●コミュニケーション活動の扱い
新『CROWN』のもうひとつの大きな特徴は、コミュニケーション活動を積極的に取り入れていることにあります。具体的に活動の方向性を指示し、生徒がコミュニケーション活動を通して英語の知識を運用する、そして運用することによって知識を生きたものとする、といったサイクルで英語学習を促進することを目指しています。また、4技能を有機的に関連付けて扱うことは、教科書編集者に課せられた大きな課題であったわけですが、新『CROWN』では、ある程度の答えが出せたのではないか、と自負しています。
具体的には、各レッスンに What do you think? というコーナーを設けることで、自分の意見をまとめたり、ディスカッションする機会を提供、また
Chat Room では、ごく基礎的な語彙と表現を使いながらの高校生同士のダイアローグを教材として、会話表現を学ぶ機会も提供しています。さらに
Activity Workshop では、比較的長めのダイアローグを取り上げ、聞き取り、書き取り、ディスカッションなどを通して、実践的コミュニケーション能力の強化を図っています。コミュニケーション能力は、一朝一夕で簡単に身につくものではありませんが、教科書で積極的に取り上げることは、今後の英語教育を変えていく大きな一歩となるものと期待しています。
● 次のステップへ向けて
以上述べてきたことから、『CROWN English Series T・U』が題材とコミュニケーション活動を重視した教科書であることがお分かりいただけたと思います。しかし、すでに触れたように、大学入試の観点からは平易になりすぎたのでは、という批判があるのも事実です。原典主義を廃し、極めて厳しい語彙制限のもとで、内容的に妥協せずに英文をまとめるのは困難な作業ではありましたが、新指導要領のもとで英語教育が質的に低下することは、教科書編集者として望んでいることではありません。「英語T・U」は中学での英語を前提として、比較的ゆるやかにレベルを上げていくよう配慮しましたが、目指している「山」の頂上はここではありません。比喩的な言いかたをするならば、「英語T・U」は、まだ山の裾野をゆっくり登っている段階
―― 次のステップへ向けての warm-up だとお考えください。ここで充分に身体を慣らし、ゆっくりと基礎体力をつけておくのです。そうすれば、やがて『CROWN
English Reading』を手にするとき、『CROWN English Series T・U』の目指している目標がどこにあるのかが、お分かりいただけると思います。「英語T・U」でじっくり基礎体力を養ってきた生徒ならば、『CROWN
English Reading』が提供してくれる山頂からの眺望を充分に満喫することができるでしょう。「学問に王道なし」といわれますが、英語学習にも王道はありません。「使える英語」が強調される時代ですが、『CROWN
English Series T・U』で養われた基礎力は、やがて大きく花開くことになると確信します。
次のページに『CROWN English
Series T・U』目次を掲載しています。
|1|2|3(CRWON
目次)|
|