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三省堂高校英語教育 2002年春号
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■特集■ 新しい英語教育
学習者の力に応じて…

玉川大学
池田 智(いけだ さとる)

【序にかえて――】
●日本に長年暮らしたアメリカ人家族
 あるアメリカの友人は大学院を終えるとすぐにマレーシアで英語を教え、その後日本の大学で英語を教えた。来日したとき、30歳になったばかりだったと思う。家族とともに10年以上滞在した。奥さんも同い年のアメリカ人で、二人には男の子が二人いた。この子たちは日本へ来てから就学年齢に達し、上のお子さんは新潟時代に現地の幼稚園へ入園、島根で小学校へ入学、下のお子さんは東京へ来てから勤務先の付属幼稚園に入った。二人とも日本語を習得し、兄弟喧嘩も日本語でするほどになった。

 上のお子さんが英語を使う頻度が急激に少なくなること気づいた知人は、5年生になったときだったと思うが、アメリカン・スクールへ通学させるようにした。その後、アメリカへ帰国したが、現地の学校で日本人と親しくなり英語と日本語両方を維持している。

 この夫婦の場合、実に興味深いのは、奥さんはある程度日本語に通じるようになったが、知人の方は、さっぱりであった。漢字に興味を示したことがあったが、そのまま素直に受け入れようとはしなかった。分析するのである。それこそ「櫻」という字であれば、「木」はどういう意味なのか?「嬰」はどういう意味なのか?という具合にである。

 奥さんの方は、新潟時代も島根時代も子どもの幼稚園や学校のことをはじめ、地域社会との交流においても日本語を話せるようにならなければという意識が母親として、また妻としてたいへん強かった。しかし、東京へ来てからは日本語を話さなければならないという意識が薄れたという。その理由は、地方の方が「アメリカ人」である「私」に対する好奇心を強くもってくれ、何かにつけて近所の人が家に入り浸っていたというのだ。

●話しことばとしての外国語習得への必然性と性格
 奥さんや子どもたちは教育の面でも社会生活の面でも、日本語を習得しなければならない必然性があった。知人も同じ必然性があったのだろうが、大学という特殊な環境と家族の言語習得能力に助けられてしまったのだ。

 日本語を習得しなかったこの知人について私が把握していることは、非常に慎重かつ几帳面で頑固な上、すべてに理由付けを必要とする性格の持ち主だったということである。一方奥さんの方は、学部・大学院ともに美術が専攻で、異文化に対する好奇心が強く、性格的にもおっとりとして、人に気を遣わせるところのない女性であった。

 今から15年ほど前に読んだ第二言語習得に関する論文に、学習者にお酒を多少飲ませてから授業をすると比較的順調に進むといった内容のものがあったように記憶している。その裏付けとして、アルコールによって気持ちがおおらかになり、口数が多くなり、また発音や統語論的な間違いを犯すことを畏れなくなるからだというものであった。もしこの実験結果が正しいとするなら、ある年齢を超えた人が第二言語を習得する場合、必然性はもとより、素面のときの性格も言語習得に大きな関係があるように思われる。

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