3.例年通りの点
@ マーク数および配点
A アクセント、文中での強勢問題(第1問)
B 文法、語句整序問題(第2問、第3問)
C 図表読み取り問題(第4問)
D 会話文読解問題(第5問)
登場人物が2人から3人になり語数も若干増えたが、難易度には影響しないと思われる。
E 長文読解問題(第6問)
4.例年と変化のあった点
@ 文法問題が減少した。(第2問 A)
A 語の定義問題が増加した。(第2問 A)
上記@の代わりに語の定義や類義語の区別を問う問題が3問に増加した。日頃から英英辞典を使い、和英辞典からは分かりにくい英語でのニュアンスの違い、また日本語では区別がなくても英語では異なる語がある類義語の違いにも日頃から注意を促したい。
B 全体の総語数が若干増えた。
ただし、それによって難易度が上がったわけではない。
5.新傾向の点
@ 選択肢の文が冒頭に置かれた。(第3問 C)
本文の大まかな内容をつかみやすくなったであろう。
A 本文のテーマを問う問題ができた。(第6問 A 問5)
登場人物の行動や発言といった表面的な事柄をとらえるのではなく、登場人物の心境や、全体を通して流れている問題提起も見のがしてはならない。
<第3問 C> |
<第6問 A 問5> |
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6.日頃の学習で大切なこと
@ 毎日の授業にきちんと取り組むこと
いまさらながら声を大にして言うことでもあるまいが、1時間1時間の学校での授業にきちんと取り組むことが、基本的な英語の能力を問われるセンター試験では何よりも大切である。予習をして授業に臨み(どの教科でもそうであるが、語学の授業の場合はとくに)、授業内で疑問を解決し、文章を正確に読み取る力を育てる。いわゆる受験テクニックにおぼれることなく基本的な事項を繰り返し授業で学習するうちに、センター試験に対応できる能力は十分につくはずである。
A ネイティヴ・スピーカーの英語を聞き、自分でも声に出して読むこと
リスニング能力の向上の基礎となるのは、最近世間的にも改めて(ようやく?)認知されはじめてきた音読の重要性である。「オーラル・コミュニケーション」はもちろん、「英語T」や「英語U」の教科書であってもモデルの発音を聞き、生徒が自分の耳で聞き取った音をまねて声に出して読むことが大切である。読むためには内容を理解する必要が出てくるし、音に集中すれば字づらからでは分からない英語特有の音の仕組みも体験的に分かってくる。無理に暗記をするという意識ではなく、何回も何回も繰り返して読み込んでゆけば、なによりも、英語に対する興味、関心が必ずや増すはずである。
B あらゆる事項を総合的に関連づけること
センター試験と言えども英語という語学を基にしているものであるから、単に単語や熟語を一つでも多く覚えれば点数が取れるというものでは決してない。いわゆる文法問題も単発のものとして扱うのではなく、教科書の中で該当する箇所が出てきたときに改めて確認したり、社会問題がテーマの教材の場合には関連する報道を取り上げたり(日本語でもよいから)生徒同士で議論させてみると、英語はただ単なる暗記科目から脱却できるであろう。
7.最後に
センター試験は高校で学ぶべき基本的事項が身についているかを試すものである。その場限りの丸暗記的な、単発的な勉強方法ではなく、日頃の地道な努力を積み重ねてきた生徒が大いに報われる問題となっている。このような生徒をいかに育てていくか、陳腐ながらも大切なことであると思われる。
また、コミュニケーション能力の重視と言われて久しいが、これからの時代を見据えると、英語という言語を媒介にしていかに国際的に通用する人間を作り上げるかがポイントとなろう。そのため、英語と接する際に表面的な事柄だけを追うのではなく、論説文では行間を読んだり、小説では登場人物の心情を深く察知したりする能力を育成することも大切になるであろう。
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