大阪市立中央高等学校 東川直樹
●授業展開例
本稿では『EXCEED English Reading』のLesson 2、Grow Strong,
Pinatubo Rainforestを取り上げ、その授業展開例について考えてみたいと思います。(具体的な授業過程については別表をご参照ください。)
1)本課のねらい
この課はフィリピンのピナトゥボ山の噴火による火山灰地の再緑化に取り組む日本の高校生の活動や、現地の人たちとの交流の様子に関する英文レポートを読むことで、緑化運動やボランティア活動のあり方について考えさせようとするものです。
2)本課本文を読む前の活動
本課本文に対して生徒たちの興味・関心をひき、動機づけを高め、英文の内容をある程度予測させるために、フィリピンのピナトゥボ山の噴火やその再緑化運動に携わる日本の高校生、今西夏貴さんのボランティア活動についての視覚情報を与えます。
また、教師用指導書[1]『解説と指導編』(p.26)にあるオーラル・イントロダクションを活用し、本課本文への導入とするとよいでしょう。その際、学習者の実態に合わせて、英語そのものを少し易しくすることも大切です。
3)1時限1セクションの扱い方
本課本文の指導にあたっては予習サブノートを活用し、そのセクションの新出・重要表現を押さえます。また、教科書の各セクションについているQ&A以外に、教師用指導書[1]『解説と指導編』にある補充問題のQ&Aも大いに活用します。CD/テープ教材のモデル音声を参考にして、センスグループ毎に音読練習させたり、シャドウイング練習をさせるなど音声面の指導も積極的に行います。
4)読解後の活動
本課本文読解後の活動にはワークブック、教師用指導書[3]『評価問題集』が役に立ちます。授業で扱った本文を家に帰ってから、繰り返し音読するよう指示することも大切です。その際、巻末の「読み方のポイント」の「III
音読」を参照させると効果的です。 各セクションの読解活動がすべて終わった段階で、課末の活動(Check It Out, It's Up to
You, Just Do It, Read It Aloud, Take It In)を行います。
さらに、指導書の発展教材The Way International Cooperation Should
Be(指導書[1]『解説と指導編』pp.44〜45)を用いて、生徒配布用ハンドアウトを作成し、生徒たちに読ませます。国際ボランティアに関する別の英文を読むことで、ボランティアのあり方について生徒たちに、より深く考えてもらえるのではないかと思います。
●おわりに
以上、『EXCEED English Reading』について簡単に述べましたが、本教科書を少しでも有効に使って、生徒たちとともに新しい知見を発見する喜びと「読む」行為の醍醐味を味わうことができればと思います。
<授業過程>
指導内容 |
活動内容 |
教科書で支援されている活動 |
補助教材で支援されている活動 |
さらに考えられる活動 |
予習 |
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・新語の意味調べ。
・文法の予習。
・第1次読解(予習サブノート)。
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・試し音読(読めない単語を探す)。
・単語リストの作成(意味は後で書く)など。
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各セクション
の導入 |
・Before You Read
・課の内容を予測
|
・オーラル・イントロダクション(教師用指導書@『解説と指導』編)。 |
・教科書中の写真に加えてHPからダウンロードした写真等も用いる。 |
内容理解の
促進 |
・Q&Aで内容を確認する(各セクションQ&A)。 |
・本課本文の音声を聞く(CD/テープ)。
・英問英答で内容を確認する(教師用指導書@『解説と指導』編)。
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・センスグループ毎の音読練習、フレーズ単位の全文和訳など。
・補充問題で内容を確認する(教師用指導書@『解説と指導』編)。
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語彙・表現の
確認と定着 |
・新出語の発音を確かめる(発音記号)。
・重要表現の意味を確かめる(脚注)。
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・和訳しながら意味を確かめる(予習サブノート)。
・和文英訳・英文和訳によって意味を確かめる(教師用指導書B評価問題集、ワークブックを利用)。
・繰り返し発音してみる(CD/テープ)。
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・辞書指導、品詞ごとの分類など。 |
文法事項の
解説と定着 |
・ターゲット文提示(課末のGrammar, Expression利用)。
・読み方のポイントに注意して問題に答える(Just Do It)。
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・解説(予習サブノート、ワークブック)。
・問題演習(教師用指導書B評価問題集、ワークブック)。
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・ターゲットフォームを使って英作文し、言ってみる。 |
内容のまとめ
(復習) |
・もう一度英文を読み返す(Check It Out[聞き取り課題含む]を活用)。
・発音に注意して音読する(Read It Aloudを利用)。
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・モデル音声を利用して音読する(CD/テープ)。 |
・音読や黙読で繰り返し読み返す。
・キーセンテンスを抜き出して写す(言う)。
・中学校レヴェルの英語でパラフレーズした要約文を書く(言う)。
・論理展開の確認。
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発展学習 |
・内容に関する自己表現(It's Up to Youを活用)。 |
・対話活動を行う(教師用指導書@『解説と指導』編の発展教材)。
・ピナトゥボ火山やアエタ族、災害への取り組みについての発展教材(日本語訳を除いたもの)をハンドアウトにして配布する。
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・更なる付加情報を与える(教師用指導書A『題材資料』編)。
・発展学習(インターネット上のピナトゥボ火山、アエタ族、再緑化運動の情報を集めて発表するなど)。
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