2.辞書指導の実践
今までは「予習ノート」の作り方を述べてきたが、次に実際の辞書指導を目的とした授業例を述べてみよう。
『EXCEED English Series I』の Lesson 1 に次のような文がある。
In big cities like Tokyo, we see some
public signs in more than one language. (p.8 12〜16行目)
この文には新出語は無い。だから生徒は、public signs を見過ごしてしまうか、あるいは、漠然とした意味でしかとらえていないかもしれない。ここで、英和辞書の登場となる。まず、全員で
public を確認してみる。『WISDOM 英和辞典』の解説を例にとってみよう。
生徒は public の意外な語義の多さに驚くかもしれない。この語が形容詞であることがわかるが、1〜5
のどの定義をここにあてはめればよいかは決めかねる。(軽く1〜5 の語義はノートにメモさせておく。)そこで次に、sign を調べてみる。
するとまた1〜5の定義があり、上の辞書の引用にもあるようにそれぞれ語法が示してある。この場合の
sign は2の表記にあるように複合語を形成するものとわかり、さきほどノートにメモしておいた public の語義にたちもどってみると、この
public sign が「公共の標識」あるいは「人目につく看板」と定義できる。生徒が思い込みがちな(固定観念の)「サイン」の意味などどこにも無いことを確認させる。
この public signs の例に見られるように、まずは調べた単語の品詞の確認をして、その語が形容詞(修飾語)であれば、ひとまずおいて、その形容詞が修飾している名詞を確認させるべきである。その名詞と修飾語がどのように相俟っているか認識させることが必要だ。また、これも誤読を及ぼしがちな単語である
like がある。多くの生徒にとって like イコール「好き」である。辞書を引くとこの単語が動詞と前置詞の2つに大別されていることがわかる。前置詞表現を確認させて「東京のような大都会では」というような意味になることを認識させる。
まず、最初の授業では固定観念の呪縛を解く必要があると思う。このような辞書指導の授業では、調べた辞書の項目を生徒に音読させてもよい。
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