東京学芸大学教育学部附属高等学校 渡辺 聡
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1. はじめに
平成18年度の大学入試センター試験から、『英語』の試験には筆記に加えリスニングも出題される。大学入試センターから発表されている概要は以下の通りである。
(1)試験時間及び配点
<筆 記> 80分(200点)
<リスニング> 30分(50点)
(2)出題方法等
『英語』は、「オーラル・コミュニケーションT」及び「英語T」に加えて「オーラル・コミュニケーションU」と「英語U」に共通する事項を出題範囲とする。
(3)音源
個別音源機器を各受験者に1台ずつ配布し、実施。
(4)試験会場
リスニングテストを大学で実施することから、現行どおり大学入試センター試験の全日程を原則、大学で実施。
(5)解答方法
[1] パート(大きな問)単位に個別音源機器に内蔵された音声(日本語)で解答方法を説明する。
[2] 英語の音声問題を聴き、問題冊子に書かれた問ごとに正解をマーク方式で解答する。
(6)受験方法
科目「英語」の受験者は、全員リスニングテストの受験を必須とする。また、教科「外国語」は出願時に受験科目を登録する。
(7)成績提供方法
各大学には、筆記試験の成績とリスニングテストの成績とを区別した上でセットで提供する。
(8)備考
旧教育課程履修者に対する経過措置としての出題方法等は特に措置しない。
なお、身体に障害のある入学志願者への対応方法は以下のHPを参照されたい。(リスニングテストにおける受験特別措置についてhttp://www.dnc.ac.jp/center_exam/18exam/sikou_test02.html)
(以上、平成18年度センター試験出題教科、科目等平成16年5月20日付、及び平成18年度からの大学入試センター試験における英語のリスニングテストについて 平成15年11月5日付より抜粋)
2. 英語リスニング試行テストの分析
以下、平成16年9月に行われた英語リスニング試行テストを分析してみる。試行テストで実際に出題された問題は、大学入試センターHP(http://www.dnc.ac.jp/)を参照されたい。
<全体>
(1) ほぼナチュラルスピードで読まれる。150〜190wpm(平均約170wpm)。速すぎもしないが遅くもない。
(2) 読まれる英語はAmerican Englishである。
(3) 本文(対話)は各問2回読まれる。
(4) 選択肢は4つあり、1つを選び、その記号((1)〜(4))をマークする。
(5) 基本的に、対話は異性同士のものになってる。従って会話の始めと終わりはわかりやすい。
(6) 各問で本文(対話)が読まれる前にListenというせりふが入る。
(7) 平均点30.42(50点満点)
<第1問>
◆形 式:対話ビジュアル 2人の対話を聞き、イラスト、数字等を選択する
◆分 析: [問1] reading、Harry Potterという語からbookを選ばせる問題。答えとなるイラストそのものの語が読まれる訳ではないので、ある語(句)と別の語(句)をつなげる力が求められる。
<第2問>
◆形 式:対話応答補充 対話を聞き、それに続く発話を選択する
◆分 析:対話がどのように流れているかを理解すると同時に、最後の発話に注目する。最後の発話が質問形になっている場合が多いが、すべてがそうとは限らないので注意が必要。
<第3問A>
◆形 式:対話内容Q&A 対話に関する質問を読み、印刷されている質問に対する答えを選択する
◆分 析:誰と誰がどのような場面で何について対話をしているのかという状況把握がまず必要。そして、質問されているキーワードを話の流れから選び出す。質問文も正確に聞き取ること。
<第3問B>
◆形 式:対話ビジュアル 対話を聞き、その内容からわかることをイラストの空所に当てはめる
◆分 析:対話の中でわかった事柄を順に埋めていく。途中で話の流れが変わることも予想されるので、訂正等を加え、最後まで聞いて確認することが大切。
<第4問A>
◆形 式:Short Passage内容Q&A Short Passageを聞き、印刷されている質問に対する答えを選択する
◆分 析: [問20] キーワードとなる名詞や動詞(この問ではrestaurant,
go early等)を捉えながら発話を聞く。また、Butのような接続語で話がどのように展開しているのかを見極める力も必要とされる。
<第4問B>
◆形 式:講義内容Q&A 講義形式の発話を聞き、印刷されている質問に対する答えを選択する
◆分 析:ある程度分量のある講義形式の内容が読まれるので、メモを取りながら聞く必要がある。特に数字は要チェック。該当する項目と一緒にメモをしておく(例
Am:62 milli, 70%)。発話の最初の方で大まかなキーワードが読まれ(この問ではenvironment)、その後で具体的な内容説明になる。比較対照されている事項をしっかりとつかむ力が求められる。
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