フーンコラム 第57回 後関正明

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wearについての脱線ばなし

 先日,私が教えている学生たち(P子とQ子)とwearという単語について,いろいろと興味深い会話をしました。

P子:  私は,A中学校で3年生のステップアップ講師をしています。少人数クラスで2年生の教科書の復習をしているのですが,NEW CROWN 2年 LESSON 6のRatna Talks about Indiaでwearという単語が出てきます。生徒から「wearの意味は『着ている』と習いました。教科書では,Kenが“Oh, what's she wearing?”とたずね,Ratnaが“A sari.”と答える部分があります。この場合のWhat's she wearing?は進行形ですよね。wearがもともと『着ている』だからわざわざ進行形にする必要はないと思うのですが…」という質問が出ました。
私:  ほう,それで何と答えたのですか。
P子:  「wearは『着ている』という状態を表す動詞ですが,現在形はおもに習慣を表し,進行形の場合は一時的に身につけていることを表します」と説明しました。
私:  それでいいのですが,例文は出しましたか。
P子:  いいえ,でも出せばよかったですね。教科書の説明だけで終わってしまいました。
私:  そうですか。私なら1.She always wears blue (= blue cloths).「彼女はいつも青い服を着ている[習慣]」,2.She is wearing a sari.「彼女はサリーを着ている[いつもではないが,いまサリーを着ている]」などの例文を示します。わかりやすい例文があれば,生徒はすぐに納得します。ところで,生徒から質問が出たときは,その単語についてほかの意味や用法も例文を用いて説明すると生徒はさらに勉強意欲を増すと思います。
Q子:  たとえばどんな例文ですか。
私:  たとえば,wearには「着ている」という意味がありますが,もともとは「身につけている」が原義です。また,このwearとよく対比させる語句がput onです。このput onは,教科書には出てきませんが,意欲のある生徒には教えてもいいでしょう。このput onは「身につける」動作を表しています。板書は次のようにするとよいでしょう。

 wear = 身につけている(状態)
 put on = 身につける(動作)

このwearとput onがわかれば身につける動作や状態はすべてこの2つで表せます。
 服を着ている = wear clothes    服を着る=put on clothes
 ズボンをはいている = wear pants ズボンをはく = put on pants

 同様に,スリッパをはいている(はく),眼鏡をかけている(かける),帽子をかぶっている(かぶる),ショールをはおっている(はおる),イヤリングをしている(する),指輪をしている(する),手袋をしている(する),香水をつけている(つける),ペンダントをさげている(さげる),リボンをつけている(つける)などはwearかput onで用が足りるのです。こうして見てみると,「身につけている(つける)」ことを表すときは,日本語の方が英語とくらべて表現が細分化していて面白いものです。
 ところで変な話ですが,P子さん,Q子さん,あなた方は電車の中で化粧はしませんよね。

P子・Q子:  もちろんしません。
私:  なぜこんな話題をふったかというと,wearと「化粧」は関係があるからなのです。「化粧」のことは英語でなんと言いますか。
P子:  makeupです。
私:  そうですね。実は,「化粧している(する)」ことを表すときも,wearやput onを使うことができ,「化粧している」はwear makeup,「化粧する」はput on makeupと言います。では,「車中で化粧をするのは無作法です」を英語で表すとどうなりますか,Q子さん。
Q子:  It's bad manners to put on makeup in the train.
私:  ちなみに,化粧関連の表現では,「薄化粧」はlight makeup,「厚化粧」はheavy makeupという表現をします。

 これはちょっと脱線しました・・・。話をもとへ戻すと,教科書に出てくる単語もあるページの中で使われている意味や用法ばかりでなく,たまには私のように脱線してみると思わぬ言葉の広がりが見えてきて,そこがまた生徒たちの興味や関心をひきつけることにもなるのです。そういう脱線は面白いでしょう? もちろん,前述 のwearingについて,進行形としての使われ方と動名詞としての使われ方の違いを説明するのも大事ですが,そこはさらっと切り上げて,化粧のことなどについても話せば生徒は面白がって聞くでしょうし,印象に残るのではないでしょうか。もっとも,そこから生徒たちが勝手に話を発展させて教室がうるさくなってはいけませんが…。では,今日はこのへんで終わりましょう。

 So much for today !

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

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