1.はじめに 教科書の新しいレッスンに入る前に,どのようなことに配慮して授業を構成していくか。語彙指導を中心に,普段の授業で心がけていることをご紹介させていただきたいと思います。 2.教科書をじっくり見ていくことから始まる授業準備 教科書の新しいレッスンの授業準備は,教科書をじっくりと見ていくことから始めています。教科書の内容について,次のことをじっくりと見ていく習慣が自然に身についてきたように思います。
以上の 1 〜 6 のことを考えながら教科書をじっくりと見ていきます。 3.言語活動における計画的な語彙指導 次に,言語活動でどんな表現や語彙を取り入れたらよいかを考えます。ペアでの活動を考えるときには,教科書の本文や新出文型に関する例文等の表現を大切に考えて,ワークシートに取り入れていきます。語彙については,すぐに教科書内容から飛躍し過ぎないことを大切にしつつ,教科書では提示されていない語彙を意図的にワークシートに取り入れています。語彙を選ぶときは,コーパスを活用して,「英語母語話者の使用頻度が高い関連語彙」や「学校生活及び日常生活で生徒が使用したいと考えられる語彙」を吟味しています。そうすることで,新出文型の使用と幅広い関連語彙の定着を目指しています。 4.オーラルインタラクションを通した意図的な語彙指導 教科書本文の内容理解のためのオーラルインタラクションを実施するにあたって,次のような語彙指導を心がけています。教科書本文の長さや単語数には制限等があり,教科書本文をじっくり見ていくと,ある文と文の間にこんな情報が入っているとわかりやすいのでは,と思うことがあります。オーラルインタラクションでは,そのような情報について,既習文型,既習語彙を使いながら話します。さらに教科書の内容理解を深めるときには,教科書では提示されていない語彙であっても,関連語彙を取り入れます。難しく感じられる語彙についても,生徒とのやり取りを通して意味を確認しながら提示すると,教科書内容の背景知識との関連でかなり定着できると思います。 5.コーパスを活用した語彙指導 中学2年生の段階から,辞書指導も兼ねて,教科書の各ページで扱われている語彙の中の1語(名詞,形容詞,動詞,副詞,前置詞)に焦点をあてた指導もするようにしています。1語に焦点をあてた指導では,本文での使用例と,英語母語話者が実際にその語彙を使用する際に多く共起する語彙連鎖(コロケーション)を提示しています。コーパスを活用して,母語話者による使用頻度の高い上位5位の語彙連鎖について,生徒とともに考えた後で例文を提示します。例文を通して母語話者の使用頻度の高い表現を覚えていくようにしています。 6.題材に関するキーワードを中心にした幅広い語彙指導 教科書の各ページにおいて,題材内容に関するキーワード1語にフォーカスし,取り上げています。辞書指導も兼ねて,キーワードを中心にブレーンストーミングを行い,キーワード語彙のマッピングを各生徒が自由に書きます。さらにそれを発表し,クラスで共有して,幅広い語彙の定着にチャレンジしています。
7.最後に 「効果的な語彙指導」とは,語彙習得のための効果的な指導を1つ行うだけではなく,授業を構成する色々な要素を通して,幅広い「語彙指導」を行うことであると思います。語彙とは,長い時間をかけて繰り返し提示し使用することによって,徐々に身についていくのではないかと考えています。
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