東京学芸大学教育学部附属高等学校 渡辺 聡
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3. 昨年度通りの点
(1)マーク数及び配点
(2)その他第1問から第6問まで形式に大きな変化はない。
4. 昨年度と変化のあった点
(1)語法問題(第2問A)が増加した。
日頃から英英辞典を使い、和英辞典からはわかりにくい英語特有のニュアンスの違い、また日本語では区別がなくても英語では異なる表現をする類義語の違いには日頃から注意を払うことが重要である。また、語彙だけでなくコロケーション関連の知識も要求される問題が出題された(solutions
to[問2])のもコミュニケーション能力重視の現れであろう。
(2)文法、語の定義問題(第2問A)が減少した。
上記(1)の代わりに文法問題が減少した。とは言え、動詞の形の変化、比較、分詞、形容詞、接続詞や(関係)代名詞等の基本的な文法事項は再度確認させたい。
(3)長文問題の総語数が増加した。
第4問、第5問、第6問の問題文で総語数が約1割増加した。ただし、それによって難易度が上がったわけではない。
むやみに長い文章を読む訓練は必要ないが、1,000語位の長文は一読で内容や流れをつかめるようにはなりたいものである(第6問本文は1,000語を超えている)。
5. 新傾向の点
(1)会話(第5問)を行う人数が増加した(2人→4人)。
6. 日頃の学習で大切なこと
(1)300語程度の中文を論理的に読む訓練をする。
生徒が苦手であろうと思われる第3問のような300語程度の中文を、論の展開に留意しながら読みこなす力を養成することが必要であろう。センター試験レベルの英文では、同じことをわかりやすく、しかも比較的近い場所で別の語句(表現)で言い換えていることが多い。このように、語の表面だけではなく、異なる表現で述べられている箇所を把握することで、内容理解はより深いものになる。
(2)ネイティヴの英語を聞き、音読をすること。
来年度からリスニングがセンター試験にも課せられる。リスニング能力の向上の基礎となるのは音読にある。OCはもちろん、英語Tや英語Uの教科書であってもモデルの発音を聞き、自分の耳で聞き取った音を真似て声に出して読むことが大切である。読むためには内容を理解する必要があるし、音に集中すれば字づらからではわからない英語特有の音の仕組みも体験的にわかってくる。無理に暗記をするという意識ではなく、何回も何回も繰りかえして読み込んでゆけば、なによりも、英語に対する興味、関心が必ずや増すはずである。
(3)あらゆる事項を総合的に関連づけ、活性化した授業を展開する。
センター試験と言えども英語という語学を基にしているものである以上、単なる単語や熟語の暗記で点数が取れるというものでは決してない。ある語(表現)を別の語(表現)で行う活動を積極的に取り入れたり、教科書の内容に関連した簡単な記事や論文を授業の最後に読み込む作業を取り入れる。いわゆる文法事項も単発のものとして扱うのではなく、教科書の文中で該当する箇所が出てきたときに改めて確認する。そうした活動の中で生徒のInteractionが生まれ、活気のある授業が展開できれば、教師の予想以上の結果が期待できるであろう。
7. 最後に
センター試験は高校で学ぶべき基本的事項が身についているかを試すものである。コミュニケーション能力と正確な読解力。この二つの力を育成することを指導の根底にしっかりと置きさえすれば、“センター試験対策”と特別に意識せずとも、生徒の英語力は確実に向上することであろう。
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