1.全体的な傾向
形式、内容は全体的に例年と変わらず。全体的に基本的な問題が多く、難問が姿を消したため、平均点も昨年より大幅にアップした。昨年同様、コミュニケーション能力と正確な読解力が問われる内容が主流となっている。
コミュニケーション能力では、会話の流れの中で音声の強弱を判断する能力(第1問 B)、会話から的確な情報を引き出す能力(第5問)が例年通り求められている。また、読解力では、文章の構成を論理的に思考する能力(第3問)、文章を正確に読み取る能力(第4問)、登場人物の心境も考えあわせて長文を読み取る能力(第6問)が試される。いずれも文章の全体的な流れをつかんだ上で、的確な情報を得る日頃の学習姿勢が問われるものである。
本文の総語数は全体的に少し増えているが、長文が全般的に素直で読みやすい内容になっているため、例年より平易になっている。
2.具体的内容分析
第1問
形式、配点ともに昨年と変わらず。
A アクセント
文脈の中での単語のアクセントを問う問題。日常でよく使われるカタカナ英語のアクセント、スペルが同じでアクセントが異なる位置にある単語は基本的な頻出問題である。ここに出題される単語はある程度限られているので取り組みやすいであろう。
B 文中での強勢
会話の流れや前後の発言内容からポイントとなる語を判断する問題。質問に対する答えや対象となっている事項が何であるかを読み取る能力が問われる。
第2問
形式、配点ともに昨年と変わらず。
A 文法、語法、語彙
構文、時制や動詞の形を問う文法項目、熟語、語彙能力を判断する問題。すべて教科書に出てくる頻出事項である。
B 対話文完成
コミュニケーション活動において行われる典型的なパターンの対話文を完成させる問題。基本的な会話特有の表現を理解し、前後の文脈をつかめればさほど難しくはないであろう。
C 語句整序
不定詞の副詞的用法、知覚動詞のパターン、動名詞の意味上の主語の理解を問う問題。文法事項とともに、文脈を理解した上での語句と語句のつながりを考える能力が問われる。つながる語句を一つずつ連結してゆけば自然と解けるであろう。
第3問
形式、配点ともに昨年と変わらず。
A 語句補充
文と文をつなぐ語句を選ぶ問題。空所の前後の文脈を把握し、順接や逆接、理由、譲歩等を正しく選ぶ力は、日常的な英文への取り組みかたや問題意識の持ちかたに左右される。
B 文章整序
短いパッセージの中で文章を適切な順に並びかえる問題。空所の前後の文脈を理解してから解くことになる。選択肢の文中の代名詞や指示語が何を指すのか、また、接続する語(句)がある場合には、それを含む文がどの順になるのかを考えあわせる必要がある。
C 文補充
冒頭に示された文を段落のどちらかの場所に一つずつあてはめる問題。例年通り、対照的な事象を比較、対比しながら読み進めていく。
上記の問題 B と同じく、選択肢の文中の代名詞や指示語、接続する語(句)に気をつけて当てはめてゆく。教科書等の英文で段落がどのように構成されているかを意識して読むことが大切になるであろう。また、選択肢の文を各段落に一文ずつ入れる指示を見のがしてしまうと余計な時間が取られてしまう可能性も。
第4問
図表読み取り読解。問題の総語数は増加。解答数、配点はともに昨年と変わらず。
図表を参考に、展開される論から的確な情報を得る力を問う問題。例年通り、4〜5項目が比較対象される説明文になっている。図表があるといっても、図表を読み取って答える形式ではないので、あくまでも本文を正確に読み取る力が基本となる。
第5問
会話文読解。問題の総語数は若干増加。解答数、配点はともに昨年と変わらず。
空所補充は基本的な会話表現が入る場所を問う問題。前後の文脈が分かれば問題はないであろう。イラストを選ぶ問題では本文の途中で選んでしまうことのないように。本文の途中で事実描写が変わる場合があるので注意が必要。内容一致問題では3人の発言内容の違いに注意する必要があり、本文を読み進めながら登場人物一人ひとりのイメージをつかむことも重要である。
第6問
長文読解。問題の総語数は若干増加。解答数、配点はともに昨年と変わらず。
物語文を読んで質問に答える問題と内容一致問題の2種類。物語ではあるが途中で回想の場面があり、時間の経過や場面展開の把握に注意する必要がある。また例年通り登場人物の心境も問われるので、会話や話の展開から深い読みかたをすることが要求される。
|1|2| |