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三省堂高校英語教育 2004年春号
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特集1 「新指導要領実施のリーディング」

『ORBIT English Reading』― 英語力の中核を作るリーディング ―

京都ノートルダム女子大学 高梨庸雄

 現行の高等学校学習指導要領になって、カリキュラムの組み合わせによっては今年度からリーディングを教える学校も出てきます。一方、現行カリキュラムによる高校卒業生からセンター試験に英語の聞き取り検査も導入されることになっています。英語科の6科目の履修バランスが改めて問われることになるでしょう。そこでORBIT Readingをもとに、リーディングのあるべき姿を考えてみましょう。

1. ORBIT English Readingの特徴

(1)段階的難易度に配慮した教科書構成
 ORBIT English Reading(以下、ORBITと略す)は刊行以来、幸いにもコンスタントに採用されておりますが、多感な年代の高校生に感動を与えると同時に、日本や外国の社会及び文化について考えさせる中身の濃い教材を心がけてまいりました。中身の陳腐な教材は文字によるコミュニケーションに値しないし、生徒の興味や関心を引きつけることはできないからです。

 また、ORBITでは、教科書構成において内容のバランスと共に難易度のバランスにも留意して全体を4ステージ構成とし、はじめの方は約150語程度の短く平易な教材でスタートし、すこしずつ長いものへ挑戦させて読む力を養成できるようにしております。

(2)Reading Strategies
 中身の濃い教材が難しいとは限りません。むしろ平易な英語で中身の濃いメッセージを送るのが文字によるコミュニケーションの真骨頂であると考えています。外国語学習は、どのスキルであれ、限られた授業時数の中で一定の効果を上げることが求められます。周囲が英語という学習環境で行われるESL(English as a Second Language)とは、その点で大きく異なります。そのためORBITでは、教科書の4箇所に延べ17のReading Strategiesのページを配しております。それぞれ具体例を伴った解説を読むことによって、生徒は文章展開の形や約束事を知り、それを教科書の文章を通して実際に確認することができます。その一助にStage 1とStage 2の各課の本文末尾にStrategy Check!を設けて、その課の文章を読む時に役立つ重要なストラテジーを実践できるようになっています。このような活動を通して習得する力はライティングにおいても役に立ちます。

2. 文字による多様なコミュニケーション

 文字によるコミュニケーションは、「生徒が情報や考えなどの受け手や送り手になるように具体的な言語の使用場面を設定して行う活動」(高等学校学習指導要領 外国語編)で、「リーディング」では次の4つの活動が求められています。

ア.まとまりのある文章を読んで、必要な情報を得たり、概要や要点をまとめたりする。
イ.まとまりのある文章を読んで、書き手の意向などを理解し、それについて自分の考えなどをまとめたり、伝えたりする。
ウ.物語文などを読んで、その感想を話したり、書いたりする。
エ.文章の内容や自分の解釈が聞き手に伝わるように音読する。

以上の活動はORBITではどのように教材化されているかを次に説明します。

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