三省堂 英語ホーム > 高等学校英語 > 『三省堂高校英語教育』 > 2004年 夏号 授業実践レポート 3(2) | ||||||||||||||||
実践例:Lesson 7 Happy Birthday to You! の場合 誕生日の祝い方についての文化的違いを題材にした内容です。本文そのものが新聞記事のようなスタイルで、ブルガリアと韓国の例が紹介されています。異文化の習慣を具体的に知ることによって理解を深めることに加え、自文化に目を向けるというテーマをあわせて設定しました。さらに新聞英語という特徴的な文体に慣れる手がかりにもなっているので、いろいろな方向へ発展させやすい内容でした。 [ 導入 ]
[ 内容の理解と発展 ] 資料1(イメージを表示)のようなワークシート式のプリントを作り、必要なことを書き込めるようにしました。辞書を使って新出語彙についてカタカナ表記の発音や意味を確認し、ワークシートに日本語訳も書き込みながら、ブルガリアや韓国の国内事情や文化なども紹介します。文法事項はごく簡単な説明にとどめて、内容の理解とそれをテーマにした異文化・自文化理解に重点を置くことにしました。とくに、ここでとりあげられている「誕生日の祝い方」に秘められた文化的な背景をさぐっていくとどんどんおもしろくなっていきました。異文化を奇異なものとしてとらえるのではなく、その違いに知的好奇心を向けることさえできればしめたものです。その際にTeacher's ManualA題材資料編にある、世界各地の文化に見られる誕生日のとらえ方やお祝いのしかたを資料2(イメージを表示)のようなクイズ形式にして例示しました。黒板におおまかな世界地図を描き、場所や地域も確認しながら解説しました。中には「私も1歳のとき大きなお餅を背負ったよ」「ぼくは小豆だったよ」という生徒もいました。当然、本人たちが覚えているわけではないので、家族から後になって聞いた話でしょう。その意味を生徒が考えたり家の人に尋ねたりしてみることで、教科書の中のテーマがまさに自分にかかわりのある内容に変身したわけです。 ある習慣的行事には宗教的なバックグラウンドがあったり、「時の感覚」という事象でも文化によっては認識の方法が違ったりします。生徒にとっては単に異文化に触れるだけでなく、その背景も含めてきちんと理解したうえで自文化と比較する態度が少し身についたように感じました。ある異文化の習慣が、一見奇異に思えても背景の文化や歴史を知ることで理解できます。日付や時の概念はあらゆる文化に共通ではなくいろいろな認識方法があることから、自分たちが日常当然だと思っていることが、実は自文化を象徴している習慣であったり、また他の文化との接触や交流によって今の形を成していることがわかります。よく言われることですが、異文化を理解することは自文化に対しての理解を深めたり新しい視点をあたえてくれるという副次的な効果があります。まったくそのとおりで、その理解は共時的にも通時的にも広がりを持つものであると思います。 もう少し時間が許せば、おなじテーマでインターネットを利用した調べ学習に発展させたり、あるいは学習者向けの英字新聞から好きな記事をピックアップして、内容の発表をしたりすることも考えられると思います。 まとめ: 「英語を勉強する」ことに抵抗感や嫌悪感をもつ生徒が多い中、「英語をとおしてシンプルな話題を掘り下げる」という学習スタイルに重点を置いた1年でした。いろいろな方向へ学習を発展させることができるという点では、題材資料の豊富さもありVISTAは使いやすかったと感じています。
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