けて」
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『EXCEED English Series I・II』の編集を終えて

 桜美林大学 森住 衛

●言語材料・言語活動

(1)文法・文型
 近年の実践的コミュニケーションの志向に伴って、旧指導要領でも新指導要領でも文法・文型(以下、文法)の扱いが「軽く」なった。しかし、文法が軽視されてよいということではない。4技能のいずれも、基本的な文法の知識がないと「実践」には供しない。最近の基礎学力の低下もこの文法知識の欠除が根底にある。EXCEED は、文法は不可欠であり、生徒に無理なく導入できるという前提のもとに、T・Uともある種の工夫をしている。

 まず、無理なく扱えるような提示のしかたである。各セクションは授業1時間分の分量にしているが、その中に文法事項を1つずつ配置し、段階を追って学習できるようにした。このいわば「中学方式」は本来は高校の教科書でも必要であったのだが、これまでは課の本文のある部分にまとめて扱ったりして、この配慮が欠けていた。

 さらに、新出文法事項は、それに関係する事項を復習として前の時間に扱えるようにして工夫した。たとえば、過去完了を扱うときは、その前のセクションの本文に(これがミソである)既習の現在完了を配置し、その概念を想起させておいて、過去完了に入るようになっている。未来の受け身形の導入のときには、その前のセクションで現在形の受け身と助動詞の will を出しておいて、それぞれの概念を確認したあとで、未来の受け身に入るという具合である。

 この文法の学習は各課の直後の〈Take It In(ことばの規則を覚えよう)〉で確認、整理され、さらに練習問題の〈Just Do It (練習してみよう)〉に受け継がれる。この Just Do It も大半は各セクションに合致するようになっているので、教える側も学ぶ側も分かりやすい。

(2)語彙
 語彙は指導要領で指定されているため、EXCEED が格別に多いとか少ないとかはない。昔も今も「英語力=英単語力」である。単語をどの程度知っているか、使えるかというこの素朴な問題が実践的コミュニケーションにも受験にも関係していることは誰しもが認めることであろう。ところが、英語教科書ではこれまで語彙指導の部分は薄かった。EXCEED では、「英語T・U」とも3回ずつであるが、〈WORDS〉 の項目を設け、語の原形、日英語の対応、語形成、転義、類義語、語根を取り上げている。取り上げる回数は十分とはいえないが、このように語彙論や語彙力増強法を多少とも本格的に「英語T・U」の教科書で取り上げているのはあまり例がない。本教科書の特徴といえる。

(3)4技能
 題材も文法も語彙もすべて本来の、あるいは広義の、実践的コミュニケーションの土台であるが、ここからは4技能など新学習指導要領で取り上げられている直接的な実践的コミュニケーションにより近づくことになる。まず、各課の直後の〈Check It Out(内容を確かめてみよう)〉では音声面、文字面の両方から、つまり、「聞く」「読む」活動を通して、本課の内容を確認する活動を行っている。また、〈Just Do It〉では、その課で学んだ文法を定着させながら、言語活動ができるようにした。ある種の制限がつきながらも、習得した言語材料を使って疑似コミュニケーションを行うことは、実践的コミュニケーションの土台となるはずである。  また、〈It's Up To You(自分の考えを書いてみよう)〉では、聞き写しという「聞く」と「書く」活動を行ったあと、これをモデルとして、自分のことに関して発表していくという自己表現活動ができるようにした。自己表現というと、従来ややもすると、あまりに open-ended な提示や設問で、どのように扱ってよいか分からないということがあった。今回は、ステップを踏み、教室での活動も実現可能になるように工夫をしている。

(4)統合的な活動
 本課と切り離して、より直接的にそれぞれの技能やその統合的な活動を目指しているのが、〈Listen & Speak〉〈Listen & Write〉〈Write & Speak〉そして〈Reading〉である。それぞれ4技能の1つに焦点を当てていながら、他の技能との関連をも押さえた活動を出している。このことは、最初の3つでは、タイトルで一目瞭然である。最後の〈Reading〉については、タイトルからは分かりにくいが、読んで解釈する活動と、それに対して自分の意見などを書く活動の2つで支えている。

 以上、EXCEED の理念や題材、言語材料・言語活動の扱いについて、その特徴を述べてきた。思えば、この4年間に高校英語教育界にも変化があった。文部科学省から「〈英語が使える〉日本人の育成のための戦略構想」が出て、目標の目安も定められた。その後「行動計画」が出て、教員研修も始まった。指導要領の枠外でも2割程度は教えられるようになった。2006年度の大学入試センター試験へのリスニング導入がほぼ確実になった。これらの変化に対応すべく『EXCEED T・U』に織り込んだ「一本の太い筋」を吟味していただければ幸いである。

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