授業研究
東京都立飛鳥高等学校 望月尚子
2.ディスカッションが停滞してきたら…
生徒が興味を持ったトピックでも、その話題や質問事項の性格上、活発な意見交換がされにくいときがある。そんなときは教師から、いくつか controversial
な点や、考えるきっかけを提供すると良い。
(1) 比較・検証させる
グループ全員の意見がほぼ同じである場合、ディスカッションが発展しない。また、「犬」vs「猫」 や「one's favorite movie」などの、個人の好みや価値観などがトピックの場合は、自分の好みを理由を挙げて紹介するのみで話が終わってしまいがちである。そういう場合は、その事柄の良い点・悪い点両方をリストアップさせたり、具体的な例で比較・検証させるなどした上で、ディベートのようなことをさせると話が弾む。たとえば、「将来どんな場所に住みたいか」というトピックの際、「お化けがでるという噂の家」と「夜中に大きな音でギターの練習をする人の隣の家」、どちらかに住まなくてはいけない、どちらを選ぶか、などという具体的な状況同士を比較・検証しディベートさせた。また、「好きな映画」がトピックの回では、宮崎駿の映画とディズニーの映画が圧倒的な人気を博したので、両者を比較検証させ、それらの人気の秘密を分析させた。また、宮崎駿の映画が、将来ディスニー映画のように世界的なものになるかどうかを考えさせた。
(2) 違う立場の人の意見を想像させる
ディスカッション最中の意見が高校生の立場から見たものに偏りがちになる場合がある。そのときは、自分たちの両親や学校の先生など、生徒たちとは違う立場の人たちはどう思うか、またその理由は何か、を考えさせると、ディスカッションに違った視点が加わり、話が発展しやすい。全く逆の意見を紹介し、それにいかに反論するかを考えさせるのも良い。
3.ディスカッションの形態
(1) グループディスカッション
クラスを2つのグループに分け、各グループにプリントの別々の質問事項を割り振り、話し合わせ、その結果をクラス全体に報告する。ディスカッションを始める前に、司会者(discussion
leader:これは、大抵そのトピックを選んだ担当の生徒がする)、secretary(discussion の内容を記録する)、reporter(secretary
の記録を見ながら discussion の結果を発表する)の役割りを決めておく。こうすることがスムーズな進行の手助けとなる。
(2) パネルディスカッション(少し慣れてきてから実施)
2つのグループに分け、交代でパネリストとなる。随時、フロアーからの意見を聞く。フロアーから意見が出にくいのでは、と懸念していたが、英語で意見を述べることに慣れてきたこと、そして、クラスの仲間と打ち解けあってきた頃だったことが功を奏して、結構活発な意見交換が行われた。
→4.1時間の授業の流れ 5.最後に…
←1.ディスカッション活性化への取り組み
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