フーンコラム 第22回 後関正明

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板書再考 ─ その2 ─

 前回の板書についての質問(埼玉県S市K中学校E先生)にいろいろとお答えしましたが,そのことで,また次のようなメールをいただきました。

拝啓
 先日の質問に対していろいろとご教示いただき,ありがとうございました。9月になるのが待ちきれずに,8月後半の「夏休み補充教室」で先生がおっしゃる通りの「板書法」を実行してみました。まず,プリント作成のつもりで4月から7月までの基礎・基本事項と発展学習事項をまとめました。それに加え,9月からの言語材料に関しても,基礎・基本事項と発展学習事項に分けて,予習としてまとめました。結構な量になりました。

 A4用紙を横位置にし,プリントの原稿を作るつもりで,全体を見渡しながら赤と青を使ってそれらをコンパクトにまとめました。せっかく作ったので印刷をして配布しようかとも思いましたが,あえてやめて赤と黄色のチョーク(青は見えにくいので)を使って板書しました。

 その際,余白を十分とるように指示しました。ふだんの授業とは違って多少のゆとりがあったことで,生徒たちもゆっくり書き写すことができ,私の説明を聞く段になると,重要だと思ったことは,余白に書き込んでいました。(「ここは大事なところですよ」と言って注意をうながし,2度説明したところもありました。その時は英語の苦手な子も私の説明を書いていました。)

 生徒が私の板書を写したノートで勉強する姿を思い浮かべると,板書することに大きな責任を感じます。それに私自身,板書用のプリントを作る際,予習・復習のみならず,重要ポイントや暗誦文などの指示をするのにいろいろ考えますので,それがまた全体の授業計画に大いにプラスになっています。そして,「自分の授業計画を立て,実行し,時おり生徒のノートを点検するとともに自己反省する」という一連の作業の中で自分の授業を客観的に眺めることができるようになりました。これは私にとって大きな収穫です。今後,この経験を生かして9月からの日々の教育活動を進めていこうと思っております。

敬具

【私からの返信】
拝復
 メールありがとうございました。小生の申し上げたことを実行していただき,感謝しています。確かに,自分の授業計画を立てる際,どこがその授業のポイントかを考え,導入や展開,そして定着の段階等で,いろいろな機器をどこでどう使うか,板書はどうするかを決めますね。また,逆に,機器の活用で授業全体の構造が出来上がる場合もあります。そう考えると,黒板も機器のひとつですから,板書の利用によって授業が構築されることもあり得ると思いますし,実際に,先生はおやりになってそのことを実感されたわけです。

 私も1年LESSON 5 Alice and Humpty [1] の板書案を考えてみました。参考にしていていただければ幸いです。

板書用スクリプトイメージ

下線部分は先生の指示で語句をいろいろと入れ換えられます。これ全体をノートに写すだけでも10分くらいかかるかもしれませんが,早く書けた生徒は自分で語句を入れ換えて読んだり書いたりすることができ,書くのが遅い生徒は書き写すだけになりますが,先生の指導で読めるようにもなります。板書も生徒に分かり易くきれいにできると楽しいものです。先生もがんばってください。

敬具

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生

東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

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