三省堂 英語ホーム > 高等学校英語 > 『三省堂高校英語教育』 > 2002年 秋号 理想の教科書(1) | ||||||||||||||||
東京大学 山本史郎 理想の教科書とは何だろう? それは生徒の心の発達段階に応じながら、それぞれの知的好奇心を満たすような、良質の教材が含まれているような教科書ではなかろうか? そのような教科書を用いて、生徒が学力的にも、人間的にも成長しているという手応えを感じながら授業をするのは、私どもを含めて、どんな教師にとっても理想であり、夢であるはずだ。生徒が心から興味を感じながら学習することができるならば、どんな小手先の教授法も吹き飛んでしまうだろう。 したがって、語彙や内容が限定された何冊かの検定教科書を、ほぼ決められた時期に用いなければならないという現実をうっとうしく感じている、熱意あふれる先生方も、多数いらっしゃるのではないだろうか。英語教師の第一の目標は、生徒の英語の力をつけることだ。そのために、もっとも効果的な教材を、もっとも適切な時に用いたい! そのような願いを持つ先生方にとって、今回の学習指導要領の改定は、大きなチャンスと言えよう。高校の課程を通じて、生徒に持たせねばならない検定教科書が、最低で1冊になった。しかも「学校設定科目」、「学校設定教科」を設けることができるので、それぞれの学校で、独自のカリキュラムが組めるようになったのである。 しかし、創造的な先生方にとって、このように大きな展望がひらける一方で、では、具体的にどんな教材を使うか? という問題が浮上してきて、不安に感じている方々もいらっしゃるのではなかろうか。大きな自由には、大きな責任がともなう。このような状況の中で、微力ながら高校現場の先生方の手助けができればという願いから、CROWN PLUS English Series が考え出された。 CROWN PLUS English Series は現在の予定では、5巻の構成になっている。Level 1、2 は入門から始まる、現在の中学レベルを想定している。シリーズの刊行は Level 3から始まるが、この Level 3 は、ほぼ高校1年、Level 4 は2年、Level 5 は3年での使用が想定されている。しかし、これはあくまでも目安なので、それぞれの教育現場で、生徒の英語力ならびに知的関心や水準をみながら、もっとも適したレベルのものを、もっとも適した時期に用いていただければよいのである。 1 | 2 |
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